・第六話 ≪玄岳城≫
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第六話
「玄岳城」
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玄岳城は旧李王国統治時代に建設された城である。ちょうど国境を見渡せる場所にあり、今なお重要拠点とされている防衛拠点でもあった。
1個大隊が防衛部隊として配置され、いつ侵攻してくるかも分からない北李王国軍に備えていた。
そして今現在…馬賊を指揮する指揮所としての機能も備えていた。
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●玄岳城・司令官執務室●
「ふむ、ようやくまともな抵抗が始まったか」
報告を聞いた誠は緑茶を一口飲む。
『一部部隊の半数40名が戦死しました。しかし、敵は小規模であるようで、あちらも相当の被害を出していると』
『見かねた独断専行部隊か、それとも小規模であっても上が兵を動かしたか…まあ、どちらにしろやることは変わりません。王太子受け渡し完了まではまだまだ略奪は有効です。敵は大した軍事活動はできません。奪い破壊しなさい』
『はっ‼︎…それと襲撃部隊よりこちらを預かっております』
馬賊の連絡兵が誠の机の上に箱を置く。その蓋を開けると中にはそれなりの金額のお札が入っていた。
『略奪品の儲けの一部です。こちらは我々から我らが王への忠誠の証として、受け取っていただければ幸いです』
『1000圜。それなりに稼げたようですね。忠誠の証として確かに受け取りましょう』
誠が笑みを浮かべる。
『…王は我々の行為に忌避感を感じられることはないのですか?』
『ん?ああ、略奪行為ですか?まあ、馬賊ですし納得してますしね』
『普通の軍人であれば忌避して当たり前かと…実際、王国の連中は我々を忌避していました』
『成程、確かに普通でしたらそうですね』
誠は立ち上がり外を見つめる。南李共和国軍兵士達が行進練習をしていた。
『うーん、結局は利益と不利益の話になりますね。私は私に不利益をもたらすものは嫌いですが、利益をもたらすものは差別しないのですよ。それが私の利益になるならするし、不利益になるなら切り捨てる。そういう話になってしまいますね』
『すみません、無学な自分には…』
『私も感覚の問題なので構いませんよ。とりあえず、今は私の利益になってると理解してくれればそれで構いません』
『分かりました』
誠は馬賊の連絡兵を見る。
『さて、新たな命令を下します。港町を襲いなさい。港を破壊して海路を潰してください』
『港ですか』
『ええ、陸路よりも海路の方が暴帝国から増援を送りやすく、支援物資も送れますからね。それに金目のものが山積みでしょう』
『しかし、それですと今まで通りの戦力では…』
『何のための馬賊連合ですか?いえ、そうですか。私以外が指揮をすれば指揮系統に問題が出ますね。
ーーーではここは一つ、私が指揮をしてみましょう』
『は?』
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●湾岸都市●
湾岸都市【柳河港】は旧李王国時代から暴帝国との貿易のために整備された都市である。そのせいか防備は弱く、駐在部隊も少なかった。
その近くの森の中に、数多の馬賊達が集まりつつあった。
『馬賊総勢600名。ただいま集結しました』
『騎馬は何騎いますか?』
『300ほど』
『悪くないですね』
連絡兵から報告を得た馬賊のような服装の誠は、ニタリと笑みを浮かべる。
『作戦は伝えた通り。やり方は基本的に任せます。奪うも破壊するも自由です』
『『『『『応‼︎』』』』』
馬賊の攻撃は奇襲に始まり奇襲に終わる。馬賊の騎兵が森から現れたと同時に、開いている城門へと一目散に駆け抜ける。
『ん?あれは…馬賊だ‼︎馬賊の襲撃だ‼︎』
『襲撃の鐘を鳴らせぇええ‼︎』
『城門を閉めろ‼︎間に合わん市民は放っておけ‼︎』
鐘が響き渡り、重い城門が閉められようとする。
『撃て‼︎』
十数発の発砲音と共に、城門を締めようとした兵士たちがその場に倒れる。
『城門確保‼︎行け‼︎雪崩込め‼︎』
『『『『『おぉおおお‼︎』』』』』
残っていた馬賊達が、開きっぱなしになった城門に駆け出す。
『防衛部隊あつまれ‼︎馬賊の略奪を許すな‼︎』
『たかが馬賊と侮りましたね?』
≦全兵種スキル≪神速進軍≫発動≧
≦指揮下に対して移動速度+30%≧
馬賊達が常識外れな速度で城内へと侵入する。北李王国軍の防衛線の構築よりも早くである。
『ヒャハハハ‼︎中に入っちまえばこっちのもんだ‼︎』
『火を放て‼︎奪えないものは破壊しろ‼︎』
侵入に成功した馬賊達があちらこちらの家に火を放つ。大きめの家には押し入って物資を略奪する。
『何ということを…‼︎今は避難誘導よりも賊の排除に集中しろ‼︎馬賊を追い出さねば被害が拡大するだけだ‼︎』
『燃やせ燃やせ‼︎港ごと全部燃やしちまえ‼︎』
馬賊は四方八方に散り都市の炎上を拡大させる。後手に回った北李王国軍は馬賊の掃討を急ぐが、散った馬賊達を短時間で掃討するのは無理があった。
『不味い‼︎やつら港にも火を放つ気だ‼︎』
『兵を港に集めろ‼︎避難民もだ‼︎』
船で沖に逃げようと、都市の難民達が押し寄せる。港はパンク状態であった。
『頼む‼︎船に乗せてくれ‼︎』
『お願い乗せて‼︎』
『くっ、船を出せ‼︎』
暴帝国所属の船が次々と港を離れていく。助けを求める市民達を見捨ててである。
『きひひっ、勿体ねぇが仕方ねぇ』
『たらふく食らいな‼︎』
自作の火炎瓶が投げつけられ、あちらこちらに火の手が上がる。それは馬賊達が誠から教えられた秘策であった。
『がははは‼︎綺麗に燃えるぜ‼︎』
『しかし、そろそろ時間です。笛を鳴らして下さい』
『り、了解っす』
撤退のための笛が響く。
『ちっ、もう時間か』
『遅れたら王国軍の連中に包囲されるぞ』
『略奪品を忘れるなよ‼︎』
馬賊達が炎に包まれる中を撤退していく。略奪品が都市の外で待っていた馬車に詰め込まれてゆく。
『大量大量‼︎』
『これで皆食うに困らないぜ』
轟々と燃え盛る都市を背に、馬賊達はその場を離れてゆく。
『馬賊は去った‼︎市民の救助と火の消火を急げ‼︎』
防衛にあたった士官…崔 武健が鎮火などの作業にかかる。結果として軍民に多大な被害を出した上、港が全焼同様の状態となってしまっていた。
さらに、暴帝国の船が避難民達を見捨てたことにより、反暴感情が増大。一部市民に至っては南側への併合を求める反政府活動を行い始めるほどであった。
後の歴史で、北荒の屈辱の期間において最も屈辱的かつ大事件として語り継がれる【柳河港炎上事件】は、こうして終わりを迎えた。
≦戦闘完了。リザルト開始≧
誠の頭の中に声が響く。
≦戦闘結果:圧倒的勝利≧
≦撃破敵数:3500名(火事等の二次被害含む≧
≦獲得捕虜:0名≧
≦味方戦死者:28名≧
≦味方負傷者:3名≧
≦評価備考:港設備の全焼≧
≦獲得報酬:恩賞金850圜、旧李王国金貨630枚、機関銃(【ムキシマム重機関銃】2丁、弾薬2000発、部隊経験値+1000≧
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エンド
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