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横流しの代償④

途端、ロッカスの口が失われる。

口のあった場所。

そこを両手で抑え、涙目になるロッカス。


そのロッカスの元へと、ジークは歩み寄っていく。

呼応し床に剣を引きずり、ジークと共にロッカスの元へと近づくレオナ。

追い詰められた獲物の如き、ロッカスの表情。

「こっちに来るな」と言わんばかりに、ロッカスは手当たり次第に高価な装飾品をジークに向け投げつける。


だが、それも全て。


「収納する」


という一言で闇に包まれ、ジークの【収納物】の中に収納されていく。


"「くッ、くそぉ!! な、なんだあいつら!! こ、この俺が一体なにをしたっていうんだ!?」"


胸中で叫び、焦燥するロッカス。


"「お、俺はただ金儲けをしただけだ。ひ、必要とされない人間共。それを必要としている者たちに売っただけじゃないか!! そッ、それなのに!! それなのになぜッ、こんな目に合わないといけないんだ!!」"


いくつもの村。

いくつもの街。

いくつもの国。


そこから人間を引き取り、【特殊な性的嗜好を持つ金持ち】たちに売り捌いていたロッカス。

魔王が存在していた頃は魔王の巨悪の影に隠れ、魔王が倒された後は勇者の仲間であるゴウメイの影に隠れて。


"「わッ、悪いのは俺だけじゃない!! む、むしろ。俺から人間を買った連中のほうが悪いだろ!! なッ、なのに何故!! 俺が腐れ変態野郎共の代わりにこんな仕打ちを受けなきゃならないんだ!!」"


歯軋り。

それをし、本棚の前へと追い詰められるロッカス。

反動で本棚から崩れ落ちていく、書物。


書物に埋もれーー


「くそッ、クソッ、くそぉぉぉ!!」


ヤケクソになり、ロッカスは【買主決定済み。拷問嗜好を持つ金持ちへ】と書かれた本をジークへと投げつける。

しかしその本はジークの足元に落ち、中身が開かれた格好となってしまう。


落とされる、ジークの視線。

果たしてそこにうつったのは、いつもジークに甘えていた幼い少女ソフィの変わり果てた亡骸の写真だった。


"「ジークっ」"


笑い、花の冠を自分の頭に載せてくれたソフィ。

いつも人懐っこい笑顔を浮かべ、ジークに甘えていた幼い少女。


収納したはずの故郷での思い出。

それを刹那に思い出し、ジークの目から涙が溢れる。


四肢を切り取られ、顔は原型を留めぬ程に腫れ上がり、下半身はもはや人のソレとは思えない。


「ジークさま。さま。子、ども。こども。死んで。シんでいます」


譫言のように呟き、一筋の涙を流すレオナ。


その二人の姿。

それになにを勘違いしたのか、ロッカスは笑う。


"「そ、そうか。子どもの死体が弱点なんだな!! そッ、それならッ、腐る程見せてやる!!」"


勝ち誇り、次々と子どもの死体が収められた書物をジークとレオナの足元に放り投げていくロッカス。


それを見つめ、ジークは呟く。


「収納する」


「てめぇの」


「手足を」


見開かれた、ジークの双眸。

深淵の闇に染まったソコに宿るは、狂気に満ちた殺気。


「!?」


両手両足。

それを失い、己の血溜まりに沈むロッカス。

しかし、まだ死なない。


殺してくれ。

ロッカスはそんな表情を晒す。

だが、ジークは赦さない。


「収納する。お前の死を」


ロッカスの死。

それを収納し、レオナへと声をかけるジーク。


「レオナ」


「はい、ジークさま」


「好きなだけ弄べ。あのゴミの命を」


「はい。カシこまりました」


壊れた笑み。

ソレを浮かべ、ロッカスの元へと歩みよるレオナ。

そして、ロッカスは弄ばれる。


レオナの剣で。


叫びすらあげることすらできず、壊れたレオナがその嗜虐に満足を覚えるまで、永遠に。


その光景。それはーー


苦しめること。それにおいてレオナのほうが優れている。

そうジークが判断した結果だった。

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