0話2
そして現在
エルの説得も虚しく、ナスらによる世界創造は続いていた。
そのうえ前よりたちが悪くなっていたのだ。
エルにより創造された『ギルド』の活動は最初の頃、ほかの神々は気に掛けるものなどいなかった。
なぜなら、エルは今まで自身の世界を創るなどしたことがなかったのだ。
そんな状況下でさらに他の世界に干渉させて間接的に救済をしようという無茶な計画だったため
当然、失敗の連続であった。
しかし、エルはあきらめることなく世界の運営を試行錯誤することで世界間での転移システムを完成させ『ギルド』の住民に対する恩恵等の様々な技術を確立させていったのだ。
そんな一人の神の活動に対して、次第にほかの神たちも興味を示すようになっていった。
ナスもその一人であった。
ただ、エルの活動を興味本位で眺め続ける神たちに対しナスは違った。
「う~ん、何か協力をしてあげたいなぁ」
なぜ彼女が苦労をしているのか、原因が自分にあると気づくことのない阿呆の神は悩んだ。
「・・・そうだ!エルの民に対して試練を与えよう!」
今までの世界とは違う、救済を目的とした世界の創造をすることにより『ギルド』の民を
強く育てることができる→世界の救済がよりスムーズになる→エル喜ぶ
...と考えたナスは自信を慕う神を集めて新たに世界の創造を進めることにしたのだ。
この一連の行動の結果、現在エルによる『ギルド』の管理はより険しい道のりとなっていた。
もともとエルの保有していた世界の救済の半ばから、勘違いをした阿呆たちによる止まらない世界の創造は数もさることながら救済の難易度が非ではないほどあがってしまっていたので、ギルドの民<メサイア>たちも苦労をしていた。
怒りを通り越して無になってしまったエルは今後の活動について悩んでいる。
「ナス様たちは話を聞いてくれないし、あきらめて救済を続けるにしても世界一つに対しての難易度が高すぎる...」
ナスの考えていた民を育てる計画は確かに可能な話ではあるが、悠長に時間をかけていられないのだ。
なぜなら、彼らは難易度を上げつつ創造のペースもあがってしまっているのでメサイアたちの救済が間に合わないのだ。
(やむを得ません、あのお方に相談しましょう...)
エルは一人の力での限界を感じ、ある神を頼ることにするのであった