表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/28

2-10 行動開始

いつも読んでいただきありがとうございます


感想やいいね、ブックマーク登録等よろしくお願いいたします。

「あるじ!きょうはどこにおでかけにいくの?」


「今日は、ちょっとお家を貰いに行こうと思う」


「おうち?あるじとワタシのあいのす?」


「…アリア?そんな言葉を何処で覚えた?」


 ルーチェの姿となった俺とアリアは、現在影の中を移動している。

 彼女は定位置の一つである、俺の肩の上にフィット中。

 とんでもない単語が出てきたたのだが、一体誰の影響だろうか。


 昨夜、マスターから聞いた情報をもとに、自分がどのように動くべきかを考えた。

 その結果、監禁されている奴隷達を、オークション前に保護することに決めたのだ。

 

 奴隷は恐らく全員が女性で、珍しい種族が多い。

 その場で解放…としてしまうと、また誰かに捕まってしまう可能性が高いのだ。

 そのため、保護という形で俺の影の中に入れるのがベスト。


 その後、彼女達には選択肢を与えようと思う。


 一つ目は、故郷に帰ること。

 帰るべき場所、待っている人がいる…、そんな者もいるだろう。


 二つ目は、独り立ちできる術を身に着け、平和に過ごせる場所を見つけるまで影の中で過ごす。

 これは、既に故郷が滅ぼされていたり、家族を失った者達だ。

 珍しい種族ともあれば、適当に放出するのは、さらに危険があるため、ある程度の環境を整えたら、俺の保護なしで生きていってもらう。


 どちらを選択したとしても、ある程度の資金も渡す予定だ。

 ルーチェの活動でも十分だったが、ヴェールの冒険者活動でもかなり稼いでいるため、俺には使いきれない量のお金が溜まっている。


 というわけで、一時的に保護する場所が必要なのだが、影の中に完成された建物を置いてしまうのが手っ取り早いという結論に至ったのだ。

 非常に短い期間ではあるが、シェアハウスという形で皆で手を取り合って生活をする。

 彼女たちが仲良くなるには、とても良い環境になると思う。


 ちなみに俺は、あくまでルーチェとして最低限の干渉をする。

 慣れるまでは全員分の食事を作ったり、施設の使い方を教えたりしなくてはならないだろう。


 後は、全て彼女達にお任せだ。

 女性だけの生活空間に、男の俺が介入するのは避けるべきだろうから。


「どこのおうちなの?」


「前に、大きな盗賊のアジトを潰した話をしただろう?」


「にしのかど?」


「そうだ。そこの屋敷が空いているものだから、丸々貰ってしまおうと思う」


「あるじったら、だいたんなおとこ!」


「だから、そんな言葉を何処で覚えたんだ?」






 数分後、俺は目的地へと到着していた。


 後は目の前に構えられた無駄に大きな屋敷を貰うだけだが、近くに人もいないため、割と雑な作業になる。

 

「【シャトー・アビス】」


 魔法の発動と同時に、屋敷全体がドーム状の影に包まれる。

 

