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三角関係バトル


「実はアタシ! ミオのこと好きだったの! 友達とは別で!」

 織田ノリコは顔を真っ赤にして叫んだ。

 名前を叫ばれたミオこと川島ミオと隣に座っている吉富サキはふたりで顔を見合わせた。

 ———どうしよう……。

 それは小学生からの幼馴染三人の再開を祝して開かれた女子会。

 実はミオとサキはノリこに再開する前から付き合っていた。

 ———うーん。どうする。

ふたりはアイコンタクトで会話するも、どうするどうするしか言葉が浮かんでこなかった。

「せっかくの再会なのにごめんね。でも、今日を逃したらもう、言えない気がして! サキごめんね! こんな話に巻き込んで……」

サキも関係者の1人であるが、その事実をノリコだけが知らない。

これは意を決して言うしかないのか。

そもそも、なぜ、ノリコに付き合っているのを隠していたかというと……そもそも隠していなかったのである。

———ミオとデートしてくるねー!

———サキとディナーなう!

など、三人のグループLINEには上げていた。

もちろん、ノリコは通う大学がふたりより遠方だったため、LINEでは「いってらっしゃい」や「うらやましい」などのことしか書きこめなかったのである。

ミオとサキの誤算はお互いのどちらかすでに伝えているだろうという甘えだった。

だから、LINEで堂々とふたりの自撮り写真を上げていたのである。

ノリコのことを除け者扱いしたわけではない。

ただ、タイミングが合わなかっただけだ。

「ノリコ、その……」

口を開いたのはミオだった。

「わかってる。ミオの気持ちわかってるよ……」

ミオとサキは息を飲んだ。

ノリコも気づいていたのだ。

ミオとサキの関係に……とふたりが思った瞬間、ノリコは想像とは別のことを言い出した。

「ミオもアタシのこと好きなんだよね? 友達とは別で」

「え、ええ、ああ?」

ミオは返答に困り、口は開けども、音しか発せなかった。

見かねたサキがミオの代わりに打ち明けた

「ノリコ、落ち着いて聞いて。ミオと私は付き合ってるの。友達とは別で!」

「…………」

ノリコは、前のめりにうずくまり、突然、顔を上げたかと思うと、悲鳴のような声を出した。

「ああああああああああ! なんですってええええええ! サキ、アンタ、この女のどこが良くて付き合ってるのよ!?」

好きというわりにはミオをけなしてるようにしか聞こえない。

「はぁ!? 顔に決まってんじゃない!」

「か、顔!?」

付き合っている理由を初めて聞いたミオも声を上げた。

「顔は当たり前じゃない! ミオはサキのどこが良くて付き合ってるわけ?」

「顔と声とおっぱいと……」

「ふたりとも身体のことばかり! お互い身体が目当てなのね! 不潔よ!」

「じゃあ、ノリコはミオのどこが好きなの!」

「足が速いところ!」

「小学生かよ!」

「でも、ミオはアタシを選ばなかった。アタシより顔が良くて、声が良くて、おっぱいのラインが良いサキを選んだのは事実よね」

「なんか、私が浮気したみたいになってるけど、違うからね。厳正な審査の結果だからね。ノリコの実力が決して劣るじゃないからね!」

「ミオ、オーディション形式で選んでたのかよ……。そんな理由で付き合ってたのがツラくなってきたわ」

サキの中でミオの株がどんどん落ちていく。

「ま、待って! 私はノリコもサキもふたりとも大好きだよ! 友達とは別で!」

サキとノリコは顔を見合わせて、笑顔になった。

「なんでそんなことに気付かなかったんだろう! そうだよ! 三人で付き合おうよ!」

ミオは咄嗟に行ってしまったことが、ふたりの怒りを鎮めたことに驚いている。

———これでいいのか。

「おかしいと思ったんだよね。ミオと私だけで一緒にいても寂しいって感じてたんだ」

「そ、そうだよ! 三人組の恋人がいたって良いよな!」

ミオもだんだんそれが正しいと思いこんできた。

「じゃあ、アタシたち……」

「全員、恋人だよ!」

三人は肩を組んで、お酒を呑み、次の日まで飲み倒した。

そして、前日に交わされた会話の記憶が全て飛んだ。



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