↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
心壊れの荷物持ち〜奴等に徹底的な復讐を。慈悲の心など復讐者には必要ない〜  作者: ケイ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

70/96

剣聖③

「ランスロット様」


場を後にした、ジーク。

その余韻が残る中、コルネは声を響かせる。

しかしその声音は震え、そして未だ己の脳裏に残るジークの姿にコルネの表情に生気はない。


身を震わせる、コルネ。

だがその震えを抑え、コルネは声を絞り出していく。


「あの者。ジークをこのままに?」


周囲に転がる、ジュリアとイライザの亡骸。

それを虚な瞳で見つめ、コルネは更に続ける。


「ジーク。あのモノは魔王(モナ)の力を己の内に内包。勇者(アレン)を殺すという目的。それを達したとしても……あの敵意と殺意。それが収まるとは思えません」


「あぁ」


コルネの言葉。

それに同意し頷く、レオン。


「コルネの言う通りだ。それに」


「俺は未だ信じられねぇ。なにがって? あの小娘が此度の魔王だったことがな」


幼き少女(モナ)。

漆黒を纏い、嬉々としてジークに収納されしランスロットが魔王と称したその存在。

ランスロットの側。

そこで様々な見聞に触れた、レオン。

だからこそ、モナが魔王だということにレオンは未だ疑問を抱いていた。


「俺が聞いた魔王の姿。それはあんな小娘じゃない。コルネ。お前もそう思わないか?」


「はい、そう言われてみれば。見聞の時の記憶。それを辿ればーー」


その二人の疑問。

それをランスロットは澄み切った声で遮った。


「転生」


二人に背を向け、言葉を響かせるランスロット。


「勇者(アレン)により討たれた後(のち)、奴はモナという名の少女の身に」


「転生」


「モナという名の少女に」


ランスロットの答え。

それを二人は反芻し、静かに頭を下げた。


差し込む陽光。

それに三人は照らされ、それぞれの思いを押し殺す。


転生した魔王。

そしてその力をその身に内包した、ジーク。

もはやランスロットの力はジークに及ばない。


しかし、ランスロットは三度、その剣を抜く。

そして、声を響かせた。


「世界は如何様に。だが、この命ある限り」


そのランスロットの声。

それにコルネとレオンもまた、その瞳に光を宿し深く頷いたのであった。


〜〜〜


「転生する。勇者の身に」


剣聖の聖堂。

そこから外に出、ジークは呟く。

闇を帯びた風。それに髪を揺らし、無機質な表情を浮かべながら。

収納せし、魔王の力。

それをジークは行使する。


ランスロットの言葉。

勇者を存在と言ったあの言葉。

それに、ジークはこれまでのやり方を変えることを決意していた。


その方法。


それはーー


「勇者を世界の悪とする」


ジークが勇者の身に転生し、勇者の姿で世界を混沌に陥れるというもの。


勇者は悪。

そんな思考を世界に植え付けることができたなら、世界は自らの手で勇者の討伐にその舵を切ることになる。


勇者に対する信仰。

それを全て収納するという手もある。

しかしそれでは、勇者は悪という考えは植え付けることはできない。


漆黒に包まれる、ジークの身。

そしてジークは【転生】の力をもって、勇者へと転生し自身の身体を己の内に収納したのであった。


〜〜〜


とある冒険家ギルド。

そこに声が響く。


「あっ、勇者様だ」


「おーい、勇者様!!」


何人目かのアレン。

その勇者に駆け寄る、冒険家たち。


しかしその者たちは気づかない。

アレンの目。

そこに宿るのは、ジークの殺意だということを。


「収納する。慈悲を」


呟き、ジークはアレンの身でその慈悲を無くす。


そして、駆け寄り笑顔を浮かべる者たちをーー


「死ね」


と吐き捨て、その命を無慈悲に収納したのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。