・第八話 ≪戦争準備段階≫
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第八話
「戦争準備段階」
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南李共和国は南北統一に対する欲求は少ない方である。元々南北統一国家であった王国は北に追いやられており、南李共和国は己達の新たな国という意識が強かったのである。
しかし、苦しむ同族に手を差し伸べないほど、北側の同族を差別もしていなかった。
南李共和国は宗主国たる月皇国に対して、大規模な難民対策援助金を要請。せめて逃れてくる難民ぐらいは助けようと動き始めていた。
「それならば、南北を統一せよ」
援助金の要求への返事はそれであった。
「南北を統一し、荒れ果てた人民と土地を解放せよ。我々月皇国はそれを支援し後押ししよう」
つまりである。ちまちま救うなら一気に救えと、月皇国は北部侵攻の許可を与えたのである。どれほど来るか分からない難民の救済策にちまちまとカネを出すよりも、大元を解決した方が安く済み、何より確実との判断であった。
『まさか、戦争の許可が降りるとは…』
『部隊を再配置‼︎苦しむ同族を救うのだ』
『何が始まるかだと⁉︎
ーーー南北統一戦争だ‼︎』
南李共和国は急速な軍拡を開始。月皇国も多数の派遣軍を半島に送り込むこととなる。
戦火は軍靴の音と共に近付いてきていた。
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●玄岳城・司令官執務室●
「やりすぎたか…?」
大事になりつつあると感じた誠は、軽く冷や汗を流しながら、机の上に置かれた攻勢計画書を手に取る。
「いや、どちらにしろ大陸に進出したい月皇国と暴帝国はぶつかる予定だったんだ。問題ないだろ」
攻勢計画書に書かれた内容を、誠はゆっくり確認する。そして、ん?と眉を顰める。
「これ馬賊の兵力が計算に入ってないな。ならもっとやれるんじゃないか?」
計画書には戦力として馬賊が組み込まれてなかったのである。そこで誠の頭の中に悪魔の企みが思い浮かぶ。
「本当に、俺という人間はこういう悪いことを考えるのが得意なようだな」
攻勢計画書を机の上に置き、誠は机に置かれていた白湯を飲む。
「さて、どこまで下ごしらえできるかだな」
ーーー玄岳城に相対するのは、北李王国軍1個大隊に別で2個中隊である。戦力が多い代わりに、城のような防衛施設はなく。兵舎と見張り棟があるくらいである。
対する誠の部隊は1個大隊約1000名。それにさらに馬賊連合天狼団主力部隊800名。しかも、号令をかければもう200くらいはすぐに集められる。
「数でも優勢。強いて言うなら装備で劣るが…
ーーー何事もコネだな」
『失礼します』
大隊の兵士が部屋に入ってくる。
『大隊長に売り物を届けに来たと商人が言ってますが…』
『待ってました。思ったより時間がかかりましたね』
軍帽を被った誠が部屋を出て商人の元に向かう。
『ん?おお‼︎港の坊主‼︎』
そこにいたのは平民ロマンヌ語と呼ばれる、下町風のロマンヌ語を話すロマンヌ人であった。
『待ってましたよ。あと、流石にもう坊主の年齢ではありませんよ』
『がははは‼︎そうかそうか‼︎もう酒も飲める年だもんな‼︎だが、相変わらず綺麗な貴族ロマンヌ語だぜ‼︎』
『貴族とも少なく取引がありましたからね。ところで物の方は?』
『おう‼︎こっちだぜ』
ロマンヌ人に誠がついていくと、そこには5台の馬車が並んでいた。
『お買い求めの武器だ‼︎ロマンヌの兵器工場から流れてきた純正品だぜ‼︎』
『兵器工場から?中古でよかったんですが…』
『それがよ。ちっと妙なことになっててな』
『妙な事?』
商人の男が眉を顰めながら耳打ちする。
『ロマンヌの上層部が南李共和国と月皇国に武器の支援をしようとしてる流れがある。この武器もその関係でかなり安く仕入れられたんだ』
『そういえば、ロマンヌは暴帝国の方を仮想敵としてましたね。我々と暴帝国を争わせて両者を疲弊させる気か、それとも…いえ、今はいいです』
誠が頭を左右に振る。
『ということは、それなりに安くしてくれるんですかね?』
『もちろんさ‼︎』
取引はすぐに終了し、誠が箱に入った金貨と南李共和国の通貨を差し出す。
『相当稼いでるみてぇだな。まあ、深くは突っ込まんがね。ところで』
『北部占領の証には、私の支配地域の港を開放しますよ。貴方達に特別に』
『くっくっくっ、頑張って運んできたってもんだ。それじゃあな‼︎武運を祈るぜ』
商人達が立ち去る。
『大隊長。これは…』
『まあ、子供時代のコネというやつです。気にしないでください。それよりも全て武器庫に運び入れてください』
『は、はい‼︎すぐに‼︎』
ロマンヌの主力小銃【モノノフ・ナルガ小銃】が次々と武器庫に運び込まれてゆく。
『すごい数の銃だな』
『それだけ南北戦争が迫っていると言う事だ。さっさと運び込むぞ』
『ああ』
大隊の兵士達が武器を武器庫に収納する。
『馬賊の連絡兵はいますか?』
『はっ、こちらに』
馬賊の連絡兵が誠の前に現れる。
『それぞれの馬賊に指示を下します。戦力を増強してください。武器はできる限りこちらで拠出します』
『かしこまりました。来るべき戦に備え、軍を増強いたします』
馬賊の連絡兵が早足で立ち去る。
「さて、あとは…部隊ステータス」
ボソリと誠が呟くと、半透明な画面が誠の目の前に現れる。
≦部隊名:南李共和国軍第六歩兵大隊≧
≦総兵力1000名≧
≦部隊評価:
・指揮統制85%
・射撃戦闘能力Lv8
・近接戦闘能力Lv5
・部隊知略Lv6≧
≦獲得特性:
・要塞駐屯部隊:部隊負傷率-15%、士気低下-10%。
・属国軍:士気-5%≧
≦部隊名:天狼団馬賊連合常備軍≧
≦総兵力1008名≧
≦部隊評価:
・指揮統制72%
・射撃戦闘能力Lv10
・近接戦闘能力Lv12
・部隊知略Lv8≧
≦獲得特性:
・馬賊:略奪品獲得率+50%、奇襲成功確率+15%。
・略奪者:略奪品獲得率+30%、非武装相手への攻撃力+15%、戦場離脱成功率+5%≧
「悪くない。これならやれる」
誠はニヤリと笑みを浮かべるのであった。
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●南李共和国・とある港●
月皇国軍の派兵は比較的早めに行われた。ただし、分割して派遣されることとなった。
第一陣である8000名の8個大隊は、月皇国から最も近い港に上陸。国境地帯に配備されることとなる。
「我々は最左翼か。ん?城があるがここに駐屯しないのか?」
とある大隊の大隊長が副官に問いかける。
「あー、えっと、そこは玄岳城といって、月皇国軍人が指揮する部隊が駐屯しているようですね。我々はその部隊が進出してきた北李王国軍を抑えている間に、後方へ進出して戦線を崩壊させる作戦のようです」
「なんかその指揮官に悪いな…ついたら土産持参で挨拶に行っておくか?」
「悪くないかと。しっかりと意思の疎通を確立しておけば、確かな意思で敵の攻勢を押し留めてくれるでしょう」
「うむ、それでは到着し次第挨拶に行こう」
大隊長の名は【熊川 五郎】少佐。半分政治家半分軍人を輩出する名門貴族の五男であった。
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エンド
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