第14話 反撃の闇魔法
「シエン……」
アカネは涙を流していた。
すがるような目で俺を見つめている。
『最初の部屋で最後に私は言いました。さようならと……どうやら私の予想通りになるようですね。……あなたたちの負けです!』
「シエン……私たち……大丈夫だよね?」
『ふふ。アカネ様、シエン様。あなたたちは今からこの魔物達に食い殺されて死ぬのですよ。最後にもう一度言っておきますね。さ・よ・う・な……』
「古代闇魔法……悪魔の食事」
『……は?』
呪文を唱えた瞬間、黒い手のようなものが俺の背中から伸び、バーサークウルフ以外の3体の首を掴んだ。魔物達が苦しみに喘ぎ叫び声をあげる。
「アカネ……壁際まで離れていてくれ。頼む」
「……うん」
俺の意図を察したようにアカネは頷くと、壁際に移動した。
『は? この期に及んで悪あがきですか? いやいやもう無理ですよ! あなたは今から死ぬん……』
「メーティス。お前のこの鑑定の能力はとても便利だよ」
その時、バーサークコングが断末魔の叫びをあげ消滅した。
「だが、それがお前のあだとなった。この闇魔法と鑑定はとても相性がいい」
次いでバーサークスネークが消滅する。
「俺はこんなところで死ぬわけにはいかないんだ。もっとたくさん世界を見てみたいんだ」
バーサークホースは最後まで抵抗していたが、結局黒い手を振り払うことは出来ず、力尽き消滅した。
『これは……まさか……こんなことが……命値11……』
どうやらメーティスは鑑定の能力で俺を見たらしい。
俺も見てみるか。
シエン(40)
精霊族 Lv647
体力 37200 (+24900)
武力 24190 (+18490)
魔力 51580 (+19580)
命値 113970 (+63970)
「へえ、思ったよりも高いな」
『そんなことが……命値が2倍だと……一体なにを……』
……と、その時。
「グルルゥゥゥゥ!!! ギャルァァァァ!!!!」
バーサークウルフは待ちきれなくなったのか、唸り声を上げ俺に向かって突進してきた。
さっきはあんなに大きく見えた狼の魔物が、今はとても小さく見える。
「……古代闇魔法……暗黒拳……」
右拳に魔力を集中させる。
途端に黒い魔力が拳を包む。
「グルァァァ!!! グガガァァァォォ!!!!!」
バーサークウルフが地面を蹴り、俺に牙を向けた。
距離が一瞬で縮まり、互いの間合いに入る。
バーサークウルフの牙が届くか……という瞬間、俺は一歩早く拳を叩きこんだ。
「闇に染まれ」
ドゴォォォォォンンンン!!!!!!!
拳から発せられた巨大な黒い衝撃波がバーサークウルフを飲み込み、体を木っ端みじんにした。
衝撃波は止まることなく、部屋の床と壁に激突する。
煙が舞い、石壁が崩落する音が続く。
――数十秒の時間をかけて煙が消えると、部屋の様子が明らかとなった。
床の半分が没落し、正面の壁に至っては初めからそこに無かったかのように消滅をしている。
もちろん階段も破壊され、拳を放ったその先は、全てが消滅をしていた。
背後の壁にいたアカネがゆっくりと俺に近づいてくる。
「シエン……あなた……強すぎよ……」
「ありがとう」
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ちなみにメーティスのダンジョンをクリアした者は過去に一人しかいません。




