第46話 最終決戦
――不思議な気持ちだった。
致命傷を受けているはずなのに……あと一撃でもくらえば死に至るはずなのに。
体はよりスムーズに、豪快に、動いた。
溢れる魔力に対する優越感などまるで無く、草原で一人風を受けているような清々しさを感じる。
「なんだと……」
ブリューナクは自身の最高威力の魔法を相殺され、驚きを隠せないでいるようだった。
魔法の威力が格段にレベルアップしている……。
スキル鑑定を使って自身を見る。
シエン(40)
精霊族 Lv647
体力 43500(+31200)
武力 34600 (+28900)
魔力 75000 (+43000)
命値 153100(+103100)
これは……明らかに能力値が急上昇している。
ありがとう……皆。
これならブリューナクを倒せる!
「ここからは最終決戦だ……古代光魔法・閃光!」
シュン。
俺の姿が消え、ブリューナクの背後に一瞬で移動する。
「後ろか! 爆裂拳!」
さっと体の向きを反転させ、ブリューナクの拳が俺の腹に迫る。
「古代闇魔法・暗黒拳」
ボゥっと黒い魔力を帯びた俺の拳がそれを迎え撃つ。
ドォォォン!!!!
二つの拳がぶつかり爆発が起き、爆煙が辺りを覆いつくした。
「くっ……!」
その爆煙から先に飛び出したのはブリューナクだった。
逃げるように後ろに大きくジャンプする。
「お前! 何をした!!」
「古代風魔法・妖精の羽ばたき……」
俺の前に竜巻が現れ、煙を全て消し去る。
「ブリューナク……お前には一生分からないだろう……」
空中を飛ぶブリューナクを睨みつける。
「俺の強さも……仲間の大切さも……一人ぼっちのお前には分からないだろう……ブリューナク」
俺は地面を蹴り、一瞬でブリューナクの眼前に移動した。
「古代闇魔法・暗黒拳」
ブリューナクの腹を思い切り殴る。
「こざかしい!!」
ブリューナクが水の壁を出しガードするも、俺の拳はそれを軽々と貫く。
「罪を償え」
バゴォォン!!!
「ぐはぁっ!」
拳が腹に命中し、目にもとまらぬ速さでブリューナクの体が地面に叩きつけられた。
衝撃で地面にヒビが入る。
「くそ……が……」
ブリューナクはさっと起き上がると、空中の俺に手をかざした。
「爆裂弾!!」
無数の針のような水滴が俺に飛んでくる。
「死ねえ!!」
ドォォンン!!!
水滴が一斉に爆発し、爆煙が空を覆いつくす。
「死んだか……ふふっ……最期はあっけな……」
「俺がどうかしたのか?」
古代光魔法・閃光……俺はブリューナクの後ろに既に立っていた。
「な、なぜ……」
「ごめん。ちょっと遅すぎてさ」
「……は?」
「古代炎魔法・千花鳳凰」
次の瞬間、ブリューナクの両脇から二体の炎の鳥が現れ、ブリューナクに衝突した。
ボォォウ!!!
ブリューナクの全身が一瞬で炎に包まれる。
「くっ……この程度の炎……むん!」
ブリューナクが水の竜を体に纏わせ、炎を消し去る。
「やはり我の方が……」
「この魔法はなブリューナク……」
言葉を遮り俺が口を開く。
「1000体の炎の鳥……鳳凰がお前を攻撃する魔法なんだ……つまりあと998体、残ってる」
「え?」
ブリューナクがゆっくりと辺りを見渡す。
そこには無数の炎の鳥たちが羽ばたいていた。
「焼き尽くせ……」
「くそがぁぁぁ!!!!」
一斉に鳳凰たちがブリューナクに向かっていく。
ブリューナクは水の竜を出すも、炎を浴び無残にも蒸発した。
ボォォォンンン!!!!
家が燃えたような大きな炎が上がり、ブリューナクを包み込んだ。
「ギャァァァァ!!!!!」
ブリューナクの叫びが辺りにこだまする。
――少しして炎が消え始めると、そこにはボロボロのブリューナクが立っていた。
体からシュゥゥと煙を出している。
「決着をつけよう……ブリューナク」
「我は死なない……」
ブリューナクの目が東門を方をチラッと見た。
俺も一瞬目を向けると、そこには街の兵士たちの姿があった。
アカネとハクもその中にいる。
……良かった、無事だったんだな。
と安堵したその時!
ふっとブリューナクの気配が消えた。
目線を前に戻すと、そこにはもうブリューナクの姿は無かった。
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