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3-9  遺跡調査

いつも読んでいただきありがとうございます。


感想やいいね、ブックマーク登録等よろしくお願いいたします。

 今朝はとんでもない一日のスタートを迎えたが、その後は落ち着きを見せた。


 アルミネの説得には一苦労したが、ミレーナの口を塞ぐことによって危機を脱したのだ。


 そして時は進み、夜半の拠点にて。


 アルミネの一言からそれは始まったのである。


「――()()調()()?」


「ええ、そうなのよ」


 それは、アルミネがヴェールとして活動中の話。

 冒険者組合に呼び出された彼女は、そこで指名依頼を受けた。

 

 それが、遺跡の調査依頼。


「私に依頼をだしたのは、冒険者組合直々。前からこの依頼は掲示板に出していたらしいんだけど、今まで4パーティーが受注して一人も生還者がいないらしいの」


「随分と物騒ですね」


 ネーヴェの言う通り、流石におかしい。


「私もそう思うわ。そして、Aランク且つ二つ名持ちである冒険者ヴェールに指名依頼を出したってわけ。依頼の内容は遺跡の調査と、できれば冒険者たちの生死確認もだって」


「成程な…。その遺跡ってどういう所なんだ?」


「ここ最近に発見されたらしいんだけど、どうも入口の造りからして古代文明に関連する可能性があるらしいわ。中についての情報はさっぱりね。なんせ生還者がいないから」


「場所はどの辺?」


「エミリア王都の西…、マルカイ子爵領にある山の奥のようね」


 マルカイ子爵領…。


 王都からはそんなに離れていないな。


「この際だ。4人で冒険にでも出かけようか」


「あら、それは良いわね」


「ふむ。中々楽しそうじゃないか」


「私もお供させていただきます」









________________________________________









 俺たちはすぐさま、依頼された遺跡の場所へと向かった。


 誰も近寄らないような山奥にあり、周辺には魔物も数多く生息していた。


 通常の探索であれば魔物を退治しながら数日間かけて進む道のりであるが、お得意の【シャトー・トランス】を使ったため、道中の雑魚敵は完全に無視。


 何の邪魔も入らずに、30分程度ですんなりと遺跡の前へと到着したのだった。


「あそこか…」


 俺たちの目の前には、確かに遺跡と呼ぶべき人工的な造りの洞穴が在る。


 古代文明と言っていたが、確かに現代では無いことがわかるような文様が彫られている。


 非常に興味深いが…、誰がこんな場所を見つけたんだか。


「土魔法で入り口付近が加工されているわね」


「最近のものだな…。これは、前任の冒険者が来ていた証だろうな」


 つまり、この遺跡自体に辿り着いたパーティーは存在すると。


「どうやって行くの?影移動でショートカットする?」


「それも良いんだが、逃げの手段として取っておくよ」


「それが良いな。切り札は最後までとっておこう」


 ある程度の方針を決めた後、俺たちは遺跡の中へと入った。

 

 先陣をきるのがアルミネ。


 そして彼女の後ろにミレーナとネーヴェが並び、最後尾が俺という陣形だ。


 魔力感知の得意なアルミネは、迷うことなくズンズンと進んでいく。


 今のところ細い一本道であり、分岐点も無いため、魔物がやってくるとすれば俺達の正面からだろう。


 ……。


 …。


 あ。


「――【テンペスタ・レイ】」


 突然、アルミネが魔法を放った。


 圧縮された風が彼女の手から数本放たれ、突き当りを右へと曲がっていく。

 直後、何かが破壊されるような音が遠くから響いた。


「お、命中したわね」


 実はこの通路の先に、5匹の魔物反応を確認したのだ。


 彼女は感知した瞬間に、その場から風魔法による遠距離攻撃をしかけた。


 敵の姿も見ずに先制する辺り、本当にアルミネらしいと言える。


 もしこれがRPGの中だとしたら、制作陣泣かせにもほどがあるだろう。


「お見事だな」


「ありがとう」


 先の魔物の反応は確かに消失した。


 しかし、俺の感知はさらなる敵の接近を捉える。


 まだ先の見えない右の通路から5体。


 これはアルミネが倒した魔物の場所付近だ。


 そして…俺の後方からも5体。

 

 視界にはまだ入ってきていないが、確かに俺達の方へと走ってきている。


「「【テンペスタ・レイ】」」


 俺とアルミナは、ほぼ同タイミングで先ほどと同じ魔法を発動させた。


 前後に風が幾本の線となって伸びていく。

 

