泣いた後
水滴を流した後、私を捨てた二人の行方を探す為、
何故片目と片足を失ったのか、
その真実を探す為辺りを探す、
すると今度は天井に届きそうな位の鏡を見つけた。
その鏡を見て、
自分の容姿はこんなに酷くなっていたのかと認識する。
片足は朽ち木を添え、もう片足は痣や赤黒く変色した跡、
左腕も痣、痣、痣とかなり酷い、
右腕は切り傷や少しの痣だけだ。
この中ではまだマシだろう。
『……』
服を捲り、お腹等を見てみる、殴られたり、刺されたり、
注射、切り取られた、抉られた、変色、複数の痣、
の跡が数え切れない程残っていた。
『……』
少し嫌な気分になりながらも何故こうなったのかを探す為、
辺りを探索する事にした。
『…ドア…』
ギィィィ…
ペタ…ペタ…ペタ…
…
……
……ォァェリ…ォァェリ…
『……?』
ドアを開け近未来的な廊下を裸足で歩いていると、
右の廊下から小さいがオアエリと聞こえ、
もしかしたら自分と関係があるかもしれない
そう思い私はその廊下を進んでいった。
…ペタ…ペタ……ペタ…
…ォァエリ…ォァエリ…
その音は無機質な物が発しているというより、
生き物が発しているように聞こえた。
少し嫌な予感はしたが…
『…行こう。』
自分と関係があるかもしれないと思い、
震える片足を抑え、
音の鳴る方に進んでいった。
…ペタ…ペタ…ペタ…
…オアエリ…オアエリ…
その声はどんどん大きくなっていき、
遂にその声が聞こえる部屋の前まで辿り着いた。
そのドアを開け、その部屋に入った瞬間。
オアエリ…オアエリ…
…
……
………
ゴトッ…
オアエリオアエリオアエリオアエリオアエリオアエリオアエリオアエリオアエリオアエリオアエリオアエリオアエリオアエリオアエリオアエリオアエリオアエリオアエリオアエリオアエリ!!!
体長約2m横2mの肉と人の部位が混ざり合って出来たモノだ。
そして声の主は、
手に持っていたモノを落とし、自分に向かって、
身体を引き摺りながら近づいてきた。
『!?』
少し暗くて判りにくかったが、ナニカには二つ上半身があり、
茶色の髪をした女の子と銀色の髪の女の子の上半身が
ナニカには付いていた、
…
……
いや…付いていたというのは違った、
アレは…二人の女の子とナニカが融合した姿だった。
自分が考えている間にもナニカは身体を引き摺り、
そして約数mまで近づいてきた。
『…貴方は…誰…?』
自分が言った言葉にナニカは反応し、
自分の眼の前で止まり、
二つの女の子が目をぱちくりとさせ、
自分をジロジロと見始めた
『…?』
『……』
『……』
『…貴方…達?は誰?』
『…あ』
すこしの静寂の後、ナニカに融合した二人が喋り始めた。
『…貴方は確かN-8865?いや…けど色…色素が…?』
『貴方は誰です?』
『え…?わ、私は…N-8865…です…』
急に喋り始めた事で、私は戸惑うが、自身の名前を言うと、
途端にナニカはお喋りし始めた。
『何だ〜、貴方でしたか、お久しぶりですね、レイちゃん。』
『久しぶり!!レイちゃん!!』
『えっ…レイ…?いったい何のこ…』
自分がそう言いかけると同時にナニカが自分に抱きついた。
ギュウゥゥゥゥゥゥ…
『ゥ…ゥごけない…』
自分が苦しそうな顔をした瞬間、
ナニカは抱きつくのをやめ、
すぐに謝り始めた。
『す、すいませんレイちゃん…アハハ…
久しぶりにレイちゃんと会えたもので…』
『すいませんレイちゃん…』
『…だ…大丈夫…貴方…達は?』
『もしかして記憶を失った感じですかね、
私はY-9103(由香)と申します、こっちは…』
『私はA-9103(秋)です!改めてよろしくお願いしますね!
レイちゃん!』
『よ、よろしく…所でここは?』
『ここはですね、実験部屋の一つですね、
レイちゃんもここにいましたね、この前、
廃棄という形でゴミ処理部屋に行ったようですが。』
『大丈夫だったんですか?』
『大丈夫…』
『ともかく会えて嬉しいです、
私と秋はここの区画にあった資材等を集めて、
売れそうな物を集めているんですよ。』
『売れそうな…?』
『…あぁなるほど、
多分レイちゃんはあの出来事覚えていませんね。』
『…あの事?』
『えぇ、実はレイちゃんがゴミ処理部屋に行った後、
ここから少し離れた部屋にある実験部屋で、
実験体の一体が暴れだしてこの施設の
10/1が壊れたらしいです。』
『それで実験体が暴れた時、
何体か収納された部屋が複数破壊されまして、
その中で別の所に繋がる通路が見つかりまして、
そこから街に行けるようになったんてす。』
『それで、ここの区画が壊れた事で、
見放す形で管理されなくなったんですよ。』
『…つまり…?』
『簡単に言うとこの区画にいた実験体達は
管理されなくなったので売れそうな物を売って
行かないと生きていけないらしいです、
勿論まだある施設の奴らに従えば衣食住は手に入りますが、
勿論私もあなたも嫌でしょう?』
『な、なるほど…』
『ちなみにこの区画での探索は慎重にやったほうがいいですよ、
何故ならここには…』
由香がそう言いかけると、異音が聞こえた。
…マァ…マァ…
…ズズッ…
『…やっぱり来ましたね、実験体が。』
『?』
『私達は元人であったり、
知識を持っている個体なので意思疎通出来ますが、
それ以外には知識等を持たない実験体も居ます、
そしてここの区画を破壊したのは…』
…マァ…!マァ…!
『アレ(知識を持たない実験体)ですね。』
由香が指した先には廊下があり、
そこから黄色い髪の女の子…の顔が付いた、
廊下の天井まで届く位の大きな肉塊の蜘蛛だった。
『気を付けて下さい、
あの実験体は知識が他と比べて低いですが
その代わりに戦闘能力が高いです、
下手に直撃したら死にます、
なのでここは逃げが正解です。』
『処理部屋まで逃げましょう!』
自分が戸惑っているとガシッと持ち上げられ、
そのまま処理部屋まで連れて行かれた。
〈ゴミ処理部屋〉
バタンッ!!
『ふぅ〜何とか逃げ切りましたね、
さっきのあれは確か"N-5641.0"ス●イダー●ンみたいなのを
作ろうと上位の研究員がなんか作ってたやつですね、
実験体の元が確か蜘蛛と花蓮優香ですね。』
『元友達だった人ですね。』
『お金は少しありますし、
アレがいるとしばらく探索に行けないので
一旦街に向かいます。』
『レイちゃんはどうする〜?』
『…着いていっても…?』
『いいよ〜』
『いいですよ、それでは街に行きましょう…
それでは声の声量を少し下げてください、
バレたら厄介ですので。』
『わ、分かりました…』
…
……
〔研究所外〕
『………』
ズズズッ…ズズズッ…
『……ここまで行けばもう大丈夫ですね。