第20話 消えた少女
王都ネルキスに来てから十日が経った。
Cランクのクエスト六つとBランクのクエスト二つをクリアした俺とアカネは、共にBランク冒険者へと昇格を果たしていた。
弱い魔物ばかりが相手だったからか、俺のレベルは1も上がらなかったが、アカネはだいたいこんな感じになった。
アカネ(18)
人間族 Lv8
体力 74
武力 34
魔力 0
命値 108
種族が人間だからか能力値の上昇は低いように感じたが、それよりも依然として魔力値が0なのが気になる。
どんな生物でも多少は魔力を体に宿しているはずなのだが。
俺たちが冒険者ギルドのクエストボードでクエストを選んでいると、受付の女性に声をかけられた。
ちなみに彼女の名前はナタリー、能力値はこんな感じ。
ナタリー(27)
人間族 Lv5
体力 20
武力 11
魔力 45
命値 76
「シエン様、アカネ様。もし受けるクエストをお悩みのようでしたら、こちらはいかがですか?」
ナタリーはそう言って、持っていた依頼書を差し出した。
「王都にお住まいの唯一の貴族、グレゴリア公爵様からの依頼です。場所はここから西のイリオス平原。行方不明になった娘を探してほしいとのことです。公爵がご親切に馬車までご用意してくれてます。Bランクのクエストなのでお二人にはピッタリかと」
「へえ、いいじゃない。シエンこれにしましょ!」
「そうだな、ナタリーこれを受けるよ!」
「かしこまりました!」
――ギルドの外で数分待っていると、高級そうな黒い馬車が目の前に停まった。
中から出てきたのは、執事の恰好をした年老いた男だった。
「お二人がシエン様とアカネ様ですね。私はグレゴリア公爵家の執事、ネイルと申します。本日はクエストを受けて頂き誠にありがとうごました。では早速イリオス平原に向かいましょう」
馬車に乗り込むと、思ったよりもスムーズに発進する。
それと同時に俺たちの目の前に座ったネイルが話し始めた。
「平原まではおよそ30分で着きます。外の景色でも楽しみながら道中お過ごしください。……ところでお二人は依頼書をお読みになられましたか?」
「うん、娘がいなくなるなんて大変だな……」
「……はい。ご主人様だけでなく、執事の私や使用人たちも心配で眠れぬ夜を過ごしております」
「……娘さんってどんな子だったの?」
アカネが悲しそうに口を開く。
「そうですね……ハクナギル様はとても大人しく滅多に口も開かない方でした。しかし心根は優しく可愛らしい容姿から、皆からハク様と慕われておりました」
「へえ、可愛いのか……」
直後視線を感じアカネを見ると、俺を睨みつけていた。
「なんだよ?」
「別に……」
ネイルが話を続ける。
「しかし二日前事件は起きました。その日は私とご主人様、そしてハク様の三人でイリオス平原を訪れておりました。馬車の外に出て景色を楽しんでいたのですが、ふと気づくとハク様がいなくなっていたのです。二日かけて家の者総出で探したのですが結局見つからず……私たちだけでは限界があると思い、ギルドに依頼をしたということです」
「なるほど……」
「まだ15歳のハク様が一人平原を彷徨っておられると思うと、心配で心配で……」
「それは辛いわね。大丈夫、私たちが絶対にハクちゃんを見つけるから!」
「ありがとうございます……どうかよろしくお願いします……」
それから数十分が経って、俺たちはイリオス平原へと到着した。
昔この場所で街でも栄えていたのか、家々の残骸が所々に散らばっている。
平原の中央には一際高く古い、時計塔が建っていた。
馬車を降りその光景を眺めていると、おもむろにネイルが口を開いた。
「ここには昔、イリオスという街がありました。もう何百年も前のことですが……魔王が栄えた時代に、魔王軍の攻撃を受け滅んだと聞いたことがあります」
「……だからか。ここはとても悲しい風が吹いている……」
まるで心に訴えかけるように、冷たい風が吹いていた。
「伝説によれば魔王軍の激襲の中、あの時計塔だけは被害を免れたとか……その逸話から不滅の時計塔と呼ばれております」
「不滅の時計塔……」
時計塔を見つめていると、一瞬違和感を覚えた。
まるでそれが時計塔ではないような……。
この感じ、前にもどこかで……
「では私はここで待っておりますので、捜索の方よろしくお願いいたします。ハク様は幼い見た目で白い髪をしておりますので」
「ああ」
「ネイルさん、安心して! 私たちが絶対にハクちゃんを見つけるから!」
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