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偽善事業  作者: 灯月公夜
第一章:真っ暗/日常/私の世界
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 その晩、あかねはありさに電話すべきか悩んでいた。

 それはあの『布川良平』という人物についてだ。

 最近の噂によると、二人は手を繋いで帰っているらしい。先日までありさのお母さんが送っていたはずなのに。

 何があったのだろう?

 あかねはただただありさの事が心配でならかった。

 あの『布川良平』という存在。それがありさにとって悪影響を及ぼすのではないかと思うと、胸が苦しくなる。

 よし、電話をかけよう。

 そう思うまで2時間ほどかかった。現在は夜の10時半を少し回った時間だ。電話するのにもそろそろ限界の時間だろう。

 手に汗を滲ませながらありさの電話にコールする。

 機械音を響かせてコールが鳴る。ありさはまだ通話に出てこない。最後にもうコールが切れそうだ、というところでありさが電話を取る。

『もしもし、どなたですか?』

 ありさの声だ。その声は少し緊張気味だった。

 失明したら相手が誰なのかもわからない。そう言う恐怖があるのだろう。

「こんこん、あかねだよー」

 あかねは務めて明るい声色でそう告げる。

『あかねか……』

 ありさの声色が柔らかくなる。

『……どうしたの?』

「いんやー、ちょっとね。聞きたい事があってさ」

「何?」

 知らず知らずの間に手汗を掻いていたようだ。

 あかねはごくりと唾を飲み込む。

「あの、その、えっとね。…………最近、あの布川くんと一緒に帰ってるみたいじゃない? 一体どうしてなのかなー、って」

『ああ、そんなこと』

 電話口の向こうでありさは、ほお、とため息を吐いた。

「付き合っちゃってたりするのかなーって……?」

 恐る恐ると言う感じであかねは尋ねる。

『そんなんじゃないよ。ただ一緒に帰ってるだけ?』

「それが分からないんだよねー。どうして一緒に帰る事になったの?」

『お母さんがそうしなさいって言ったのよ』

 また受話器越しにありさはため息を吐いた。

「いやならいやって言った方が良いよ!」

『別にいやってことはないんだけど……』

「でも、なんかあるんじゃないの?」

 あかねは思わず強い口調で言ってはっとした。こんなつもりではなかった。

『別に。ただ、ちょっと話ながら帰ってるだけだよ』

 それにありさは変わらず冷静な声で返答する。

「なら良いんだけど……」

 あかねの言葉がしぼんでいく。もう、何が何だか分からなくなってきた。

『要件はそれだけ?』

 冷水にも思えるほど冷静にありさはあかねに尋ねる。

「う、うん……」

 落胆にも似た何かを胸にあかねは言葉を返す。

『じゃあ、もう電話切るね。またかけてね。あかねとのおしゃべり楽しいから、次はもっと楽しい話題で電話をかけてくれたら嬉しいな』

「わ、わかったよぉ。ごめんねー。つまらない事聞いて」

『いいのよ。あかねが心配してくれてる事は痛いほどわかったから。私は大丈夫よ』

「ならいいの。うん。……うん。それじゃあまたね、ありさ」

『うん、またね、あかね』

 そしてぷつりと電話が切れる。あかねの中で、何か他のも切れるような音が聞こえたが、務めて気付かないふりをした。



先週は更新できず、大変申し訳ありませんでした。


言い訳にしか聞こえないかとは思いますが、この作品は私にとって、とても手に余る作品のように感じます。

一行一行書くのがつらく感じられます。それほどまでに難しい。


来週も更新できるかどうか分かりません。ご了承ください。


感想・批評・拍手・拍手コメント、お待ちしております。

先日も拍手していただき、とても元気をもらいました。

気軽に押して頂ければと思います。

また、拍手コメントを書かれた際に、『返信は書かなくていいよ』と言われれば書きませんので。

拍手コメントも本当に一言でいいんです、何か反応してしていただきたいんです。

前記のように、この作品を書くのはとても辛いんです。一人じゃいつか止まってしまうのではないかと恐怖しております。

何卒よろしくお願いいたします。


それでは、ここまで読んでくださり、誠にありがとうございます。

来週更新できることを祈りつつ。

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