21話「S」※新キャラ登場
ゲウム「ははっ!やっぱり君も来たか!私の考えはやはり間違っていなかった!」
インフィルに招かれた部屋には、Aクラスのゲウム・ディッシュと他のAクラス3人が待っていて、その3人はこちらに鋭い視線を向けてきた。
一人は筋骨隆々の男、一人は橙色の髪をした女性、そしてもう一人は、剣を携えた金髪の男性だった。
ちなみに、このゲウムという男、弱者のもつ可能性に眼がないらしく、以前から僕に目をつけ、僕の秘められた実力に気づいた、得体が知れない男だ。
ゲウム「そして………そっちの娘はマッチョ君に負けた非力な女の子かな?確か……ミジョウアイカ」
愛華「……どうして、私のことを…?」
ゲウム「そりゃあ、この学園に滞在する生徒の顔と名前くらいすべて覚えるさ、君の名前は、少し変だとは思ったがね」
愛華「私の名前って、変なんですかね……」
落ち込む愛華を横目に、さらっととんでもない事を言ったゲウムに質問する。
僕「生徒の名前を全部……覚えたのか?」
ゲウム「ああ、君みたいに自分の名前を開示しない人もいたけど、入学初週に皆覚えたさ」
約1000人の顔と名前を丸暗記なんて……並の頭脳じゃ無理だぞ?ますます、底が知れない男だ。
???「……第4位、そこの二人と知り合いなのか?」
部屋の隅の柱に腕を組んでもたれかかっている、ギラギラと輝く金色の髪をした男がゲウムに向かって話しかけた。
第4位……というのは、Aクラスのなかでつけられた順位ということなのだろうか……
ゲウム「私が目をつけていた二人さ、それと第4位という呼び方はやめてくれよ、第1位のイベリス・ラティア君。私にはゲウムという立派な名前があるのだから」
イベリス「おい……そこの」
僕「僕のことか?」
イベリス「そうだ、お前確か、前のマラソンで最下位だが途轍もないスピードを出していたという男だったよな?」
僕「……ああ、そうだが」
イベリス「………確かにお前にはAクラスでも十分通用する力を感じる」
ゲウム「そうだろうそうだろう?流石は私の見込んだ男だよ…」
一度、沈まる。
普通に会話しているように見えるが、僕は感じていた。
この場にいる6人、誰一人油断などしていない。常に、周りを警戒し、いつどこで何があっても対応できるようにしている。
愛華もそうなっているとは、すこし感動したな、やはりマラソンで何かを掴んだらしい。
インフィル「おまたせしました……これより、あなた達に一つお知らせをしようと思います……単刀直入に述べると、あなた達6人は、Aクラスなんて枠組みでは測れない実力を持っています……よって、あなた達6人には今日より、Sというランクが与えられます、それなりの待遇は与えますので、お喜び下さい」
評価……S。
まさかもともと評価Gの僕と愛華がそこまでたどり着くことができるなんて……感動だ。
………後ろから、強烈な敵意を感じる。
???「おいおい!学園長さんよ!つい最近BやCになったばかりの雑魚が急にSなんて、俺は認められねえぜ!」
ゲウム「はぁ………君は何もわかっていないようだな、ルドベキア」
大男はゲウムを睨みつけ、怒鳴る。
ルドベキア「なんだぁゲウム、お前さっきからあいつらの事妙に買ってるよなあ?男の方は知らねえが、女は俺の愛すべき弟に負けたんだろ?俺の弟でさえ評価は現在Bだ、あの女が評価Sの器になんて俺は思えないな!」
ゲウム「はぁ…………これだから単細胞の相手は疲れるよ、全盛期の他より少し恵まれた肉体に頼っているだけ、可能性の欠片も感じない」
ゲウムは心底つまらなそうにため息を付く。
ルドベキアという男は昇格試験で愛華が敗北したマッチョマンの兄らしいのだが、ゲウムはどうやらあのタイプが嫌いらしい。
昇格試験のときも露骨に嫌な顔をしていたしな。
それにしても、正直僕もルドベキアの意見に納得してしまっていた。隣にちょこんと立ち、微妙な顔をしている愛華からは、正直言ってあまり力を感じない。
一体インフィルやゲウムは、愛華に何が見えているのだろうか…?
ゲウム「学園長、貴方がアイカに見出した戦闘力ではない…そうですよね?」
インフィル「流石はゲウム、よくわかっていますね…ルドベキア、貴方とアイカが戦ったら、きっと貴方が勝つでしょう…それは否定しません」
ルドベキア「……ならばいい、じゃあ向こうの男と戦わせてくれよ!俺が直々に確かめてやる」
インフィル「しょうがありませんね……貴方もいいでしょう?」
僕「ああ………多分、問題ない」
ルドベキアの大声に気圧されてしまっていたため、発された声は小さいものになってしまった。
まあ、そんなことはどうでもいい。僕は現在、かなりワクワクしてしまっている。自分の実力と作戦を試したくてしょうがないからだ。
100%の力を出せるようになったことだし、Sクラスの実力とやらを体感させてもらうことにしよう。




