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3話「入学試験」

「よう、落ちこぼれども」


しばらく待つと一人の偉そうな女性が教室に入ってきた。

この女が教師なのだろうか。


オミナ「私がGクラス担任のオミナ・ストロンだ。早速だが、これからお前ら落ちこぼれのFとGクラスだけのテストを開始する」

生徒「はあ?はじめは普通ルール説明とかあるんだろ!?」


一人の生徒が声を上げるが、先生はそいつを睨みつけて、


オミナ「お前たちGクラスが普通の扱いを受けると思うか?これは、言ってしまえば無能をこの学園から排除するための実質的な入学テストだ」

僕「入学テスト…」


確かに、最終的に数人、もしくは一人しか残れないというのに、僕達GクラスやFクラスを残しておく意味は殆どない。

何にしろ、僕はこの試験に合格しなければならない。この学園ならば、失われた記憶に辿り着けそうな予感がするからだ。

そう心に決めて、僕は拳を強く握った。



オミナ「試験内容は簡単だ。これからお前たちには、とある無人島で一週間サバイバルをしてもらう…一週間経ったときに生き残っていたやつが、この学園に正式入学できる。もちろん全員分の食料は用意していない。存分に潰し合ってくれ」

生徒「そんなの…死んじまったらどうするんだよ!!!」

オミナ「安心しろ。この学園の方針として、無意味な死は極力減らしていく。リタイアの場合はスタート地点の浜辺に戻り、待機している教師達にリタイアの報告をするんだ。だが万一相手を殺してしまったりしたら、その場に放っておいてくれ。学園側がすべて回収する」


それから僕達はすぐに船に乗せられ、会場である無人島へ連れて行かれた。


オミナ「それでは試験を開始する。私はこの浜辺にいるからリタイアしたくなったらいつでもやってこい……二十分後…つまり今日の正午から来週の正午までが試験期間…では、ここからが準備期間だ、はじめっ!!」

僕「……よしっ!」


僕を含めた総勢四百人以上が一斉に走り始め、まず僕は水辺を目指した。

船の中で立てた作戦の内容はこうだ。まず水辺に拠点を作る。そして十分な水を得ながら周辺で魚を捕まえる。

全員分の食料は用意していないと言っても、学園側はここで全員を落とすつもりはない。きっと二百人分くらいの食料はあるだろう。

植物はもしかすると毒が含まれているものもあるかもしれないし、僕にそれを見抜くだけの経験と知識はない。

だからまずは、この準備期間で水辺を見つけることから始まる。

そのために走って、走って、走って。


僕「見つけた……」


森を抜けた先の湖に出た。

ここならば、僕の計画通りの動きができそうだ。


「おーーーい!!」

僕「き、君は…三条、さんか」

愛華「走るの、速すぎますよ…それに息も切れてないようですし…」

僕「なんでついてきたんだ?」

愛華「それは今回のサバイバル、貴方と協力しようと思ったからですよ、なのに貴方すぐどこかへ走っていってしまいますし…」

僕「協力…か、ありかもしれないな」


確かに、この試験は一週間後に残った人全員が残る。

先程も述べたように、行動するのが一人から二人になっても食料が一気に不足するということはない。


僕「そうだね、三条さん。これからは僕と一緒に行動しよう、僕も仲間がいれば心強いよ」

愛華「はい!それと、私の事は気軽によんでくださいね!」

僕「ああ、じゃあ…『さん』ははずすよ」


そういえば、先程もこの子をさん付けで呼ぶのには違和感があった。

これは…どうしてなのだろうか、記憶を失う前の僕は三条を知っていたのか?いや、そうだったなら彼女が僕に対して初対面のような対応をしたのはおかしい…か。


愛華「えっと…まずはなにをすればいいですかね?」

僕「あぁ、ごめん、考え事してた。そうだな…火を起こすことはできるか?」

愛華「……はい、できます。多分」

僕「よかった、じゃあお願いするよ、その間に僕は湖の様子を見てくる、水質とか魚がいるかとか確認してくる」


そして僕は、その場を離れた。

そういえば、この湖の周りに拠点を作るという作戦は考えていたものの、肝心の火の付け方をどうするか考えていなかった。

僕の記憶の消え方は主に自分に関することで、一般常識や言語などについてはある程度覚えていたりするのだが、もちろんすべて覚えているわけではない。

実際僕は火の付け方がわかっていなかったので、三条がいてくれてよかった。


僕「っと…ここが湖か」


大きな湖にたどり着き、早速僕は様子を確かめる。

そこにはパッと見ただけでもそこそこの数の魚がいて、おそらく水質も大丈夫そうだ。

これならば、一週間程度余裕だろう。

………なんて、そんなことを思った次の瞬間だった。

ヒュンッ…と、僕の顔の横を何かが通った。


僕「あれは…ナイフ…」


頬から血が垂れる。

…そうだ、油断していた。

いるのだ、僕以外にも。僕と同じことを考え、この湖を拠点としようとしているやつが。


生徒「ちっ…外したか」

僕「ま、待て!見たところ今のところここにたどり着いたのは僕達とお前だけみたいだ!ここの食料はまだ十分にあるし、僕達が戦う理由にはならない!」

生徒「戦う理由にならないだぁ?」


生徒はナイフを取り出して、今度は投げず僕に切りかかってきた。

僕はとっさに一歩下がり、さっきこの男が投げたナイフを拾って、それを男に向けた。


生徒「…っ!!」


生徒は一瞬怯み、その隙に僕も攻撃をしようとしたが…


僕「くっ…身体がっ!!」


激しい動きをしようとした直後、僕の身体は鉛のように重くなり、膝をついてしまう。

生徒は困惑していたが、頭をブンブンと振ってそれを振り払って、


生徒「ハハハッ!どうやらお前はナイフを持っても動けない意気地無しらしい…」

僕「ち、違う……僕は…」

生徒「残念だったな…俺達は戦うしかねぇんだよ、ここで戦わなくてもいずれは対峙することになる。結局早いか遅いかの話だ」

僕「…………」

生徒「それに、これから一週間…別の奴らがここに来て、お前が裏切るかもしれない。簡単に信用できるかよ」

僕「……………」


もっともな考えだった。

僕は、死ぬのか?

記憶を取り戻せないまま…せっかく三条とチームを組んで、今回のテストに前向きになっていたところだったのに。

重たい身体を恐怖が包み込む。


僕「…死にたく、ない…!」

生徒「残念、どうあがいてもお前はここで終わりだっ!!!!」


ナイフが振り落とされる。

あまりの恐怖に…僕は意識を失うのだった……

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