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第7話 出会い

「じゃあ行ってきます!」


 両親と長老に別れを告げ、俺は村を出た。

 レイとも話したかったが、昨晩急にこの村を出て行ってしまったらしい。

 自由人というか何というか。

 とてもレイらしい。


 村の結界の外に出ると、暖かい風が頬をなぞる。

 とりあえず向かう場所は一番近い都市である、王都ネルキスにしよう。

 この森を超え、平原を進めばすぐそこだ。


 ――だが、その前にやることがあるか。


 村を出た瞬間から感じていたこの殺気。一つや二つではない。

 それにこの物音、向こうで誰か戦っているみたいだ。


 足を速め茂みを出ると、そこには狼の群れと戦う赤髪の少女の姿があった。

 少女は短剣を構えていたが、6匹もの狼に防戦一方になっている。


「やれやれ、村を出た途端に魔物と出くわすなんて」


 と、その時少女が石に躓き、隙を見て狼たちが一斉に彼女に飛びかかった。


「古代土魔法・巨人の怒り!」


 呪文の詠唱と共に飛び出した土の槍は、柵のように少女を囲んだ。

 少女と狼が一斉にこちらを見る。


「6匹か……なら。――古代風魔法・妖精の羽ばたき!」


 俺の前に竜巻が出現し、狼たちは逃げる間もなく風に巻き込まれていく。

 狼の体が竜巻の周りをぐるぐる回り、勢いよく四方八方に吹き飛ばされる。

 風が消える頃には、動ける狼は一匹もいなかった。


「大丈夫か?」


 土魔法を解除し、少女に話しかけると彼女はどこか不機嫌そうにしていた。


「私勝ってたから……」


「……え?」


「だから勝ってたの!! どうして邪魔したのよ!!」


 急転直下。

 てっきりお礼の一つでも言われると思ったら、怒りをぶつけられるなんて!

 父さんが女は怖いと言っていたけど、このことだったのか。


「いや、全く勝機なんて無かったじゃないか。挙句の果てには小石に躓いて……」


「うるさい! あっもうっ! あなたのせいで魔物を逃がしちゃったじゃん!」


 狼たちは何とか動けるだけの体力を回復したのか、足を引き吊りながら茂みの奥へと逃げていった。


「もうちょっとで魔石が手に入ったのに……どうしてくれるのよ!!」


「えっと……そもそも魔石って……なにかな?」


「は!? 魔石も知らないの!? まさかギルドや冒険者も知らないとか言うんじゃないでしょうね」


「知らない……」


「はぁ……呆れて物も言えないわ。あんなに強いのにどうしてそんなこと知らないのかしら……」


「あれ? もしかして今俺のこと褒めてくれた? ありが……」


「う、うるさいっ! 別にそんなつもりで言ったんじゃないわよ!」


 恥ずかしかったのか、彼女の顔が赤面する。


「ごめんね。今まで魔法書ばかり読んでいたからその辺のことが全然分からないんだ。もし良かったら色々教えてほしいな」


「そ、そうね……助けてくれたお礼? に教えてあげてもいいわよ」


「ありがとう」


 ――彼女の話をまとめるとこうである。


 まず魔物とは、その昔魔王が魔石から創り出した生物で、この世界に相当数いるらしい。勇者が魔王を倒した以後も消滅することはなく、先ほどのように人を襲ったりしているのだとか。

 その魔物は倒すと塵となって消滅するのだが、それと引き換えに入手できるのが魔石。青色の石のような物質で、魔物以外からは手に入れることが出来ないらしい。

 また、ギルドとは登録した冒険者がクエストを受注できる場所で、世界各地の都市に点在している。クエストの内容は魔物討伐やダンジョン攻略が主で、難易度によって報酬もアップするみたいだ。

 そして最後に冒険者とは、ギルド登録しクエストを受注する者のことを指す。クエストの達成度によってランク付けがされ、自身のランクにあったクエストを受注するということだ。しかし中には、少数だがギルド登録せずに魔物を討伐している猛者もおり、そういう者はこの世界では開拓者と呼ばれているらしい。


「――大体こんな感じかな」


「なるほど。つまり君はどこかのギルドに登録している冒険者なんだね」


「違うわよ。私は開拓者よ」


「え? でもさっき猛者って……」


「は!? 私が猛者じゃないって言いたいの!?」


 猛者……ではないだろ。

 さっきの狼にも手こずっていたみたいだし。

 彼女はそんな俺の心中を察したのか、上目使いで俺の目を睨みつける。


「そもそもあなたこそ何者なの? 見た感じ冒険者や開拓者ではないみたいだけど!」


「あぁ……俺はシエン。ムン村から来た精霊族だよ」


ここまで読んでいただきありがとうございました!

面白いと感じられた方は是非ともブックマークをお願いします。

また下にある☆☆☆☆☆から、作品の率直な評価を頂けると嬉しいです。


作家にとって読者様の応援や感想がとても励みになります!

より面白い作品を目指して頑張りますので、今度とも応援よろしくお願いいたします!

ちなみにこの時戦った狼はワーウフルという魔物です。

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