第17話 喧嘩
俺たちがカウンターを離れると、クエストが書かれた依頼書を持った冒険者が受付に進んだ。
どうやらクエストを受けたい時は依頼書を受付まで持っていくみたいだ。
「……そういえば俺ギルドのことよく分かってないんだけど。Cランクってどういうことなんだ?」
「ああ、それね」
クエストの依頼書が貼ってあるクエストボードまで歩きながらアカネが説明する。
「冒険者はランク付けされてて、皆初めはCランクからスタートするの。同じランクのクエスト3つと、自分のランクより上のクエスト1つ、をクリアするごとにランクがあがる仕組みね。ランクは下からC、B、A、S、SS、SSSの順になってるわ」
クエストボードの前に立つと、アカネが適当に指さした。
「クエストのランクもそれと一緒ね。C~SSSまであるわ。まあ滅多にSランク以上のクエストなんてないけどね」
「なるほど」
確かにクエストボードにはC~Aランクまでのクエストしか貼っていなかった。
「それとクエストにはパーティーを組んで挑むこともできるのよ。その分ランクアップのためのクエスト数は増えるんだけど、仲間がいるのはとっても心強いでしょうね……」
「そうだな。アカネもいい仲間が見つかるといいね」
「え……何でそんなこと言うの?」
「何でって……アカネは冒険者になりたかったんじゃないのか? そのために王都を目指していたと思っていたけど……」
「それはそうだけど……私は……あなたと……」
そこまで言ってアカネは一旦言葉を止めた。
考えるように悲しそうに俯く。
何かしてしまったのだろうか?今まで見たことのないアカネの表情に不安になる。
「シエンはこれからどうするの?」
「俺は……少ししたらこの街を出ようかな。そしたらまた別の場所を旅する。そうやって世界を回っていこうかな」
「そっ……じゃあさっさと行っちゃえば」
アカネの声に怒気が混じる。
一体彼女は急にどうしたのか。
「……ごめん。何か怒らせてしまったなら謝るよ」
「別に怒ってないから、もういいから」
「いや完全に怒ってるだろ。どうかしたのか? もしかして体調でも悪いのか?」
「何でもないから……」
「何でもないわけないだろ。何かあったのならちゃんと理由を……」
「うるさい!!!!」
突然のアカネの大声にギルド内が静まりかえる。
皆の視線が一気に集まる。
「シエンなんか勝手にどっか行っちゃえばいいのよ!! もう知らないから!!」
アカネは再びそう叫ぶと、ギルドを飛び出していった。
「あ……」
数秒後我に返った俺は、急いでギルドの外に走ったが、どこにもアカネの姿はなかった。
人混みに紛れどこかへ行ってしまったようだ。
「はぁ……全くあいつは……」
「よお兄ちゃん。中で見てたぜ、彼女と喧嘩か?」
声をかけられ振り返ると、そこには上半身に鎧をつけた屈強な男が立っていた。
歳は40代くらいだろうか、頭が禿げ上がっている。
「……彼女じゃないよ」
「そうか、それはすまねえ。だが女っていうのはつくづく面倒くさい生き物だよな。兄ちゃんもそう思わねえか?」
「そうだな……」
「だろ? でもな……女っていうのは真剣な生き物でもあるんだ。俺たちが適当に決めているようなことでも、女はちゃんと決める。俺たちが適当に聞いている話も、女はしっかり聞いている。そういうもんなんだよ」
男はそう言うと、俺の肩に手を置いた。
「だから兄ちゃんの彼女も、兄ちゃんの話を真剣に聞いてくれるはずだぜ。兄ちゃんが真剣に話せばな」
「だから彼女じゃないって……」
……だが、なるほどな。女は真剣な生き物か。
確かに俺は、自分のことばっかりであいつのこと全然考えていなかったかもしれない。
「ははっ……そうか。でもあんな美人放っておいたらもったいねえぞ。早いとこ仲直りしてこいよ」
「うん、そうするよ。……古代水魔法・水面の導き。アカネの居場所を示せ」
足元に現れた水たまりが矢印の形となって、アカネのいる方向を示した。
「へえおもしれえ魔法だな。それで居場所が分かっちまうのかい」
「ああ……色々ありがとう」
「礼を言われることはしてねえよ。……そういえば兄ちゃん名前はなんてんだ?」
「シエン」
「そうかシエンか。俺はクバード、頑張ってこいよ!」
そう言うとクバードは俺の肩を叩いた。
「うん、クバードありがとう。じゃあまた」
「ああ! またな!」
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ちなみにSSSランクの冒険者は世界に数人しかいないと言われています




