童話 夢ちゃんと夢の妖精ドリーム
女の子の夢ちゃんは、眠るのが大好き。
疲れたときは、すぐにいつも自分のベッドにもぐって布団をかぶり、すやすや眠って、色々な夢を見ています。
なぜなら、夢の中では色々な事ができて、楽しいからです。
夢ちゃんは、そんな夢が大好き。
夜になるたびに夢ちゃんは、夢を見て、現実ではできない事をしながら楽しく過ごしました。
そんなある時、夢ちゃんの夢の中に男の子の妖精が現れました。
ドリームというその妖精は、いつも独りぼっちでいる落ちこぼれの妖精です。
他の妖精と遊びたいけれど、無視されて遊べないので、人間の夢の中に出て、一緒に遊んでくれる人を探していたのです。
可哀想に思った夢ちゃんは、そんなドリームと一緒に遊ぶことにしました。
何日も何日も、色々な遊びをして、ドリームと友情をはぐくみます。
だけど、夢ちゃんがそんな楽しい夢を見れる時間には、限りがありました。
だんだんと大人になっていく夢ちゃんは、夢を見なくなっていったからです。
そうなると一緒に遊べなくなってしまうドリームは困りました。
また一人ぼっちになってしまうので、夢ちゃんに大人になってほしくないと思うようになります。
だからドリームはある日、夢ちゃんに頼みごとをしました。
夢の中の世界にずっといてほしいと。
そうすれば時が止まって、永遠に子供のままでいられるから、と。
ドリームもその夢の中の世界にずっといるから、ここで二人で暮らそうと言いました。
だけど夢ちゃんは首をふります。
大人になったら楽しい夢も見れなくなるし、友達とも会えなくなるけれど、夢ばかりを見続ける事はできないと。
自分が楽しい夢を見て過ごしてきた分、小さな子供達に安心して夢を見てもらうために、しっかりとした大人に成長したいのだと言いました。
夢ちゃんは夢を叶えるために、大人になることを選びます。
決意に満ちた夢ちゃんの言葉を聞いて、ドリームは落ち込みました。
夢ちゃんが去っていった夢の世界で、一人ぼっちになることが決まってしまったからです。
でも、夢ちゃんはドリームと約束しました。
会えなくなっても自分たちはずっと友達だよ、と。
ドリームは会えない友達なんて意味がないと思いましたが、夢ちゃんは言います。
会えなくても友達のままなら、いつでも大切な友達の言葉を思い出せるし、顔を思い出せる。
頑張る力を貰う事ができるのだと。
その言葉をきいたドリームは半信半疑でした。
そしてとうとう、夢ちゃんとの別れの時がきます。
再び一人ぼっちになってしまったドリームは寂しい思いをしてしまいます。
他の妖精と仲良くできないドリームは、夢の世界で夢ちゃんのような子供を探してばかり。
でもなかなか見つかりません。
そんなドリームに、会えなくなるまえに夢ちゃんが残した言葉がよみがえります。
友達はあえなくなっても友達。
友達でいれば、友達の言葉や顔を思い出す事ができると。
ドリームはたくさん夢ちゃんの言葉や顔を思い出しました。
すると、心が温かくなって、寂しきもちがほんの少しやわらぎます。
ちょっとだけ孤独ではなくなったドリームは、夢の世界でとうとう他の人間の子供と出会いました。
その子はドリームと同じで、人となじめない孤独な男の子です。
その男の子と、たくさん遊んで仲良くなったドリームですが、今度はドリームがお別れを言う番でした。
ドリームは大人になり、夢を叶える事を選びます。
落ちこぼれが悲しい思いをしないように、大人になって子供の妖精を守るという夢を。
一緒にいたいと泣き続ける人間の子供に、ドリームは夢ちゃんが言っていたように、言葉を伝えます。
あえなくなっても友達は友達。
友達でいれば、友達の言葉や顔を思い出す事ができるのだと。
ドリームはそうして大人になっていきましたが、人間の子供はその言葉を受け取って孤独を少し和らげます。
そうして、友達を思う優しい心は、友達の友達へと続いていき、今もどこかでいるさみしい誰かの心を癒し続けていきます。




