11話「昇格期間③」※新キャラ登場
そして…今日は五日目。先程三戦目が終わったところだ。
三日目の一戦目、Eランクの奴は僕の一撃で沈み、四日目、二戦目のDランクも同じようなもんだった。
そして今日の三戦目、Cランク。少々手こずったが問題なく倒すことができ、僕はCランクになることに成功した。
一方、三条も、一戦目は余裕の勝利、二戦目は戦略を駆使して勝利。
そして、これから三戦目が行われるところだ。この期間、他の生徒の試合を観戦することが可能なため、僕は早速、観戦室に向かった。
さっきの試合で、あの人はCランクになった。私もなろう。Cランクに。
そう心に決め、私は闘技場に歩を進めた。
教師「それでは、ミジョウアイカ 対 マスル・ジャスティス!試合開始!!」
臨戦態勢に移行する。眼の前の男は筋骨隆々で、見るからにスピードが遅い攻撃特化スタイル。
私のスピードで翻弄する!!
愛華「行きますよ!!」
男「来てみろ、嬢ちゃん、Cランクの壁を味あわせてやろう」
私は彼にやった作戦を実行するため、突進する。
男「そんなまっすぐきてもいいのかい?」
男がブン、と勢いよく降った拳を地面に手を当て、勢いを完全に殺すことで回避し、大振りな拳の後隙をついて、足払いをかけ………ようとした。
愛華「…っ!」
男「なにかしたか?勢いが足りないぜ」
愛華「くっ…」
一度、距離を取る。あの男の足を確実に崩せる一撃だった。だが、私の馬力が足りていなかった。
ここで出てくるか。彼との修行の際、散々感じさせられた、パワーの違い。
男「さっきので策を出し切ったか?」
愛華「遅いですよっ!」
男のバカ正直なタックルを横に大きく一歩動いて避け、脇腹に拳をめり込ませる。
男「おぅふっ!!!」
愛華「少しは聞きましたか」
男「全く?その程度で俺の筋肉を突破するなんて不可能なんだよ、お前も筋肉を育ててみないか?」
愛華「生憎私は可愛い小柄な女の子なので、筋肉を育てようにも育てられないのですよ」
男「………そうか、そんな考えをしているようじゃ限界が見えたも同然だな」
愛華「私は貴方の遅い攻撃を喰らわない。でも貴方にダメージを与えることもできない…これは長引きそうですね」
僕「…これは」
観戦室にて、僕は小さく呟いた。
愛華の攻撃が、当たっても全く効いていない。
愛華も攻撃をすべて避けているからまだ決着はついていないものの…このままでは…
???「マズイだろうね」
僕「誰だ」
突然話しかけられて振り返ると、そこには深緑色の髪をした青年が立っていた。
目元には深いクマがあり、猫背でとても強そうには見えない男だった。
???「ああ、驚かせてしまったかな?私はゲウム・ディッシュという」
僕「それで、ここになんの用なんだ?Cクラスまで僕は情報を集めていたけど、お前はいままで見たことがない。Bクラス以上だろ?」
ゲウム「別にBクラスがFとEクラスを見にきちゃいけないなんてルールはないじゃないか。私は新たな可能性を見つけに来たんだよ」
なんとも掴みどころがなく、不思議な雰囲気を醸し出すやつだ。
僕が警戒しているのを読んだのか、ゲウムは柔らかい笑みを浮かべた。
ゲウム「君、Fクラスから一気にCクラスまで上がったんだって?この昇格期間も不便なものだよね、君みたいな実力がある人間でも、三ヶ月に一回の昇格期間で、三個しかランクが上げられないんだからさ」
僕「僕のも見てたのか?」
ゲウム「ああ、他のFクラスの人達も見てるし、EもDもCもBも見てる」
僕「評価Aの奴らは?」
ゲウム「そもそも私は普段から授業とかでAクラスの人を見てるからね」
いつも見ている…つまり、ゲウムはAクラス。実力は確実に今の僕を遥かに超えている。
昨日、BクラスとAクラスの試合を見たとき、その差を実感した。Bクラスの動きは僕にも十分ついていけるものであったが、Aクラスの奴らほどの動きはまさに別次元。
その動きを見るだけでも肉体の本来の動体視力を使わなければいけなかったため、かなりの疲労がやってきた。
つまり…それだけの差があるということ。
ゲウム「君はB以下のクラスでも格別だ!可能性の塊さ!」
僕「…どうしてそう思ったんだよ」
ゲウム「だって君、力を全然扱えてないじゃないか。見たところ、君はなにか理由があるのか、肉体の本来の力を発揮できていない、そしてその本来のその肉体に宿っている力は、Aクラスでも十分に通用する力だ………きっと君は入学時はその力を本当に全く扱えてなかったけど、とてつもない努力、そして覚醒をしてそこまで扱えるようになったんだね」
僕「………」
僕は、呆気にとられていた。
ゲウムの言っていることはすべてあたりだ。僕がこの学園で辿ってきた道筋を正確に言い当ててくる。
ゲウム「…っと、話はこの辺にしておこう、結果が出そうだ」
僕「えっ……」
急いで試合の様子を確認すると、余裕そうな筋肉男と息もとぎれとぎれになった三条が立っていた。
僕「くそっ…やっぱ僕の思い通りになったかよ…」
ゲウム「おや?この展開は読めていたってことかい?」
僕「相性の問題だよ、相手は筋肉マッチョだ、非力なあいつの攻撃はまともに効かない。それに…………」
僕との試合でやらかした金的もありかと思ったが、嫌悪感が勝っている様子だった。
ゲウム「まあ、絶対に攻撃に当たらないものと、当たっても効果がないものじゃ、同じようでその差は歴然だからね」
僕「……………負け、か」
ついに筋肉男の攻撃が愛華にもろに入り、数メートル吹っ飛んだ後三条は気絶した。
ゲウム「パワー負け…相性が悪すぎたね、戦略やスピード中心に戦う彼女に対し、相手は圧倒的パワーと耐久力を持っている」
僕「パワーだけなら、今の僕が出せるものよりわずかに上だ」
ゲウム「さぁ、いってあげな、彼女も落ち込んでいるだろう」
そう言われ、僕は走り出すのだった。




