16話「怪物」
腕時計を確認する。午後七時。
周囲は真っ暗闇になっていた。手に入れた食料は、湖に浮いていた小さい魚一匹。
そいつを焼いて、丁寧に食べる。
僕は夜に走ることは極力しないようにしている。僕の腕時計やナイフ、小さめのライターのように、学園側に許可されたもののみこの無人島に持ち込むことが許されているが、このライターで松明を作ったところで、足場も凸凹して不安定なこの無人島を進むには少し明かりが足りないだろう。
転んだりして方向がわからなくなれば、一巻の終わりだ。
だから僕は、日が出るまでは全く動かないと決めている。
僕「さて…そろそろ寝るか」
僕がその場に座り込んだその瞬間だった。
背後からとてつもなくおぞましい気配を感じ取った。
僕「なんだっ!!?」
後ろを振り向くと、人影。
シルエットは見えるが、その姿を捉えることはできなかった。
こちらに襲いかかってくる気配はない。
僕は恐る恐る、焚き火から一本の日がついた薪をそいつに投げつける。
―――一瞬だった。一瞬、そいつの姿がみえた。
僕「……は?」
それは人ではなかった。いいや、しかし動物というわけでもない。言ってしまえば怪物。
眼は赤く、体は真っ黒。身長は10mほどある棍棒のようなものを持った、鬼のような見た目をしていた。
そして気がつけばそいつに僕は蹴り飛ばされ、大木に背中を強く打ち付けた。
僕「ぐはっ……」
怪物「グオオオオオオオオオ!!!!!!」
僕「一体何なんだコイツは!僕がわからないだけでこの世界にはこんなやつがいたのか!?」
記憶を失った僕はいろんな文献を読み漁ったが、それでもこんな怪物を見たことは一度もない。
だが、怪物は実際に存在している。考えている隙を付かれ、再び腹部を蹴られる。
僕「がはっ……!」
生きているか!?どこも欠損していないか!?
体のあちこちを触って確かめるも、どこも失ってはいなかった。
僕「…っぶねえ、後一瞬対応が遅れてたら死んでたぞ…」
そうつぶやき、僕は額に流れる汗を拭うのだった……




