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因縁は下っ端とも結ばれている

すいません…

前話との繋がる話を書いていましたが行き詰まってるので、書き次第投稿します

 違和感があまり出ないように調整しますが、ご容赦ください


〜刹那視点〜


 凛花さんの作戦の準備期間を終えた俺は郊外にある超特大展示会場に足を運んでいた。

 この施設は表向きは同人誌即売会や音楽イベントを開催しているクリーンな施設だが、実は悪の組織が施設の管理と運営をおこなっており、大規模作戦の決起集会などで使われることも多い場所なのだ。

 

「良いか!!今回の作戦はいつもとは文字通り次元が違う!この先の俺たちの運命を決めると言っても過言じゃねぇ!!本命はもちろん陽動ですら失敗はゆるさねぇ!全員覚悟を決めろ!!」

「「おおーーーー!!!」」


 そして、まさに今日がその大規模作戦の決起集会の日なのだ……

 今回の作戦はリニア開通のトンネル工事の途中で相模原市の地下で新発見された新鉱石『サガミニウム鉱石』の回収。

 詳しいことは不明だが、この鉱石をヒーロー協会と悪の組織どちらが手に入れるかでこの先の勢力図が変わるほどのものらしい。

 そのため本命部隊と陽動部隊に分かれてはいるが四天王含め全ての幹部が作戦に参加するほどの本気具合で、絶対に失敗することができないという空気をビリビリと感じる。


 凛花さんが銃火器などという、らしく無い装備を俺に用意させていたのにも実は理由があったということだ。

 

「刹那ちゃん、私たちは陽動部隊だけれど、限りなく本命作戦に近いポジションなんだから気を抜いちゃダメよ」

「……わかってます」


 本命部隊はもちろん四天王率いる歴戦の古参チームだ。

 鉱石が発掘されたトンネルに突撃し、ヒーローを蹴散らしてサガミニウム鉱石を確保する。文字にすれば簡単だが、重要な資源なのはヒーロー達もわかっており、強力な歴戦のヒーローが警戒に当たっている。


 陽動第1チームは一斉に各所で工作活動を行い、ヒーローや警察を引きつけていく。

 この部隊はどれだけ長く、多くのヒーローや警察を足止めできるかが重要になる。

 

 そして、凛花さんと俺が配置されている陽動第2チームは各方面のヒーロー協会そのものに襲撃を仕掛ける。

 ヒーロー協会には重要機密や資源が多く保管されているため、襲撃すればより多くのヒーローや警察の目を引くことができる。

 こちらは足止めだけでなく、可能であれば資源も略奪するというサブミッションがある。


 この2段階の陽動を仕掛けることでサガミニウム鉱石を守るヒーローを1人でも多く警備配置から外せれば成功。最低でもヒーローや警察を本命側に向かわせなければ及第点といったところだ。


 細かい動きや展開を予測して成功確率が8割を超えるように準備をさせてきた幹部候補がいるらしいがその辺りはまた追々語るとしよう。


「時間的にはどの程度引きつければいいんですかね?」

「……おおよそだけど、2時間……いや、3〜4時間は引きつけたいわね……」

「それは……」

「刹那ちゃんの言いたいことはわかるけど、無理を無理と言うのは簡単よ。まずはどうやったら出来るのかを考えましょう」


 そうは言うが、ヒーローとの全面戦争と言っても過言でない今回の作戦はいつもと異なり戦闘時間が長くなる。

 いつもの戦闘時間がおおよそ40分……長引いても1時間半程度と考えると、いつもの倍以上の時間を稼がなければならないと言うのは相当厳しい。


「弾薬は指示通りかなり多めに作ったので無駄遣いしなければみんなで使ってもギリギリ足りるとは思いますが……凛花さんがヒーローに囲まれちゃったりしたら流石に1時間も持ちませんよ」