 直後、何かが崩れる音と共に魔物の反応が消失。


 無事に片づけたようだが、俺の後方から来た魔物に関しては疑問が残るな。


「背後から魔物か…。遺跡の外から来たわけではないよな?」


「そうだな。多分、俺たちが通った後に発生したんだろう」


 お互いに感想を述べながらも、進む速度は変わらない。


 数秒後、突き当りを右へと曲がり、先ほどアルミナが魔物を倒した場所へと到着。


 しかし…、そこには何も残っていなかった。


「魔物の死体が無いな」


「ええ」


 まるで、俺が【シャトー・アビス】で死体を消すかのようだ。


 魔物の血痕すら残っていないのは、何かタネがあるに違いない。


「これは…、迷宮と同じ仕組みですね」


「成程…」


 ネーヴェが言及した迷宮とは、ダンジョンと言えばわかりやすいだろうか。


 魔物が発生し、迷宮を進んだ先に潜むボスと呼ばれる魔物を倒し、お宝を得るという夢のような場所。


 冒険者にとって、ダンジョンを制覇するというのは一つの目標になることが多い。


 普通、迷宮は魔物が溢れかえることで周囲の町に危険が及ぶ可能性があるため、付近に都市を構成することで人口的に管理をする必要があるのだ。


 その町には冒険者が多く訪れるため、観光地としても賑わう場が多い。


 リスクに見合うリターンが期待される資源として、迷宮は重宝されがちだ。


 そして、迷宮に関する文献を何度か見たことがあるのだが、非常に魔訶不思議な造りで、未だその全貌は理解されていない。


 迷宮内における魔物発生の原理や、死体の消失、ボスという存在など、外では起こりえない現象が多々起こるような場所なのだ。


「ネーヴェは言ったことがあるのか?」


「ええ。フォレスタには何個か迷宮都市がありましたから。その時も倒した魔物は自然消滅していきました」


「この国にも、確かいくつかあったな…」


「しかし、こんな王都の近くに管理されていない迷宮があっても良いのか?」


「駄目だろうな。定期的に冒険者が狩りにこないと、魔物の氾濫が起きる」


 よくここで氾濫が起きなかったものだ。


 恐らく長年放置されていたのだから、過去に複数回も起きていて良いはず。


 既存する他の迷宮とは、また違う造りである可能性も出てくるな。


「ネーヴェ、ここで亡くなった冒険者ってどうなるの?」


「魔物と違って、死体としてその場に残るはずです」


「まあ、当たり前よね」


 アルミネは、冒険者も魔物同様に消えてしまうのではないかと想像したのだろう。

 

「この先…、通路が終わって空洞にでるわ」


 彼女の感知通り、細い通路が終わった先に広がっていたのは無機質な大空間。


 俺が影の中に作っている、コンクリート風の灰色一色空間と似たような場所だ。


 しかし、壁の作りは…、明らかに現代のソレではない。


 今のところ魔物の反応は無いが、慎重に歩みを進める。


 反応…!


「…あら?」


 そう呟いたアルミネの方向…。


 彼女の足元に突如広がったのは、大きな赤い魔法陣。


 それが発動した途端、俺たちの周囲を取り囲むようにおびただしい数の魔物の反応を確認してしまった。


 随分と安易なトラップ部屋だ。


「あちゃあ…。トラップ踏んじゃったわ」


「迷宮の常套手段だな」


 トラップを踏んだとはいえ、誰も驚きはしなかった。


 如何なる時も冷静に対処する重要性は、彼女達も理解している。


 俺達を取り囲む魔物の数は凡そ300。


 恐らく、先ほどの通路に出現していた魔物と同じだ。


 ゆっくりと俺達へと近づいてくる魔物達。


 ついに、その全貌を拝める距離へと近づいた。


「ほう…。興味深いな」


 ミレーナがそう嘆いたが、全員が同意見だろう。


 何故なら外にいるような魔物ではなく、()()()()()()()()()()()()()()()()のようなものであったからだ。


 前世でいう自立型ロボットに近いが、こんなものはこの世界で見たことが無い。

 

 明らかに作られた時代は異なるが、現代よりも数段階進歩した技術が集約された産物に見える。


 魔物と同じように個々が魔力を持っているのも、非常に興味深い。


 本当は数体を持ち帰ることができたらベストなのだが…。


 これまでの経験上、倒したら消えてしまいそうだ。


「…ネーヴェ」


「畏まりました、ご主人様」


 声をかけられた彼女は、俺の意思をくみ取ったのか、俺達の前へと歩み出る。


 ゆっくりと片膝を折り、右手を床へと。


 彼女は目を閉じ、目視できるほどの青い魔力を走らせる。


 その瞬間、この広い空間の温度が一気に下がるのを全身が感じとった。





「――凍てつけ」





 森王国フォレスタの元第三王女にして、あらゆる才に恵まれた。


 幼いころから大人の魔法師を相手にしてきた彼女の氷魔法の神髄は、その規模にある。


 さらに、俺との訓練により火属性魔法をも貫かんとする氷を発現させるその魔法は、容易に周囲の敵を瞬時に凍らせた。


「お見事」


「ありがとうございます」


 彼女はエルフ特有の長耳をぴくっとさせながら、優雅に一礼をした。


 その後、彼女が自分で凍らせた地面で転びかけたことは、俺しか気づいていない話。











本話も読んでいただきありがとうございました。


作者 薫衣草のTwitter → @Lavender_522

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