第23話 管理者モーモス
「え?」
時計塔に入ったはずが逆にそこから出てきたみたいに、時計塔を背にしている。
外に出た記憶は全くない。
アカネも困惑しているようで目をぱちぱちさせていた。
「シエン、今私たち……確かに入ったよね……」
「ああ……もう一度入ってみるか?」
「うん……」
反転して、再び時計塔に足を踏み入れる。
……しかし次の瞬間には外にまた出てしまっていた。
「なによこれ!! これじゃあ入ることも出来ないじゃない!!」
アカネが言ったその時だった。
『二人ともごめんね。今はダンジョンには入れないんだ』
どこからか男の声がした。
ガーネリア森林のダンジョンで管理者メーティスが語りかけてきたみたいに。
『先に入った女の子がこのダンジョンに変な魔法使っちゃってね、僕も困ってるんだよ』
「お前は……ダンジョンの管理者か?」
『そう! よく分かったね。僕の名前はモーモス。このダンジョンの管理者さ』
「そうか……ん? ちょっと待てよ……女の子ってもしかして白い髪の? ハクナギルか?」
『うーん……そういえば誰かがそう呼んでいたような……二日前に来てね、それからずっとここにいるよ』
「シエン……それって」
「ああ、間違いなくハクだろう。……発見できたのはありがたいが、まさかダンジョンの中にいるとは。ダンジョンを攻略しない限りハクを助けることは出来ないな」
『ふーん。君たちこの子の知り合いみたいだね。でもそれなら余計残念だ、この子の力じゃダンジョンは攻略できないと思うから。もう君たちと会うことはないだろうね』
「ちょっと待ってよ! そんなのあんまりよ! あんたの力で何とかできないの!」
アカネが叫ぶもモーモスは笑って言った。
「ははっ、無理言わないでくれよ。ここに入ったものは死ぬかクリアするしかダンジョンから出られない、そう決まっているんだ。僕の力でもそれは変えられない」
「そんな……シエン……どうしよう……」
「そうだな……どうするか……モーモス! ハクの魔法はこの時計塔全体にかけられているのか!?」
『そうだよ』
「そうか……なら……」
俺はそう言うと、時計塔の壁に触れた。
「シエン、何する気?」
「古代光魔法・術式解除!」
呪文を詠唱するも、時計塔の外見には何の変化もない。
……しかし数秒して、モーモスの嬉しそうな声が頭に響いた。
『すごい! 魔法が消えたよ! 君何をやったんだい!?』
「うそ……」
アカネも口に手を当てて驚いている。
「魔法の術式を強制的に破壊したのさ。上手くいくか分からなかっが、魔法が消えたなら安心したよ」
『……シエンだったかな? そんな魔法を使えるなんて君やばいね。まあでも、おかげで魔法は消えた。もうダンジョンに入れるはずだよ』
「それなら良かった。……アカネ、行こう。ハクを助けるぞ」
「ええ、もちろんよ!」
俺たちは頷くと、再び時計塔の入り口に立った。
「じゃあ行くか」
「うん、絶対に攻略しましょうね」
足を一歩踏み出し、時計塔の中に入る。
『ようこそ、僕のダンジョンへ』
モーモスの声と共に、俺の意識はゆっくりと消えていった。
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