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10話「昇格期間②」

昇格期間が始まった。この一週間、愛華は足りないパワーを補う武術の基礎、筋トレ、そして僕との実戦トレーニングをひたすら続けた。

僕と同じように、記憶を失う前に力があったのかわからないが、とんでもない勢いで愛華は戦闘技術、戦略、読み。それらを上達させていった。

そしてお互いに、自分の肉体のパワーを解放するよう、精神トレーニングに重点を置いてそれを続けた。

そして、今日は森で最終調整。最後の組手だ。


愛華「それじゃあ行きますよっ!」

僕「かかってこい!」


愛華が突進してくるのを見て、僕は体を深く沈め、上空にふっとばそうと拳を振り上げる。

だが、愛華は甘いですよ、と小さくつぶやき、手を地面に当てて勢いを完全に殺し、僕の拳が振り上げられた狙って足払いをかける。

僅かに僕の反応は勝り、高いジャンプで交わすことができたが、この状況はまずい。


愛華「読み通りです!」


上空に飛び上がってしまった僕はその分の着地の反動を耐えるため、一瞬踏ん張る時間ができる。愛華はその瞬間を見逃さなかった。

自分の突進の威力も重ねた蹴りを僕の腹に思い切り入れ、僕は数メートル後ろに吹っ飛んだ。

マズい。追撃がくる。焦って立ち上がると………


愛華「あっ」

僕「ゑ?」


眼の前まで来ていた愛華が振るった拳は僕の顔面に命中するはずだったが、僕が焦って立ち上がったことでその拳が当たる場所が大きくズレてしまい………

僕の、股間にクリーンヒットした!!!!!!!!!

ぱあん、と。弾けるような音が響き渡る。

その1秒後、この森全体に僕の叫び声がこだまするのだった………



愛華「本当にごめんなさい!!」

僕「ダイジョウブ…無事……」

愛華「どう見ても無事じゃないですよ!」

僕「いや…実践形式なんだからしょうがないよ、こういうこともある。それに、偶然だったとはいえ僕に初勝利だ」

愛華「でも貴方は私の普通の攻撃じゃびくともしなかった…本当に今回は運が良かっただけです」

僕「攻撃力が足りなくても、君のスピードと戦闘技術はすでに脅威だ。次回から本格的に股間狙いも戦略に入れたらどうだ?」

愛華「で!できませんよそんなこと!!!」


普通に実用的な攻撃方法だと思うんだけどなあ…

と、そんな事を考えながら僕達は一度僕の部屋に戻った。

それから愛華と少々作戦会議をし、一週間の昇格期間、今日が一日目だから、二日目はめいっぱい休んで、三日目、四日目、五日目に一日一戦勝負を挑む。

さて…修行の成果を発揮するのが楽しみだ…………

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