 そして、徐々にそのドームが小さくなっていく。


 数秒した後に、その場はただの平地になってしまった。


「あっというまだね」


 もぞもぞと俺の首元から顔を出した彼女が、跡形も無くなってしまった景色を見て、そう嘆いた。


「影の中に格納するだけだったからな」


「さっきのおうちが、ワタシとあるじのおうち?」


「いや、俺は住まない。奴隷達を一時的に住まわせようと思ってる」


「え、ワタシとあるじのおうちは?」


「…無いが?」


「むう…」


 彼女は俺への意思表示なのか、頬を膨らませて、俺を上目遣いに見てくる。

 少し機嫌を損ねてしまったようだ。


 影の中にある生活空間では、物足りないのだろうか。

 いや…、ずっと俺の懐にいるから変わりないじゃないか。


「アリアのお家はここじゃないのか?」


 そう言って、俺は少し空いた自分の胸元を指さす。

 基本的にそこが彼女の出入り口なのだ。


「うん!ここがワタシのおうち!とくとうせき!やっぱりあたらしいおうちはいらない!」


「そ、そうか」


 …随分とチョロい。


 その後、俺とアリアは影の中に潜り、屋敷の中を整えた。

 力作業は影魔法でごり押し、生活魔法を使って隅々までをキレイに。

 魔法によるコーティングも施し、中の趣味の悪い家具や照明も一新した。


 屋敷の広さは結構あるため、全員分の個室も確保できる。

 複数人が寝れる部屋もあるし、全員が食事とれる広間にダイニングキッチンも完備。


 さらにこだわりを持ったのは、トイレとお風呂だ。


 水が出るだけのアーティファクトを魔改造し、ウォシュレット付きのトイレとお風呂を既に完成させ、影の中にある生活空間にて活躍していた。

 それをちょっと改造したり、大人数向けの大浴場にしたりという工作を積み重ねた。


 前世の膨大な知識と魔法を組み合わせて、中々レベルの高いものを作り上げることができた気がする。


 リフォームはこの辺で良いだろう。

 








________________________________________









 さらに数日が経過。

 奴隷が監禁された場所を襲撃する日は、刻一刻と迫っていた。


 今日のルーチェは外での活動を予定していなかったため、襲撃の計画を練っていた。

 周辺地図の確認や、最適ルートの試案など、考えるべきことは山ほどある。


 既に下調べは済んでおり、見張りの数やそのローテーション。強者がいるかいないか…といった確認をしてきた。

 捕われた奴隷の数は、約200。全員が女性で、人族、獣人族、エルフ族、ドワーフ族…、等様々な種族がいた。

 中には資料でしか見たことのなかったレアな種族…、龍人族や聖霊族、エルフの上位種のハイエルフ族等も捕まっている様子。


 彼女達はいくつかの檻に集団で放り込まれており、全員の首には金属製の首輪が着けられていた。

 マスターから聞いた話では、【絶対従属の首輪】というアーティファクトで、主に犯罪奴隷に対して用いられる物だ。

 しかし、裏でその首輪を入手し、罪のない人々にそれをかければ、自分だけの奴隷が完成…ということ。


 反吐が出る。


 彼女たちの中では、恐らく戦闘の得意な者もいる。

 しかし、【絶対従属の首輪】は一切の反逆を許さないのだ。


「さて…、注視すべきやつは2,3人程か」


 敵の人員の中には、複数の属性持ちがいる。

 属性の多さが単純な強さの指標にはならないが、それでも戦闘訓練は他の人より積んでいるはず。

 結局は要注意人物として挙げられてしまうのだ。


 ただし、どれも西のトップであったレクスよりは弱い。

 あの時は俺の独壇場、最も得意なパターンで一方的にしかけたが、正面からのタイマンとなれば、暗殺の成功確率は数パーセント下がる。

 それでも俺の勝ちは揺ぎ無かったが、アイツが強者であったことに間違いはない。


 様々な資料とにらめっこをしていた最中、俺の懐から飛び出したアリアが俺に話しかけてきた。


「あるじ、さくせんかんがえてるの?」


「嗚呼、そうだよ」


「ワタシもやりたい!あるじのやくにたつ!」


「アリアが?」


「ワタシ、ぷりずんを20まいぬけるようになった!あるじのやくにたてるよ!」


 アリアが参加するとなると…。


 彼女は今の所、大人ドラゴン形態でのブレスが最大の武器だ。

 しかし、派手も派手。暗殺には不向きである。


 俺一人なら、静かに誰にも悟られずに終わらせることができるのだが、彼女の見せ場を作るとなると、それは難しくなる。



…いっそのこと、ドカンと一発いくか?



 ど派手にカマすメリットとしては、西を落とした者と同一犯だと見られにくい点が挙げられるだろう。他の角への牽制にもなるし、角同士がぶつかる時期を遅らせることもできそうだ。


 デメリットは、やはりとにかく目立つこと。真夜中にドラゴンのブレスという大花火をぶっ放すのだ。王城も大騒ぎになるだろうな。

 

 このデメリットを打ち消すには…、俺のスピード勝負だな。

 

「アリア、俺の言うことを守れるか?」


「うん!まもる!」


 …うん、彼女なら大丈夫だ。


「それじゃあ、俺とアリアの共同作戦にしようか」


「さくせん!あるじとの、はじめてのきょうどうさぎょう!」


「…その表現は何処で覚えた?」










本話も読んでいただきありがとうございました。


作者 薫衣草のTwitter → @Lavender_522

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