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第36話 三騎士ブリューナク

 ――街の西側は思ったよりも人が少なかった。

 昨日の魔物襲撃を受け既に街を出た人が多いのか、通りにはほとんど人はいない。

 今のこの街を見て王都ネルキスだと誰が思うだろうか。


「……アカネ、鑑定は常時使っておけ、ブリューナクがどこに潜んでいるか分からないからな」


「ええ、分かってる」


 俺も鑑定を発動しながら道を進む。

 ……しかしさっきから妙なことが一つだけあった。


 ”水面の導き”の矢印が西門の方角で完全に静止し続けているのだ。

 つまりブリューナクは動かず同じ場所に留まっているということになる。

 一体何をしているのか……。


 走り始めて数分、バルモンドと戦闘をした辺りまで来た。

 西門が見える位置まで迫っている。

 矢印は未だ動かない。


「アカネ……この先にいるぞ……」


「うん……」


 少しして西門が目の前に迫ると、その前に立っている男が見えた。

 髪は金色……背が低く……ん?子供?

 

 ザザァ……。

 立ち止まって矢印を見るも、方向はその子供を指している。

 子供の方も俺たちの存在に気づいたのか、振り返り首を傾けた。


「お兄ちゃんたち……誰?」


 歳は12歳くらいだろうか。

 少年といえる体つきからは、三騎士ブリューナクなど想像もつかない。

 

「すまない、アカネ。もしかしたら魔法が間違っているかもしれない……」


「シエン……」


「それかずっと先にいるのかもしれない。既にこの街を……」


「シエン!! こいつがブリューナクよ!!」


「え? お前何言って……」


 少年は未だ不思議そうにこちらを見つめている。

 恐る恐る鑑定を使う。


ブリューナク(343)

魔人族 Lv738

体力 28700

武力 24500

魔力 39600

命値 92800


「は? 命値92800……俺の約……2倍……?」


「お兄ちゃん……どうしてそんなに驚いているの?」


 少年の顔に笑顔が浮かび、一歩ずつこちらに近づいてくる。


「後ろのお姉ちゃんも顔真っ青だよ。大丈夫?」


 ……どうする? まともにやっても勝ち目はない。

 

「僕が楽にしてあげるよ……」


 と、その時少年の姿がふっと消え、次の瞬間には俺のすぐ隣へ移動していた。

 俺の腕に少年の右手が伸びる。

 瞬間、寒気と恐怖が体中を駆け巡った。


「こ、古代光魔法・閃光!!」


 アカネの手を引き、ブリューナクと距離を取る。

 呼吸が荒れ、額には汗が浮かんだ。


「シエン……わ、私……」


 アカネも恐怖を感じているようで体を小刻みに震わせている。

 

「へえ……お兄ちゃん速いね。それに、もしかして今古代魔法って言ったかな?」


 ブリューナクが笑顔のまま近づいてくる。


「僕の正体も知っているみたいだし……色々とおかしいね、お兄ちゃん」


「お、おかしいのは……お前の方だ……」


 何とか言葉を紡ぎ出すが、声が震えた。


「たとえ魔人族であろうと歳は取るんだろ? なのに、なぜお前は子供のままの姿なんだ……」


「ははっ、そんなこと!? そんなの簡単だよ」


 ブリューナクはそう言うと、顔を手で隠した。

 手をはけると髪の色が青色になっている。


「僕のスキル”変化”があれば、自由自在に自身の姿を変えられる。違う種族にもなれるし、魔物にもなれる……たとえばこんな風に」


 直後、ブリューナクの姿は再び変化した。

 年老いた老人になり、次いでゴブリンになり、最後に元の少年の姿に戻った。


「本物の僕を見つけることなんて不可能だ。……とさっきまで思っていたのだけど……」


 ブリューナクの顔から笑顔が消える。

 代わりにとてつもない殺気を放っている。


「君たちは少年の僕を見てブリューナクだと判断した。……何かスキルを持っているね、僕の名前や能力値を知ることができるスキルを……」


「……どうかな?」


「ははっ。虚勢を張らなくたって大丈夫だよ。恐怖を抱いているものの顔はよく知っているから」


 と、瞬間ブリューナクの姿を消える。


 まただ……この高速移動……目で追えない。


「シエン! 上よ!」


 アカネの声を頼りに上空を見上げる。

 そこには身一つで落下するブリューナクの姿があった。


「変化!!」


 しかし次の瞬間ブリューナクの姿が、恐竜ほどの大きさはあろうかという狼に変化した。


「まずい……」


 狼の巨大な前足が迫る。


「古代光魔法・閃光!」


 再びアカネをつれ、高速移動する。

 ドシィィィィン!!!!

 さっきまで俺がいた場所に狼が落下し、地面がひび割れた。


「くっ……アカネ! お前は東門に戻ってハクを助けてやれ! こいつは俺に任せろ!」


「でも……あなた一人じゃ……」


「分からないのか!! お前がいても邪魔なだけだ!! 早く行け!!」


「え?……」


 言ってしまってから後悔した。

 いくら恐怖に呑まれていたとはいえ、言ってはいけないことを言った気がする。

 しかしアカネは泣きごとは言わなかった。

 

「分かった……」


 ただそれだけ言うと、俺に背中を向け走っていった。

 

「後で謝らないとな……」


 罪悪感は残るが、今はこの目の前の強敵に集中をしなければならない。

 気持ちを切り替えると、俺は目の前の狼を睨んだ。


「古代雷魔法・雷装剣……」

ここまで読んでいただきありがとうございました!


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