・第二話 ≪大陸のパワーゲーム≫
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第二話
「大陸のパワーゲーム」
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半島は今現在大国のパワーゲームの盤上の最中にあった。古き大国暴帝国、新たな大国月皇国、そして北の荒熊と恐れられる大国【帝政・ロマンヌ】。3カ国によるパワーゲームは月皇国の大勝により大きく場面が変わろうとしていた。
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●帝政・ロマンヌ●
●ナヴァ総督府●
帝政・ロマンヌは同君連合の主要3カ国と8カ国の属国による連邦国でありながら、たった1人の皇帝が全てを握る大国である。軍事力を背景とした恐怖による統治こそこの国の本質であった。
この総督府も属国【ナヴァ国】を支配するための重要な拠点であった。
『月皇国の大勝により、この東方世界は大きく揺らいだ』
高級将校の軍服に身を包んだ男がロマンヌ語で同席している男に告げる。その言葉に月皇国への忌避感はない。
『…中央は此度の李王国の件をどのように考えている?』
『悪くはない、と言っておきましょうか?確かに大陸パワーゲームに新たな大国が介入するのは不愉快ではあります。しかし、ナヴァ国の喉元に突きつけられた李王国という剣が、2つに引き裂かれたというのは実に好都合』
そう、李王国はナヴァ国から近い国であり、歴史上幾度となく戦火を交えてきた。その国が2つに引き裂かれたというのは、李王国の宗主国暴帝国との戦争がやりやすくなったという利点があった。
『それに、西方世界において我が国は孤立の危機にある。西に東に、2正面戦争は避けたい』
『ということはもしや…』
『ええ、我が帝政・ロマンヌは月皇国と共に暴帝国を攻略。そのまま南下し、西方列強国の植民地を奪い取ります。西方世界で踏ん反り返っている大国共の足場を蹴り飛ばしてくれる‼︎』
実はロマンヌという国は幾度となく政府が揺れた国であり、はっきり言うと周辺諸国からは舐められているのが実情だ。そのため、西方世界と呼ばれる国家達からは狩場として狙われていた。
しかし、古き大国として名の売れている暴帝国を攻略し、さらに南下し西方世界を揺るがしたのなら?西方世界諸国は認識を改めざるおえないだろう。
『しかし、月皇国がコントロールできますかな?』
『だからこその支援です。餌を与え続ける限り噛み付いてくることはないでしょう。もしも噛み付いてきた時は…。
ーーー月皇国を喰らうまで』
『我が国にはまともな海軍はないぞ?』
ナヴァ国含め、ロマンヌは陸軍国家であり海軍は実に少ない。元は発展途上国であった月皇国海軍にボロ負けするであろう規模しか有していない。
『大陸から追い出す程度で構いません。それで月皇国は列強落ちする』
『そう簡単にいくとは思えんが…』
『問題ありません。それよりも早急に月皇国を味方に引き入れたい。月皇国に支援の打診を行います』
新たな大国の本格的介入が始まった。
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●南李共和国●
●とある地方都市●
「成程。成程ね」
軍馬の上で指揮を取る誠は、白けた様子でため息を吐き出す。
『敵軍引いていきます‼︎』
『追いかけてケツに鉛玉ぶち込みますか⁉︎』
敵に敵意むき出しな、いや戦意旺盛な誠の部下達が追撃の指示を求める。しかし、誠はそれを手で止める。
『今は構いません。それよりも被害の確認と補給を急いでください』
『『はっ‼︎』』
都市の外には、旧李王国の軍服に身を包んだ反政府ゲリラ達の死体が、ゆうに百を超える数が打ち捨てられていた。
「反政府ゲリラ【【復興義勇隊】か。確かに数は驚異だが…あまりに無策だ」
宗主国月皇国の傀儡国になった南李共和国であるが、もちろんそれに反対する反政府組織も存在する。それが復興義勇隊と名乗る反政府ゲリラである。
旧李王国の貴族を中心とした反政府ゲリラであり、人数は多くて資金提供も北李王国と暴帝国から受けているため巨大な組織である。
「しかし、それにしたって弱い」
そう、弱いのである。兵の質も悪く、まともな作戦もなく兵を突っ込ませてくる。結果として南李共和国の被害は少なく、敵の損害は多い。
「自国の支援もないようだしな」
復興義勇隊上層部は旧李王国系の貴族や上流国民であった。つまり、住民から今まで搾取して弾圧してきた連中である。支援してくれるのは北李王国と清国であり、地元の南李共和国は逆に反発しているのが実情である。
『報告します‼︎被害はありません‼︎一方的な戦いだったようです』
