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それぞれの戦い


〜刹那視点〜


「右腕が使えなかろうが貴様程度すぐに倒して内部に侵入した下っ端もろとも確保してやる!」

「イィ!(はっ!うまく行くと良いがな!)」


 右腕の可動域が狭くなりはしたが、レシピマンは気合い十分といった様子で再び俺に向かって距離を詰めてくる。

 俺は行動阻害弾を撃って空になったマガジンをリロードする動作に合わせてレシピマンの顔面に向けて蹴り飛ばす。

 レシピマンは飛んできたマガジンを鬱陶しそうに左手で払い除け突き進んで来る。


「イィ!(ここ!!)」

「何!?」


 レシピマンがマガジンを払い除けたことで粘着物質の付着した右手がガラ空きになったため、設置型のトラップを押し付ける。

 設置型トラップは四角い箱の形をしており外観からはその正体がわからない。


「イィ!!(さてさて!その箱の正体はなんだろな!!ってな!)」

「くそ!なんだコレは!!」


 設置型トラップは安全装置を抜いた後は箱を壊そうとしたりすると爆破と共に冷却粘着物質が広がる仕組みになっている。

 本来であれば粘着物質を広い範囲に広げるための爆発も、起爆の向きさえ調整して直接貼り付ければ爆発の物理的ダメージと冷却効果をダイレクトに与えることができるのだ。


「くそ!取れない!!」

「イィ!!(はいドカンっと!!)」

「ぐぅぅ!!」

「「イィ!!(やったのか!?)」」

「イィ?(どこかで盛大なフラグが立った気がするぞ)」

 

 起爆は上手くいき、レシピマンは爆発を至近距離で受けて吹き飛び、地面に張り付けられて冷却されていく。


「イィ!!(相手は動けないとは言えヒーローだからな!きっちりとどめを刺させて貰うぜ!)」

「くそ……エネルギーも切れちまった……俺はここまでなのか……」

「負けちゃだめよ!レシピマン!!」

「「レシピマン!頑張って!!」」

「イィ!?(声援だと!!何処から!?)」


 このまま動けず冷却されていけば、いつしかの俺のように寒さで意識を失うだろう。

 そんなレシピマンに向かってヒーロー協会の内部で厳重に拘束されているはずの受付嬢達からの声援が聞こえてくる


「イィ!!(おい!!拘束してるのになんで喋れるようになってんだ!!)」

「……イィ!?(あれ!?お前ちゃんとやっとけって言ったじゃねーか!)」

「……イィ?(それやるの俺だったっけ?)」

「イィ!!(くそっ……ピンチのときに声援なんて届いたら……)」

「そうだ!!俺はまだ負けられないんだ!!!」

「イィ!!(ほら!!言わんこっちゃない!!)」


 タコス切れとやらでエネルギーがなかったはずのレシピマンに声援によるエネルギーが溜まっていく……


「うおー!!こんな拘束など焼き尽くしてくれる!!『フレイムドンタコス!』」

「イィ!(くそ!うまくいきそうだったのに!!)」


 レシピマンは必殺技を自身に放ち、粘着物質を焼き切り立ち上がってくる。


「俺はみんなのためにも負けられないんだ!!」

「んーー!!(そうよ!みんなを守って!!)」


 受付嬢達は他の下っ端達によって喋れない状態に再度拘束されたが、レシピマンを必死に応援している。


「イィ……(仕切り直しか……くそっ)」


 俺は再び銃をリロードして構え直す


「悪いが次は油断しないぜ!」

「イィ!(こっちもまだまだ余力はあるからな!全力でいくぞ!!)」

 ―――――――――――――――――――――――――――


〜九条視点〜


「刹那ちゃんはうまくやれているかしら……」


 自分で指揮を刹那に任せておいたものの、実践での指揮経験不足が否めないため気になってしまう


「でもまあ、ここまで来たら信じるしか無いわよね……ってあぶな!!」


 東方協会の屋上付近まで空中を移動しながら近づくと、屋上から強力な魔法で狙撃される。

 九条はギリギリで気づき回避することに成功したが額には一筋の汗が流れる。


「こっちはこっちで最初の試練って訳ね……」

「ここから先は通しません!」

「その風貌、マジカルななみん……とか言ったかしら?……よりによって空中戦ができる上位の魔法少女が相手とはね……」


 普段の作戦であれば相手にとって不足なしと、勝敗を気にせずに突撃する九条だが、今回は可能であれば勝利、最低でも時間稼ぎはする必要がある。

 そう考えると自分と同等以上の実力が見て取れる魔法少女相手には少々荷が重い状況であった。


「とはいえ、ここでさっさと引いてあげるわけにはいかないからね、本気でいかせて貰うわよ!」

「できれば怪我をする前に撤退していただきたいのですが……」

「それはお優しい気遣いね!でも引けない理由があるのよ!」

「そうですか……ではお相手いたします!」

「そうこなくっちゃね!まずは様子見!!」


 九条は刹那が制作した銃を構え、魔法少女に向けて引き金を引き魔法少女に向けて弾幕を貼る。


「このくらいなら避けるまでもありません!」

「へぇ……上位の魔法少女ともなるとそんなこともできるのね……これは様子見なんて悠長なこと言ってられないかしらね」


 魔法少女は魔力を前面に広げて壁を作り銃弾をあっさりと受け止める。

 九条はいままで敵対してきた魔法少女やヒーローよりもレベルの高い相手だと再認識して気を引き締めた。

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