いい奴ではあるのだが - 2
【前回までのあらすじ】
とある世界に干渉し続け、ようやくその危険性を理解する
エイゼット君のあれからが気になってしまい結局見てみることにした。
どうやら幼少期に頭をぶつけたことは覚えているがそれ以外の変化はなかった。
後遺症もない。
よかった。
今は先生と呼んでいる子供と一緒に投影術の開発を進めているらしい。
ふーむ、あの術。
本当にあの子が作ったのだろうか。
それにしては完成度が高すぎる。
これから実験という割に理論が整いすぎているのは気のせいか。
考えるほど気になってくる。
こいつ、何者だ?
ちょっとイタズラして試してみよう。
事故にならない程度に機材をいじる。
それなりに複雑な機械だから原因の特定はすぐにはできまい。
どう分析するのかこの目で確かめさせてもらおう。
ふふふ、名案だ。
あの子供、冷静に対処しているな。
特に困った様子もない。
むしろ機械いじりを楽しんでいるように見える。
うーむ、何をしているかいまいちわかりにくい、もっと間近で見てみるか。
ん?何か言っているようだな。
文字起こし起動っと。
「いやここは問題ない。とするとこっちか?あれ、部品がずれてる。でもここは実験前に点検した。妙だな。圧力が掛かるようなところじゃ。ああ、なるほどね。エイゼット、ボクの邪魔をするな」
「え?僕何かしたかな、ごめん」
「ああいや、ごめんごめん。その、ちょっと集中しすぎてた。変な誤作動のせいで気が立ってたみたい。本当に君が悪いなんて思ってないよ」
「それならいいんだけど、先生にしては珍しいね」
「そうだね、気にしないで。ちょっと休憩しよう」
「うん」
エイゼット君が悪いわけではない、か。
だとしたらこれは、俺に言っているのか。
こいつ、俺に気づいている?
まさか。
気づくわけがない。
ゲートは向こうからは見えない、はずだ。
もし可能性があるとしたら。
気づくにはどうすればいい。
例えば干渉術による残留魔力なるものがありそれを検知する魔法?
それともゲート稼働時の魔力を感知する?
可能だとしてどうやって俺を特定するんだ。
行使される魔力に使用者を特定できる何かがあるのだろうか。
もしあるのであれば研究テーマとして実に面白い。
よし、誰かが研究しているかもしれない。
早速論文を漁りにいこう。
いや、いかん、好奇心でつい気が逸れる。
とにかく、投影術もそうだがこの子供はどうにも不可解だ。
優秀なのは認めるが、だからといってあの歳でここまでの技術を構築可能か?
それも1人で。
不自然さを正すなら、そうだな、協力者がいるはずだ。
であるならさっきの俺への忠告、危険な感じがする。
ここは本人の忠告通りに手を出すのを止めておこう。
楽しめるような結果にはならない。
次回「いい奴ではあるのだが - 3」