『まあ、相手には大砲がないのに城塞都市に攻め込めばそうもなりますね。兵を今のうちに休ませてください。小休憩後、残敵の索敵を行います』
『はっ‼︎』
≦戦闘完了。リザルト開始≧
誠の頭の中に声が響く。
≦戦闘結果:圧倒的勝利≧
≦撃破敵数:112名≧
≦獲得捕虜:5名≧
≦味方戦死者:0名≧
≦味方負傷者:12名≧
≦評価備考:なし≧
≦獲得報酬:恩賞金80 圜、小銃(【龍門式歩槍】)13丁、弾薬1000発、部隊経験値+250≧
声が止まる。そう、これは誠が第二の人生に転生した際の転生特典の一つである。
「便利ではあるんだよな」
戦闘などに限定されるが、戦闘後リザルトが発生。戦闘規模や双方の被害に戦闘後の利益などを計算し、それに見合った報酬を得ることができる。
「しかし、80圜ねぇ。まあまあ貰えたな」
この南李共和国では今のところは旧李王国の通貨が使われている。1圜=100 圜 =1000 文である。
「令和日本だと14万とちょいぐらいか?相変わらず報酬ガバガバだな」
ただし、部隊運営となると少々心許ない金額である。
「稼ぐためにもさっさと追撃したいところだが…しかしどう攻略したものかr
第六臨時臨時歩兵中隊の総兵力は200名。対する復興義勇隊は2000を超える兵がいるとされていた。
「数は単純にそれだけで力になる。せめて戦力2倍にまで持ち込めれば…」
『ち、中隊指揮官殿でよろしいでしょうか?』
「ん?」
誠が振り返ると、そこには南李共和国軍の士官用軍服姿の士官が立っていた。それも3人である。
『はい。第六臨時編成歩兵中隊隊長の天ノ川 誠中尉です。失礼ですが貴官らは?』
『だ、【第一国境警備中隊】隊長の【李 昌虎】大尉であります。こちらは』
『【朴 永植】。大尉であります。歩兵中隊を率いてゲリラ掃討を行なっております』
『【崔 斗鉉】…大尉だ。同じく…歩兵中隊を率いている』
『これは失礼しました』
誠が敬礼する。それに3人も応えて敬礼を行う。
『本日はどのようなご用でしょうか?これから追撃戦の予定なのであまり時間は取れませんが』
『我々は良い加減ここら辺の復興義勇隊を殲滅したいと考えております。中尉殿にもご協力いただきたいと思いここに来ました。受けていただけないでしょうか?』
『それはつまり、共同追撃ということですね。こちらとしては助かる話ですが…まだ他にありそうな顔をされてますが』
3人の顔色はあまり良くない。話しずらい用件があると一目でわかるほどであった。
『申し訳ない…連戦で武器の補給が間に合っていない。ゲリラの武器をこちらで使わせてもらいたい。それと…過剰武器があれば…融通してもらえないだろうか?』
『ん?補給が滞っているのですか?』
『最低限は来ているのですが、攻勢を仕掛けられるほどには』
『成程』
誠は少し考え、すぐに笑顔で答える。
『構いません。過剰武器に関しては以前鹵獲した13丁と弾薬1000があるのでお持ちしましょう』
『ありがたいッ‼︎』
『それより、戦力の確認をしたいのですが…』
『国境警備中隊は150名です。今こちらに向かっています』
『この朴の中隊は180名です。ただし、内20名近くは負傷しております』
『俺の中隊は…戦闘可能が130。それに武器があれば…180までいける』
つまり、200+150+180+180である。負傷者-20したとしても690名。単独中隊の3倍以上である。
『それと、周辺をナワバリとしていた馬賊…【龍雲】という馬賊が300の手勢を連れて合流すると』
『馬賊?山賊ですか?300というとそれなりに大規模ですが』
『何と言いますか…現地武装勢力で時には武力で己の縄張りを守り、時には近隣地域を攻めて略奪する。そんな連中です』
山賊のようでありながら自警団。まさに現地権力集団であった。
『特に龍雲という馬賊は、ここら一体を縄張りとしていて、元々旧李王国と暴帝国に反発していました。我々への協力を申し出てきたのは、反旧李王国のためでしょう。それか恩を売るためか…補助戦力としては十分ですが、信用できる相手ではありません。お気をつけください』
『…了解しました』
戦国時代で言うところの国人のようなものかと理解した誠は、再度戦力と戦略を考える。
『隊長殿‼︎部隊の追撃用意完了しました‼︎』
『それでは先ずは軽く一当てといきましょうか。何、敗走した連中を小突くだけですよ』
第六臨時編成歩兵中隊は都市から出撃。追撃戦を展開することとなる。
「ーーー蹂躙の時間だ」
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エンド
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