・第十話 ≪開戦の状況≫
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第十話
「開戦の状況」
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南李共和国軍の突然の北進と国境突破。それは北李王国の予想だにしないことであった。何せ戦争が終わってから間も無く、軍の編成期間中だと思っていたためである。
しかし、南李共和国軍は無理をして軍をそろえてきた。圧政に耐える同族のためにと。
ーーー南李共和国軍10万人(後方部隊含めると13万人)が北進を開始。さらに1万と元からいた8000の月皇国軍も北進を開始した。
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●国境戦線右翼●
●南李共和国軍側●
「突撃‼︎敵の戦線を突破せよ‼︎」
『突撃‼︎敵の戦線を突破せよ‼︎』
『『『『うぉおおお‼︎』』』』
月皇国軍人に率いられた南李共和国軍部隊が国境地帯の砦に突撃を仕掛ける。
『迎撃‼︎撃て撃て‼︎』
「間抜けめ。まだ遠いわ‼︎」
慌てて迎撃に当たった北李王国軍は混乱を突かれ、南李共和国軍の接近を許してしまう。
「梯子をかけろ‼︎他の者達は銃撃で支援‼︎」
『梯子をかけろ‼︎他の者達は銃撃で支援‼︎』
砦に次々と梯子がかけられて、そこに急いで南李共和国軍兵士達が梯子で砦の中に乗り込んでいく。
「きぇえええい‼︎」
『ぐぎゃっ‼︎』
月皇国軍人による軍刀の上段一線で、北李王国軍兵士が血を噴き出して倒れ伏す。
『おのれ‼︎』
『雪崩れこめ‼︎』
北李王国軍兵士達に南李共和国軍兵士が襲いかかる。
『こいつら、つ、強い‼︎』
『鬼のような月国人に教え込まれたからなッ‼︎』
南李共和国軍を指導していた月皇国軍人達の特徴は、異様に接近戦が得意なことである。それは国内で群雄割拠の戦乱を生き残った子孫ゆえか…兎にも角にも接近戦が得意なことが月皇国軍人の特徴であった。それは弟子たる南李共和国軍に引き継がれていたのである。
『こ、こんなの勝てるかよ‼︎』
『に、逃げろ‼︎』
対して、北李王国と暴帝国の軍人たちの特徴として共通しているもの。それは勢いである。
己が有利、または優勢勝っていると思えば、濁流のように押し寄せてくる。その威力はまさに土石流の如くである。しかし、一度不利か負けると思えば、即座に弱腰になり撤退を始める。
それが両国の軍の特徴であった。
「ふん、右翼戦線は我々古参組が担うとして…中央の若手連中はうまくやれているのかね?」
「大隊長‼︎城の制圧は完了しました」
「よし、一息入れたらすぐに進軍を再開するぞ‼︎」
「はっ‼︎」
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●国境戦線中央●
●南李共和国軍側●
戦線中央。両軍が最も戦力を集中させているこの戦線は、左翼右翼とも比べ物にならないほどの激戦が繰り広げられていた。
「クソッ‼︎数が多すぎる‼︎」
「どっから湧いて来やがった‼︎」
大砲の制圧射撃後に侵攻した南李共和国と月皇国を待ち受けていたのは、自軍の5倍はあろうかという大軍勢であった。
『くっ、南李共和国の連中なんという攻撃の苛烈さだ‼︎』
『将軍‼︎戦力を右翼左翼に振り分ける余裕がありません‼︎振り分けようと進軍をさせようとした瞬間に、敵軍にやられます‼︎』
『何としても増援を送れ‼︎左右の戦線が崩壊しては意味がないのだぞ‼︎』
そう、北李王国軍が戦力を中央に集中させていた理由。それは戦力再配置のために、一先ず中央の戦略的司令部に兵力を、近くの駐屯地から送り込んだためである。
しかし、戦力を左右に振り分けようにも、圧倒的大砲の制圧射撃と暴帝国よりも優秀な銃火器により、軍団を離れた瞬間に吹き飛ばされる。そんな困難な状況に陥っていた。
「将軍閣下‼︎戦線は膠着しております‼︎中央戦線での突破は至難の業かと‼︎」
「予想よりも増援が早かったか。他の戦線は?」
「右翼は辛勝といった感じで、白兵戦で砦を占領しつつあると」
「左翼は?」
「多くは膠着。ただし、最左翼の部隊が敵軍1個大隊と2個中隊を殲滅。例の馬賊に焼き討ちにあった柳河港の都市を占拠しました」
「ほう?」
朗報に将軍が目を細める。
「今はどこを攻めている?」
「鉄峰堡に進軍中とのこと‼︎」
「あの地下要塞か。最左翼は今からが本番というわけか」