「だったら私とヒーローが最低でも一騎打ちになるように場を整えるしかないわね」

「警察や協会待機の雑魚ヒーローは俺ら下っ端で抑えるしかないということですね……」

「そうね、いつもはみんなやられ役みたいなもんだけど、今回ばっかりは頑張って貰うしかないわ……頼むわよみんな!」

「「任せてください!!」」

「刹那ちゃんは今回の作戦だけは幹部補佐としてみんなの指揮も頼むわね」

「了解です!」


 凛花さん直参の下っ端は気合い十分だ。

 いきなり指揮を任されるのは不安が尽きないがここまで来たからには俺も全力でやり切るしかない。


 ―――――――――――――――――――――――――――


「ふぅ……」

「ふふ、今からそんなに緊張してたら本番までもたないわよ刹那ちゃん」

「……凛花さんこそ始まる前に個人的に話しかけてくるなんて珍しいじゃないですか……ってか特殊マスクしてるのによく俺ってわかりましたね」

「まぁ、最近ずっと準備を一緒にしてきたからね、流石に見分けもつくわよ」

「そんなもんですかね」

「そんなもんよ……今回の作戦はかなりのリスクがあるけれど、無事にみんなで帰りましょうね」

「はい……もちろんです!」

「じゃあそろそろ時間だし、直参の子達にも気合い入れてくるわ」

「行ってらっしゃい」

「ええ、行ってくるわね」


―――――――――――――――――――――――――


 いよいよ史上初の悪の組織とヒーロー達の全面対決が始まった。あらゆる場所で悪の組織の陽動第1チームが活動をしていることで町中が騒然としている。

 協会の方向からヒーロー達が何人も飛び出していき、事態の収束に当たり始めている。


「さて、ある程度中堅所のヒーローが出ていったから私達も始めるわよ!!」

「「おおーーーー!!!」」

「正面ロビーはみんなに任せるわ!私は上から行く!」

「「はい!!」」


 後は待機組のヒーロー数人を倒し、周辺から応援で駆けつけるであろう警察達を足止めすることができればこっちの作戦成功は目前だ。

 凛花さん直参の下っ端達は協会内部に一気に突撃し、1階を制圧しに行った。

 俺は直参数人と応援組を指揮して周辺から戻ってくるヒーローや警察を足止めするためのトラップを配置していく。

 

「刹那ちゃん!下は任せたわよ!」

「わかってます!!」

「……任せはするけど、捕まるほどの無茶だけはしないでね」

「凛花さんも気をつけて」


 凛花さんは特殊な仮面をつけて、空を舞っていく。

 何だか少しだけ嫌な予感もしたが、ここまで全体の作戦の進行具合は悪くないので緊張のせいだと割り切る。


「みんな!トラップの準備は問題ないか!?」

「「もちろん!!」」

「じゃあ俺たちも協会攻めに加わるぞ!!」

「「おう!!」」


 俺は自作した銃を手に協会へと走り出した。


 ―――――――――――――――――――――――――――


「イィーー(くそ!何でまだこのレベルのヒーローがここに!!)」

「イィーー(泣き言を言ってる場合じゃないぞ!凛花様のためにも死ぬ気で倒すんだ!!)」

「ハハハ!ここはヒーロー協会だぞ!タコスの補給に戻ってきた途中とは言え、貴様ら下っ端程度の力量でヒーローをどうにかできるわけがあるまい!!」


 俺が協会に駆けつけるとすでに直参の下っ端達がかなりの数やられてしまっていた。

 下っ端を倒していたのはレシピマンで、他の陽動部隊を早々に殲滅した後、補給に戻ってきたところだった。

 流石に補給前とは言え幹部と渡り合えるだけのヒーローということもあり、並の下っ端では足元にも及ばずに倒されてしまったらしい。


「イィーー(……よりによってレシピマンとはな……)」

「イィ……(どうする刹那……流石にこのレベルのヒーローを放っておくわけにはいかないぞ……)」

「イィー(そうだよな……仕方がない、こいつは俺がやる!協会の中にいる他の雑魚ヒーローはみんなに任せた!)」

「イィ!(わかった……やられて捕まるんじゃねーぞ!!)」

「イィ!!(ああ!!任せろ!!)」


 俺は覚悟を決めてゆっくりとレシピマンの前に歩き出した。


「む?次は貴様か?多少他の奴らより体格は良さそうだが……所詮は下っ端!俺の敵ではない!!」

「イイーー!!(自転車の件は世話になったが、それはそれ、やらせてもらうぜ!!)」


 俺は銃を構え、レシピマンに向けて引き金を引く

 レシピマンは弾丸を避けながらこちらを殴ろうと進んでくる。

 後2mほどでレシピマンの拳は俺に届く……が、俺は他の下っ端のように軽々と攻撃を受けてやるつもりはない。

 俺はマガジンを切り替えて照準をレシピマンからずらし、協会内部からこちらを心配そうに見つめているオネェさんに向かって引き金を引く。


「む!非戦闘員を狙うとは卑怯だぞ!」

「イイ!(ヒーローは守るものが多くて大変だな!)」


 レシピマンはこちらの狙いを読んでオネェさんを守るように弾丸の軌道上に身を投げ出し、防御姿勢をとって着弾に備えた。

 これこそが俺の狙い。ヒーローたるもの非戦闘員に怪我を負わせるわけにはいかないからな……


「くっ、なんだこれは!?」

「イイ!(特製粘着弾だよ!)」


 俺は殺傷性皆無の行動阻害弾の一つ、粘着弾をレシピマンに当てることに成功する。

 たかが1発当てただけではあるが、レシピマンの右腕はネバネバの粘液に覆われて本来の動きを阻害された。

 状況はいまだに実力で勝るレシピマンが有利だが、卑怯だと言われようとも周囲の環境を利用することで俺は勝ちを拾いにいく。


「……ただの下っ端と油断していたか……」

「イイ!(まだまだ時間はあるんだ!最後まで付き合ってもらうぜ!!)」

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