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第45話 託されたもの

「こだ……」


 魔法を唱えようとした瞬間、ブリューナクが一瞬で俺の目の前に移動した。


「え?」


「……散れ」


 ブリューナクの拳が俺の腹に思い切りめり込む。


「ぐはっ……!!」


「まだだ」


 今度は蹴りが脳天に降ってきた。

 俺の体が勢いよく地面に叩きつけられる。


「くっ……!……こだい……」


「遅い」


 次いで腹を蹴られ、衝撃で俺の体は空中高くに舞い上がった。


「堕ちろ」


 ブリューナクが空中の俺に手をかざすと、手の先から無数の水の針が俺に飛んできた。

 何とか体をひねりそれをよける。


「爆裂弾……」


 しかし次の瞬間、水の針が一斉に爆発した!

 ドォォォォォンンンン!!!

 カッと大きな爆発が起こり、黒い煙が空を覆いつくした。

 俺の体はボロボロになり、無残に地面へと落下する。


「ぐっ……」


 ――攻撃の威力が今までと段違いだ……意識が……。

 何とか目を開けると、落下地点にブリューナクの姿が見える。

こちらに人差し指を向けていた。


「心臓を貫け……水糸」


 指の先から出た細い水の糸が、俺の心臓めがけて物凄いスピードで天を昇ってくる。

 

「古代光魔法・瞬間移動!」


 何とか詠唱を成功させると、俺は地面に瞬間移動した。

 ……しかし、ブリューナクが目の前に既に立っていた。


「その魔法の欠点は移動後隙が生じること。……爆裂拳」


 ブリューナクの拳が俺の腹に命中する。


「ぐはっ……」


「まだだ、この拳は爆発する」


「え?」


 攻撃をくらった直後、俺の腹がボォォン!!と爆発した。

 衝撃で数メートル先まで吹っ飛ばされる。


「……うっう……まじかよ……」


 ――俺は爆発の瞬間をこの目で確かに見ていた。

 服についた一滴の水……それが爆発したのだ。

 俺は何とか体を起こし膝立ちになるも、呼吸をするのに精いっぱいだった。


「はぁ……はぁ……」


 体がもう限界だ……。

 あと一発攻撃をくらったらもう起き上がれないかもしれない。

 万事休すか……。


「これで終わりだ……」


 ブリューナクの目の前に巨大な魔法陣が出現する。

 魔力がそこに集中し水の渦ができ始める。

 どうやら俺に留めの一撃を刺すつもりらしい。


「くそっ……ここで終わりなのか……」


 俺はあいつに勝てないのか、何も守れないのか。

 もっと俺が強かったら……もっと……もっと。

 ブリューナクの異常な強さに、心が絶望に支配され始める。

 

 ……しかしそんな時、誰かが俺の肩を優しく掴んだ。


「シエン、ありがとよ」


 それはクバートだった。

 後ろには一緒に戦った冒険者たちの姿もある。


「お前がいなきゃ王都は確実に終わってた、イリオスでの惨劇をまた繰り返すところだった……」


「何言ってるんだ……クバート」


「皆感謝してるんだ、お前に……そしてその勇気に」


「い、いや違う! もう終わりなんだ……最後の最後で体が動かないんだ! もう俺もこの街も……終わりなんだよ! 俺のせいで……俺がブリューナクを倒せないせいで……」


「シエン」


 クバートが微笑んだ。


「まだ終わってねえだろ、戦いは。……挑まなければ勝利を手にするチャンスすらない……なんだろ?」


「だが……」


 本当は分かっている。

 諦めたら本当に終わってしまうことくらい。

 でも、どうしても無理なんだ……ブリューナクに勝つ方法が見つからないんだ。


 俺の心を見透かしたようにクバートが頷いた。


「お前は一人じゃねえ。俺たちがついてる。数は半分くらいになっちまったが、十分にお前の力になれるはずだ」


 とその時、クバートの後ろにいた一人の冒険者の体が光の玉に変化した。

 それはスーッと空中を移動し、俺の胸にゆっくりと入ってきた。

 直後、脳裏に男の声がこだまする。


『シエン! ブリューナクを倒せ! あいつを倒せるのはお前しかいない! 任せたぞ!』


「クバート……これは……」


「そいつの名はウォン。まだ二十歳だが、勇敢な冒険者だった」


「ウォン……」


 クバートに顔を向けると、背後の冒険者たちが光の玉へ変わっていくのが見えた。

 その玉が次々に俺の体に入ってくる。

 

『諦めるなシエン! 俺の力を使ってくれ!』

『お前しかいないんだ、王都を守ってくれ』

『頼むシエン。お前は最後の希望なんだ!』

『ぶちかませシエン!』


「皆……」


 それはとても美しい光景だった。

 無数の光の玉が空を切り俺の体に入り、声と共に俺に願いを託していった。

 とても不思議で、とても温かい体験だった。


 ――気づいたらそこに残っていたのはクバート一人だけだった。


「シエン……俺もお前に託すぜ!」


 次の瞬間クバートの体も光の玉に変化し、俺の体へ入った。


『……お前は一人じゃない、俺たちがいつでもついてる。だから……大丈夫だ! 立てシエン!』


「ありがとう……クバート……皆」


 俺は痛みの中なんとか立ち上がるとブリューナクの方を向いた。

 渦巻いた水が竜の形に変化している。


 と、その時!

 森の向こうから突然飛んできた光の玉が、俺の体にすっと入ってきた。


『やれやれ……私を置いて先に行くな、あのバカ共め』


「え? なんで……」


 それはイリオス平原の時計塔の声だった。


『シエン……私の力でお前の傷の時間を止めてやる。だが、三分しか効果は続かない、その間にブリューナクを倒すのだ』


「うん……」


『……私たちの力が加わった今のお前ならばブリューナクを簡単にひねりつぶせるだろう。無双しろ! シエン!』


「ありがとう……時計塔……」


『一つ言い忘れていたが、私の名はギフトだ。時計塔じゃないぞ。ではさらばだ、勇者シエンよ、さっさと王都を救ってしまえ』


「あぁ……もちろんだ……もちろんだよ……ギフト」


 時計塔ギフトの声が消えると、体中の痛みが止まった。

 とりあえずは全身を動かすことができる。

 しかしギフトが止めたのは今の傷だけで、これからの傷は止められない。

 

「でも……大丈夫だよな」


 体中に魔力がみなぎり、闘志が湧いてくる。

 今までの俺ではないような感覚がする。


「これで終わりだ! シエン!」


 その時!

 ついにブリューナクの魔法が解き放たれた。

 魔法陣から生成された巨大な水の竜が爆発を帯びながら俺に向かってくる。


「水神爆滅!!」


「うん……」


 水飛沫を爆発に変えながら迫る水の竜を見つめ、俺は静かに頷いた。


「怖くない……古代雷魔法・雷装剣……」


 右手に雷の剣が出現する。


「古代雷魔法……二閃……」


 十字を書くように剣を二回振るう。

 ザン! ザン!!

 二つの雷の斬撃が水の竜に迫る。


 ザザザァァァァァンン!!!!!!


 雷の斬撃が水の竜に衝突し、それを相殺した。


「なんだと……」


「ここからは……最終決戦だ……」

ここまで読んでいただきありがとうございました!


続きが気になると思った方は是非ともブックマークをお願いします。

また下にある☆☆☆☆☆から、作品の率直な評価を頂けると嬉しいです。


作家にとって読者様の応援や感想がとても励みになります!

より面白い作品を目指して頑張りますので、今度とも応援よろしくお願いいたします!

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