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異界からあなたを追って - 暗  作者: Tongariboy


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あっちと違って頭がいい - 1

【前回までのあらすじ】

別人格の記憶は果たして自分と言えるのか

「エイゼット」

「なに、父さん」

「取引先から展示会のチケットをもらったんだが、お前行くか?」

「何の展示会?えーと、召喚物展示会か。暇だから行ってもいいけど。父さんも行く?」

「いや、俺はいいや。興味ないし」

「俺だって興味はないけど。まぁ折角だから行ってみるか」

「助かるよゼット君、後で適当に感想聞かせてくれ」

「りょーかい」


 父さんは俺に頼み事があると変な名前で呼んでくることがある。

やれやれ、仕方がないな。


 そういえば父さんからプライベート向きのモノをもらうのは久しぶりだな。

営業職って多くの人と接点があるらしく、いい顔しておくと粗品をもらうこともあるらしい。

しかし召喚術か。

マイナーな魔法だぞ。

気になるところがあるとすれば、自分の記憶に結び付くものが展示されているか。

その一点だな。


 小さい頃からあるこの他人の記憶。

不可解すぎて誰にも言っていないが解明できるならぜひ取り組みたい。

この記憶をこの世界で役立てようと考えたら何に利用できるだろうか。

おそらく異界の知識だ。

召喚術の研究者相手なら知識を提供してもそこそこ儲けられるかもしれない。

学費の足しにでもなれば父さんも喜ぶ。


 それにしてもこの記憶、というかイメージ。

俺じゃなかったらどう受け取るだろうか。

例えば前世の記憶だ、とか言い出す。

それでさも自分はその人間だったと思い込んだりするのだろうか。

それともただの夢や幻想で済ます。

あまりにも臨場感のあるイメージだ。

流石に夢と片付けるのは難しいのかもな。

何かの魔法だと考えるのが自然だが、そんな魔法があるのだろうか。


 ふと手元のチケットに目が行く。

召喚術か。

記憶の召喚?

人間を入れ物とみたて記憶という情報を移す。

だとしたらとんでもない魔法だぞ。

記憶どころか人格さえ書き換えることが出来るとしたら?

考え方次第では不死になったと言えるのかもしれない。

だが何故俺なんだ。

一般人に植え付ける目的とは。

それも異界の人間の記憶を。

なぜなんだ。


 例えば異界を渡る実験か何かで人格が定着したら成功。

移行した記憶が根付かなければ問題にもならないし上手くいって記憶があればよし。

俺のように周囲の人間の中に理解を示す奴はいないだろうし、入れ物になった奴がその記憶について調査、解明に動き出すことにでもなれば上々。

その過程で人格の発現でもすればしめたもの。

なんてな。


 やれやれ、答えが出そうにないな。

違う線で考えるか。

逆に異界の人間に用がある?

といっても証拠もないし当然実証出来るものもない。

やはり考えるだけ無駄か。

ま、その辺のことは期待せず、せいぜい暇つぶしになればいいかな。

召喚物ね。

知っているモノがあればいいけど。

とりあえず行ってみるとしますか。

次回「あっちと違って頭がいい - 2」

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