第10話 森のダンジョン
「……っ!」
目覚めるとそこは石造りの大きな部屋だった。
体を起こして辺りを見回してみると、背後には階下へと続く階段があり、隣ではアカネがスース―と寝息を立てて眠っていた。
咄嗟に記憶を探るも、森へ入ったところまでしか思い出せない。
「これは一体……アカネ! 起きるんだ、アカネ!」
「……んん……なによ……うるさいわね」
だるそうにアカネが目覚めると、どこからか声が聞こえてくる。
『二人とも目覚めたようですね。私の名はメーティス、このダンジョンを創りし神です』
「神ですって!? それにダンジョンってどういうことよ! 私たちダンジョンなんか入ってないわよ!」
『いえ、お二人は確かに入られました。ガーネリア森林こそがダンジョンの入り口。一歩でも踏み入ればそこはもうダンジョンの中なのです』
なるほど。俺が感じていた違和感の正体はこれだったのか。
「でも、ダンジョンがあるなんて外から見ても分からなかったわよ! ダンジョンって普通、塔とか洞窟みたいな形をしてるんじゃないの!?」
「アカネ……多分だが、この森全体がダンジョンなんじゃないのか?……実は森に入る前、違和感を感じていたんだ。まるで森全体が違う物質になってしまったような違和感を。……メーティス、違うか?」
『その通りでございますシエン様。さすが精霊族、森にはお詳しいですね。私は森そのものをダンジョンに作り変えました。森を通る者は全てここに導かれます』
「そんな……」
アカネは見るからに落ちこんでいた。
真面目な話、スライムすらも倒せないアカネにとってダンジョンを攻略するのは不可能に近いのかもしれない。
……だが、それも俺がいなかった場合だがな。
「メーティス。俺たちは王都ネルキスを目指している。初めてのダンジョンも興味をそそられるが、長居は出来ない。どうやったらここから出られるんだ?」
『ここから出る方法は二つです。一つは死んで骸となること。体はここで消滅しますが、魂は外の世界に出られます。魂は天界へと向かい再び輪廻の輪の中に入ることが出来るでしょう』
「……却下だな。二つ目は?」
『二つ目はこのダンジョンを攻略すること。……方法は問いません。地下5階まで行けば攻略と判断されます。まあ地下と言ってもそれぞれ部屋が一つあるだけですが……。ここから真下に向かって部屋が続いているというとイメージがしやすいかもしれません。部屋に設置されている螺旋階段で各部屋を移動できます。しかし道中、強力な魔物が出現するので気を付けてください』
「それだな……」
「ちょっとシエン! あなた本当に攻略の意味が分かってるの!? ただ階段を下りて地下5階まで行くんじゃないわよ! 魔物と戦わなければいけないのよ! ダンジョンの魔物は普通の魔物とは桁違いな強さだって……」
「分かってるよ。でも、何となく大丈夫な気がするんだ。俺たちはここで死ぬことはない。そう思えるんだ」
「でも……」
アカネが言いかけて止めた。魔物と戦わなかったとしてもここから出られるわけではない、それに気づいたのだろう。
『では話を続けさせて頂きます。魔物は階を下るごとに強くなっていきますが、強さも分からない魔物と戦うのは至難の業でしょう。そこでお二人には私の眼を与えます。正確には私の眼の力”鑑定”ですが』
すると両目に突然ピリッと電気が流れた。
痛みはほとんどない。
『鑑定とは、視覚に捉えた生物の能力値を数値化して見ることが出来る能力。心の中で鑑定と唱えれば発動できます。相手の体の一部を見さえすれば有効になります、もちろん自身の体を見れば自身の能力値を確認できます』
「なるほど……」
試しにアカネを見てみると、彼女の頭の横に数字が浮かび上がってきた。
アカネ(18)
人間族 Lv3
体力 50
武力 21
魔力 0
命値 71
名前と年齢、種族にレベル。命値は体力、武力、魔力の合計……総合戦闘能力みたいな感じか。前世でやったRPGみたいだな。
しかし……魔力が0とは……どんな生物でも多少は魔力が備わっているはずだが。
つまりアカネは……魔法が使えないのか。
数字からふとアカネの顔に目を移すと、彼女は鑑定で俺を見ているようで、口をぽかーんと開けたまま固まっていた。
「シエン、本当あなた……何者なのよ」
「え?」
鑑定で自分の手を見てみると、数値が手の横に表示された。
シエン(40)
精霊族 Lv647
体力 12300
武力 5700
魔力 32000
命値 50000
「は?」
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ちなみに「命値」は「めいち」と読みます。