その時、別の伝令が駆け込んでくる。
「ほ、報告‼︎ 鉄峰堡が我が軍の軍門に降りました‼︎これより馬賊【鉄峰堡団】として、馬賊取りまとめ役の天ノ川少佐に従うと」
「「な、なんだってぇえええ⁉︎」」
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●鉄峰堡●
『降伏していただき感謝いたします。とでもお伝えしておくべきですかね?』
『はっ、我ら鉄峰堡団は馬賊王に忠誠を捧げます』
鉄峰堡の司令官が臣下の構えを取る。
『で、ですのでどうか…』
『分かっております。天狼団の幹部待遇で貴方をお迎えしましょう。天狼団でその手腕と軍事力を活かしていただきたい』
『ははっ‼︎必ずやご期待に応えて見せます‼︎』
そう、鉄峰堡の駐屯部隊は荒れる一方の国境地帯を見て、北李王国への忠誠心を失っていた。そこで、悪魔の囁きが耳に入ったのだ。
ーーー寝返るならば、馬賊連合の幹部の待遇を用意しよう。
『(馬賊如きに押される北李王国など、放置していてもそのうち滅ぶ。泥舟に乗る気などないのだ‼︎なれば、馬賊として…一世一代の大勝負だ‼︎)』
『王よ』
龍雲が膝をつき、臣下の構えを誠にとる。
『来ましたか。予定通り、馬賊部隊を放ってください』
『作戦は』
『全て予定通りです。ああ、貴方もどうですか?』
『どう、とは?』
鉄峰堡の司令官が問いかける。それに対して誠はにっこりと微笑んで応えた。
『馬賊といえば、略奪に決まってるじゃないですか。ここら一帯を襲撃するんですよ』
『なん、ですと?』
『まあ、見てれば分かりますよ』
ーーー十数分後。鉄峰堡から次々と馬賊の騎馬兵が飛び出していく。その数は1000。
「まさかかき集めたら馬賊だけで3000の兵になるとは思わなかったが、まあちょうどいい。
ーーー徹底的に補給線を略奪し尽くしてやるよ」
そこから行われたのは、激烈なる補給線に対する略奪襲撃であった。食糧や武器等の物資から、少数部隊への略奪奇襲攻撃まで。とにかく、馬賊達は後方地帯を荒らし始めたのだ。
『我々は馬賊だ‼︎事前の約束通り、天狼団に合流する‼︎』
『がはは‼︎了解した‼︎殺せ、奪え、燃やせ、破壊しろ。それが我らが王からの勅命ぞ‼︎』
『『『『『うぉおおおお‼︎』』』』』
国境地帯を荒らし回っていた馬賊達が次々と天狼団に合流。襲撃部隊の規模は1000から3000にまで膨れ上がることとなる。
そしてそこまでいくと、もはや後方への圧力という結果だけでは済まなくなってくる。
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●国境戦線左翼中央●
●北李王国側●
『ん?何だ?』
何かの音に気がついた北李王国軍兵士が振り向く。そこにいたのは今にも発砲しようとする馬賊達の群れであった。
『ば、馬賊だァアアア‼︎』
馬上射撃の一斉射撃が北李王国軍に降り注ぐ。
『ぎゃッ⁉︎』
『ぐあっ⁉︎』
『た、助け』
撃ち抜かれた北李王国軍兵士達が血を噴き出して倒れてゆく。
『よし‼︎撤退‼︎深入りするなよ‼︎』
『『『『応‼︎』』』』
馬賊達の後方からの襲撃に、北李王国軍の戦列が乱れる。
「好機」
その瞬間を、熊川 五郎少佐は見逃さなかった。
「総員着剣‼︎銃剣突撃前へ‼︎」
「「「「「「うぉおおお‼︎」」」」」」」
月皇国軍の真髄たる銃剣突撃が開始される。熟練の月皇国軍の銃剣突撃は生半可な銃撃弾幕では防ぐことはできない。
「せい‼︎」
『ぎゃあ‼︎』
「北李王国の兵は格闘戦に弱いな‼︎」
「違いねぇ‼︎赤子の手をひねるより簡単だぜ‼︎」
五郎の部隊と対峙していた北李王国軍部隊が銃剣突撃にて崩れてゆく。
『王国連中が崩れたぞ‼︎』
『追撃だ‼︎奥歯をガタガタいわせてやる‼︎』
『死んだら奥歯ガタガタも何もないだろうが』
『確かに』
逃げの態勢に入った北李王国軍に対して、馬賊が死体撃ちとも言うべき追撃戦を行う。
『降伏する‼︎命だけは助けてくれ‼︎』
「よろしい。降伏を受け入れよう」
北李王国軍の兵士達が両手をあげて降伏する。
「馬賊連中はどこに向かうと?」
「はっ、中央に向かって後方を脅かすと」
「ならば、我々は横側から構成を仕掛けよう。半包囲だ」
「はっ‼︎」
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エンド
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