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運命に出会う

「くぁ〜……昨日必殺技食らったからな……体がバキバキだ……ってやべぇ、こんな時間だ!」


 下っ端としてバイトを始めてから1年が経つが、週末に激しめの戦闘があったり必殺技をくらうと翌日に響くのだけは今だに慣れることがない。

 軽めの攻撃で序盤に退場すると翌朝でもスッキリ起きられるのだが、給料をもらっている以上真剣に取り組む必要があるため即退場は難しい。


「流石に昨日戦闘してそのままだったから朝シャンしたかったが……しょうがない!とりあえず高校いかねぇと……今日だけは遅刻はまずい!!」


 なんと言っても今日は期末テストなのだ。

 悪の組織の下っ端といえどもテストを受けずに留年するなどと言う自分にしか悪影響がでない事を良しとすることはできないのだ!


「自分が損をするくらいなら皆んなに平等に損を押し付けろ!だって世の中は平等を歌っているのだからだっけか?」

 急いで出発する準備をしながら、1月前くらいに入った現場にいた幹部のセリフを思い出す。


「あの幹部なら遅刻して自分だけテストが受けられない状況なら、学校を襲撃してテストを潰すか、生徒全員遅刻させてテストの時間を後ろにずらすとかするんだろうな……っていってる場合じゃねぇ、マジで急がないと!」


俺は急ぐあまり、特殊マスクだけ脱いだ状態のまま学校の制服を上から着て家を飛び出し自転車を漕ぎ出した。


「くそ!このままじゃ遅刻しちまう……よし!ショートカットだ!」


 高校までの通学路にはいくつか時間を短縮できる道があり、この民家の間を通り抜ける階段もその一つだ。

 かなり危険ではあるが、自転車に乗ったまま階段を弾むように駆け降りていくと坂下の交通量の多い大通りに直結しているからかなりの近道になるのだ。

 一年もの間にこなしてきた悪事や戦闘に比べれば私有地の階段を自転車で駆け降りるなどどうということはない。

 

「これでギリギリ間に合うだろ!……って信号赤じゃねぇか!!……やばい勢いつけすぎて止まらないっ!!」


キキーーーッーーー!

プップーーーー!!!

 ーーーーガッシャン!!!ーーー


俺は赤信号を無視して勢いよく交差点に飛び出してしまい、大通りを直進していた高級そうな自動車に横から突っ込まれたのだった……


「あぁ、終わった……俺の人生……テ、テスト…………」


 車とぶつかって空高く、そして遠くまで吹き飛ばされた俺の体の飛んでいった先は、運良く歩道ではあったのだが、何度も地面をバウンドすることとなり、しばらく転がり回ってからようやく止まった。


「あぁ……これは死んだ…………死んだ……よな?…………こんだけ吹き飛んだんだ、そら死ぬわ……でもなんか体に痛みも全然感じない……ってことは生きてるのか〜……でも車に跳ねられてんだぜ俺……じゃあやっぱり死んでるのか〜」

「えぇっと……その……大丈夫ですか?」

「え……あぁ、そうですね大丈夫そうです……ハイ……体の痛みは全然ないですね……」


 俺は急な事でパニックになりながら、何処かから聞こえて来る心地の良い声に対して返事をする。

 

「ふふふっ……ヒーローに吹き飛ばされる悪の組織の下っ端さんみたいに飛んできたのに痛くないわけないじゃないですか……クスクス」

「悪の組織の下っ端って……あぁ!」

「あ、ダメですよ急に動いたら!とりあえず救急車を呼びますからね?」


 俺は悪の組織の下っ端というワードを聞いて思い出した。

 昨日家に帰っても着替えずにいた事、そして今この制服の下にはその戦闘服を着てしまっている事を……


「きゅ、救急車は大丈夫です!ほんとに!俺、体は頑丈なんで!!」

「ダメですよ!ちゃんと救急車来るまでは一緒にいてあげますから、大人しくしていてくださいね」


 俺は救急車がきた後の診察で下っ端バレしてしまうのを防ぐため、必死でこの場を離れるために立ちあがろうとするが、強引に引き留められ、女性の膝の上に頭を乗せた状態でその場に寝かされる……所謂膝枕の状態だ……というかコスチュームを着た俺を押さえつけるって力強いなこの子……


「ちょっと!俺マジで大丈夫ですから!解放してください!!」

「ほんとに大丈夫なら、まずはこっちをちゃんと向いたらどうなんですか?」


 俺は逃げ出したい一心で、救護活動をしてくれている人にお礼も言えてなかったと今更気づき、寝かされた体勢のまま女性の方を見上げる。

 するとそこには少し年下くらいに見える超絶美少女がこちらを見下ろしていた……


「か……可愛い……」キュン

「ふふっ……お礼よりも先にそんな事言われると思いませんでした」

「あ……あの、すいません……助けてくれてありがとうございます……」

「良いんですよ、怪我をした人がいたら助けるのは当たり前ですから」

「…………いい子かよ……ってかこの制服……」

「ええ……あなたと同じ東高校の2年生ですよ」

「歳上……だったんですね……」

「という事はあなたは1年生だったんですね、体もおっきいので歳上かと思ってました」

 

 そう言って優しい笑顔を見せてくれたこの子に俺は一目惚れしてしまったのだ


 そして遠くから救急車のサイレンの音が聞こえてきた頃、ずっとこの先輩と一緒に居たいと思いつつも、悪の組織の下っ端という立場をバレたくないという気持ちが勝り、俺は逃げ出す事を決心した。


「先輩、お名前を聞いてもいいですか?」

姫宮ひめみや 七瀬ななせと言います……あなた

「七瀬さんとお呼びしても?」」

「え?……ああ、そうですね……それは構いませんがあなたのお名前「七瀬さん、一目惚れしました!」」

「えぇ!?」

「ではいずれ学校で!!」


 俺は七瀬さんに一目惚れした事を伝えつつ、七瀬さんが動揺しているうちに拘束を抜け出し、学校へと走り出した。

 車に吹き飛ばされたお陰で距離も稼げたのでここからなら走ればギリギリテストにも間に合うだろう。

 俺はこの出会いと悪の組織の戦闘服の強靭さに感謝したのと同時に、悪の組織に所属していることがバレたらこの恋が成就する事は絶対にないだろうという絶望感を感じたのだった。

 ―――――――――――――――――――――――――――


 悪の組織機密情報①組織図


 悪の組織のトップはもちろん『ボス』

 その下には『四天王』と呼ばれる最古参の4人の特別幹部がいて、それぞれに直轄の『幹部』と呼ばれるチームが複数存在するぞ!

『幹部』の下には『幹部補佐』がいたり居なかったりといった感じだ!

『下っ端』は全ての役職者の下に広く存在していて、厳密には特定幹部の下でしか動かないほぼ社員の『直参下っ端』と毎週末増員として動かされるバイトの『下っ端』に分かれている。

 ボスや四天王に実力を認められた者は『幹部候補生』として秘密裏に教育訓練を受けて、いずれは『幹部』に昇進していくぞ!


 ボスの直下組織の『研究所』は謎に包まれていて『幹部』ですら全容を把握できないぞ!

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