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第21話 捜索開始

 ネイルを馬車に残し、俺たちは早速捜索に入った。

 

「シエン、二手に分かれて探さない? ……時計塔から右を私が、左をあなたが探すのはどうかしら?」


「そうだな、たまにはいいこと言うじゃないか」


「いつも言ってるわ! バカ!」


 ――時計塔の左側には家の残骸が多く、街の様相が見えるようだった。

 今はもう朽ちて草が生い茂っているが、どこか生活感を感じられる。

 残骸の隙間も見やりながら歩いていると、向こうで魔物の声がした。

 それも一体ではなく、複数の。


「グギュルルル! グル! ガルァァ!」


 歩を早めると、六匹の狼と戦闘をしている男がいた。

 馬に乗り槍でゴブリンを攻撃している。

 上半身に甲冑をつけ、頭が禿げ上がった屈強な……。


「クバート!!」


 それは以前、ギルドで出会ったクバートという男だった。

 アカネと喧嘩した俺に助言をしてくれたその人だった。


「シエン……いい所に来た! 悪いが手を貸してくれ! こいつらすばしっこくて全然槍が当たらねぇんだ!」


「もちろんだ! 古代土魔法・巨人の怒り!」


 瞬間、狼たちの足元の地面から土の槍が飛び出す。

 槍は一匹残らず狼たちを貫いた。

 消滅し魔石がコロンと落ちる。


「助かったぜ! サンキューなシエン」


 クバートが馬から下り、魔石を拾う。

 

「ほらよ、あいつらを倒したのはお前だ。持ってけ」


「いや、だが……」


「遠慮するなって、ほらほら」


「じゃあ、ありがとう」


 クバートから魔石を受け取る。


「だが魔物なんて滅多に出ないはずのイリオス平原に、あんな魔物がいるなんて……少し嫌な感じがするぜ」


「……嫌な感じ?」


「ああ。再び魔王軍が攻めてくるみたいな、そんな感じがするんだ……」


「……でも魔王はもう滅んだんだろ?」


 俺がそう言うと、クバートはふっと笑った。


「ははっ……そんな顔するなって! ただの勘だよ勘!」


 だがクバートの笑う顔はどこか悲しそうだった。


「それよりシエン、お前はこんな所で何をしてるんだ?」


「俺はクエストでここに……クバートは?」


「俺は……今からクエストに向かう所だよ。途中でここを通るから景色でも見ていこうと思ってな……そしたら魔物に襲われちまったんだ」


「そうなのか……」


 一緒にハクを探してくれるよう頼もうと思っていたがやめとこう。

 クバートも自分のクエストがあるのだから。それを棄権させるわけにもいかない。


「じゃあ俺はそろそろ行くぜ。久しぶりに話せて楽しかったよ。この借りはいつか必ず返すからな!」


 クバートが馬に乗る。


「いやいいよ借りなんて。じゃあまたな」


 クバートが去っていくと、アカネのことが少し心配になった。

 さっきのクバートみたいに魔物に襲われていたら大変だ。

 アカネと合流するべく、呪文を唱える。


「古代水魔法・水面の導き」


 水たまりが形を変え、アカネの居場所を指し示す。


「さてと、行くか」

ここまで読んでいただきありがとうございました!


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