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気になる彼と学校生活

〜七瀬視点〜


 ーーキーンコーンカーンコーン……ーー


 チャイムが鳴り、私は教室の自分の席に着き、いつも通り授業を受ける。

 そう……いつも通りに授業を受けて、土日には魔法少女の活動をひっそりと行い、また変わらぬ日常を過ごしていく……

 いままでも、これからもずっとその繰り返し……そのはずでした……

 

「七瀬さん、一目惚れしました!」

 ……神影刹那くん……彼に言われた言葉がここ最近何度も頭の中をぐるぐると巡っています。

 彼のまっすぐな視線と偽りを感じさせない言葉を思い出すたびになんだが心臓の音が大きくなるというか、鼓動が早くなるというか、そんな現象が起きるのです。

 

 今までも何回か同じ学年の男子や先輩に告白されたこともありましたが、こんなことは起こりませんでした。

 なぜ神影くんに言われた言葉だけがこんなに気になるのか私にはよくわかりません。


  先生の話をぼんやりと聞き流しながら考えていると、後ろから肩をつつかれました。


「どったの姫ちゃん?最近ぼーっとしてて元気なくない?」

「雪ちゃん……別にそんなことないよ?」

「うそだね……なんか上の空的な?なんか悩み事?」

「なんていうのかな……えっとね……雪ちゃん……一目惚れってなんだと思う?」

「え!!!姫ちゃん!もしかして好きな人出来たの!?」

 

 ーーザワザワーー

「嘘だろ……姫宮さんに好きな人だって?」

「あの難攻不落のお姫様が……惚れた……だと……」

「あぁ、終わった……今すぐ地球滅亡しないかなぁ」

「落ち着け!まだ俺達の誰かに惚れたという可能性も僅かにあるんだぞ!続きを聞くんだ!!」

「「……ゴクリッ」」

 

「そ、そんなんじゃ……」

「で、で!どんな人!?やっぱり年上イケメン王子様的な!?」


 ーーヒソヒソーー

「姫宮さんの相手……やっぱり小泉さんの言うようにイケメンな先輩だとおもう?」

「おにろりは正義よね!」

「私はショタロリ派なんですけど!」

「でも……超絶恋愛知らないっ子の姫宮さんが一目惚れした相手って……」

「ある意味普通の人じゃなさそうよね……」

「「わかるー!」」


「ち、違うの……」

「おい!そこ!授業中だそ!!他の奴らも授業に集中しろ!」


「ちっ!もう少しで聞き出せそうだったのに……」

「おい!小泉!つまみ出すぞ!!姫宮も授業中に喋るなんてらしくないぞ!」

「はーい、すいませーーん」

「ご、ごめんなさい……」

 

 一目惚れって言われたから一目惚れって何なのかとか、どんな感じで返事を返せばいいのか聞こうと思っただけなのに……

 気がつけば私が一目惚れした人がいるという形でクラス中に噂が広がってしまいました……どうしたらいいんでしょうか……


――――――――――――――――――――――――――


 「七瀬さーん」


 それから数日がたった頃、移動教室のためクラスのみんなで廊下を歩いていると、これから体育の授業なのか体操服に着替えた神影くんが遠くから声をかけてきてくれました。


「あ、神影くん!おはようございます」

「おはようございまーす!」

「ふふっ、お元気そうで何よりです。もうお怪我は大丈夫ですか?」

「あぁ……まあ、ほら!見ての通り全然へっちゃらですよ!」

「ふふっ、そうは言っても病み上がりみたいなものなんですからあんまり無茶しちゃだめですよ?」


 神影くんは私が怪我の具合を心配するとその場でジャンプをして元気なことをアピールしてくれました。

 私を見かけると必ず駆け寄ってきて声をかけてくれて、神影くんはおっきなワンちゃんみたいでなんだか可愛らしいです。

 

「心配してくれてありがとうございます!今日は外でサッカーなので俺の華麗なシュートが決まるかみててくださいね!」

「ふふっ、残念ながら私も授業ですから、神影くんの活躍は見れませんよ」

「まぁ、そりゃそっすよね!あ、こんな時間だ!じゃあ俺グラウンドいきますね!また会いましょう!!」

「はい!いってらっしゃい!」


 学校で出会うと必ずこんな感じで明るく話かけてくれるので、少しずつですが、神影くんとは仲良くなれているんじゃないかと思います。

 でも一目惚れしたと言ってくれた時のキリッとした神影くんはあの時以来見かけていません……別にそれが嫌だというわけではないのですが、なんかこう……もうちょっと何かあってもいいんじゃないかなと思う気持ちがどこかにあるんです。

 この気持ちを素直に言葉にすると、『期待している』ってことなんだと思うのですが、その期待が何に対してなのか、どうなって欲しいことに対しての物なのかと問われるとうまく言葉にすることはできません。


 ーーヒソヒソーー

「あーあ、姫宮さんに惚れてしまった可哀想な男子がまた1人……」

「いってらっしゃい……だってよ……信じられるか、あの感じで送り出してくれるのに別に惚れてる相手がいるらしいぜ……」

「くそぉ、俺だっていってらっしゃいとお帰りなさいを言ってもらいたいぜ」

「俺はそれに加えてお帰りなさいからのお風呂にす「それ以上は野郎の汚ねぇ口からは言わせねぇよ!?」」

「お前ら告白もできねぇチキンのくせによくもまぁ、そんなにぽんぽん妄想が出てくるな」

「「うるせー!!振られたお前とは違ってまだ可能性のある俺たちが夢を見るのは自由だろうが!!」」


 さて、男子がなにか騒いでいますが、神影くんも行ってしまいましたし、私も授業の教室に急がないとですね。


「雪ちゃん、みんな!授業早くいこ!」

「あれ、おかしいな?私達姫ちゃん待ちだったんだけど?」

「う……ごめんなさい、お待たせしました」

「まぁ、別に気にしてないんだけどね!」

「あの後輩くん体格いいし、少しかっこいいよね」

「わかるー!ワイルド系って感じよね」

「ってか犬系?」

「それそれ!めっちゃわかるー!飼ってあげたい的な!」

「飼ってあげたいは発想がやばい」

「むぅ……」

「はいはいわかったわかった、みんな授業遅れちゃうしいくよ!」


 なんだか神影くんがみんなからかっこいいとか言われると胸がモヤモヤすると言うか……何なんでしょうかこの気持ち……

 ―――――――――――――――――――――――――――


「起立!礼!」

「ありがとうございました!」


「はいお疲れさん、お前ら気をつけて帰るんだぞー」


「姫ちゃんばいばーい!」

「姫宮さん気をつけて帰ってね!人が少ない通りを歩いたりしちゃだめだからね!」

「玲ちゃんお母さんみたい」

「はい、じゃあまた明日ですね」


 気がつけば今日最後の授業も終わり、放課後になりました。

 私は魔法少女としての活動のため、土日は部活の試合などに参加できないので帰宅部です。

 雪ちゃんを始め仲の良いクラスメイトは何かしらの部活に入っているので、いつも1人で帰るこの時間は寂しさを感じてしまいます。


 1人で下駄箱から靴を取り出して履き替えていると、学校からものすごく急いで校外へ出ていく神影くんの姿が目に入りました。


「あんなに急いでどこにいくんでしょうか?」


 私は黙って追いかけたりするのはいけないことだと思いながらも、連絡先も知らないんだからしょうがないと心の中で言い訳をして、何かあったのかもしれない彼の後を追いかけることにしました。


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