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忘レター


「嘘……でしょ……」

私はある子に告白するために徹夜して書いたラブレターを家に忘れてきてしまった。

授業中、ずっと青ざめ全ての教科の先生に『保健室に行った方が良いのではないか?』と言われたが、真面目な私はラブレターを忘れたという理由で休まなかった。

放課後になり、フラフラとお手洗いへ行くと私以外にも誰か入っていた。

その子は何かあったのか涙をすする音が聴こえていた。

トイレが流れる音が聴こえ、彼女が出ていくのを待ち、私も手をきっちり洗いお手洗いから出た。

昇降口に行くと私の好きな子が夕陽に照らされて、シルエットになっていた。

彼女が振り向くと涙の痕跡があった。

私はひとりの生徒として、その子の前を通り過ぎようとした。

そしたら、右腕を掴まれ『待って』と言われた。

「は、はい!」

予想外のことで裏返った声が出た。

「あの、いきなり、ヘンなこというかもしれないしれないけど、私、好きな子に……」

私の心が割れた音がした。

「その子のためにお手紙書いたのに、忘れちゃったの……」

アレ? これは……?

「だから、直接言うね、私、貴女のことが好き」

「え……ちょっと……待って……」

頭の中で処理できない。

こんな奇跡があるのだろうか。

「私も貴女のこと好き……大好き! 実は私も手紙書いてたの! でも、忘れてきちゃったの!」

「ほほほほんんと!?」

「なんなら日付だって書いてるよ!」

「やった! 私たち恋人同士だね!」

「まだだよ。お互いお手紙見せあってからね!」

私たちは夕陽でシルエットが伸びていく中、笑い合いながら忘れてしまったお手紙に感謝しながら帰っていった。

           



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