ターゲット5人目 本当の勇気
下校時間先ほど実ったマリちゃんは明君と一緒に帰る事となってしまった。
私はマリちゃんのお友達だが、そんなマリちゃんの邪魔はしないように今日は一人で帰ることになった。
マリちゃんが明君と付き合う事になったのは良いけれど、私には恋人がいない。そう思うとマリちゃんに嫉妬してしまう自分がいた。
家に帰ると私の両親は共働きなので、私は一人になってしまう。さらに両親は顔を合わせるたびによくケンカをしている。
とりあえず、そんな寂しいことを言っていないで私は恋愛相談室のサイトを立ち上げた。
今日も相談がわんさかといる。手紙を書いて渡したが成就した人やしない人もいた。私は成就した人には『良かったね手紙を書いて渡すのって良いよね』とか成就しなかった人には『その人を後悔させてあげられる人になればいい』と言っておいた。
恋愛相談室は今日はそんな物かな、ハァッ、と人知れずため息がこぼれて、私もいい人に出会いたいと心の中で思ってしまった。
とりあえず私は外に出て散歩していた。
のどかな河川敷でも行こうと思ってその先に行くと、ある男の子がいじめられていた。
見た感じだと私の知る人ではないと思って、隣町の小学校の人かと思って、私はいじめとかそう言うのを許せないと思っているので私は止めに入った。
「ちょっとあなた達何いじめをしているのよ」
「何だよお前、関係ないだろ」
「関係なくはない。とにかくいじめをやめなさい。そうしないと学校に通報するわよ。知っているいじめってこれからの時代犯罪になるんだから」
「何だよ分かったよ」
そう言っていじめをしていた。男子生徒三人を追い払った。
奈々瀬はいじめられたこのところに言って、
「大丈夫」
と優しく声をかけてあげた。
「ありがとう」
「とにかくあなたもあなたよ。いじめをする連中にたまには噛みついたりはしないの?」
気の強い奈々瀬はいじめられていた子にそう告げる。
「僕にはそんな度胸ないよ」
「そんな弱気な発言をするから、いじめられてしまうのよ。とにかくたまにはいじめる連中に噛みついたりしなよ。そうすればビビって逃げていくかもしれないわよ」
「君、名前は?」
「相沢奈々瀬って言うんだけれども」
「僕は二砂の高崎大介って言うんだけれども、今日はありがとう。おかげで助かったよ」
そう言って大介君は私の元から去って行った。
さて、私も帰ろうかな?
そう思いながら帰ろうとしていると背後から何か視線を感じて振り向いてみると誰もいなかった。
「気のせいかな?誰かに見られているような気がしたんだけれども・・・気のせいか」
そう言いながら帰るとやはり何かに見られている感じがして振り向いて見ると、大介君だった。
「あなた大介君。どうしたの?先ほどから視線を感じたんだけれども、あなただったのね」
「ごめんなさい」
「どうして私の後なんて付いてくるの?」
「えっとそのあの?」
「男の子でしょ。言いたい事があればはっきり言いなさいよ」
「僕、あなたのことが好きになりました」
奈々瀬は内心びっくりしてしまった。
「そんな女の子に告白する勇気があるなら、あのいじめっ子を撃退しなさいよ」
黙り込んでしまう大介君。
「とにかくその度胸だけは買うわ。私と付き合いたいなら、まずは私と友達になるところから始めようよ。私は大介君の事を男の子達に何も言えないけれど、私に告白した勇気は認めてあげる。だから友達から」
「じゃあ、友達になったなら、お互いにLINEを交換しようよ」
「良いわよ」
そう言って奈々瀬は大介君とLINEを交換する。
「夜、迷惑にならないほどに、LINEしても良いかな?」
「別に良いよ。それと大介君、本当の勇気を私に見せてくれたら、大介君と付き合ってあげても良いと私は思っているんだけれどもな」
「本当の勇気?」
「そう本当の勇気、確かに私に告白する勇気は認めてあげるけれど、それはあくまで私と大介君は友達同士よ。あのいじめっ子達を撃退するぐらいの勇気を見せてくれたら、付き合ってあげても良いかなっと思っている」
「ほ、本当に僕頑張るよ」
「頑張りなさい頑張りなさい」
家に帰ると、午後七時を回っていた。
恋愛相談室のサイトを立ち上げると、私は今日の出来事をブログに書き始めた。
まあ、今日の出来事と言ったら親友のマリちゃんが付き合ってしまった事や、大介君と友達になった事などを書いてみた。
すると色々とメッセージを送ってくる。
『親友に先を越された何て悔しくないの』とか『その大介君って子と友達ではなく付き合ってしまえば良いのに』とか、等など。
今日の相談者は一人いた。
その人にもまずは手紙から思いを伝える事を進めますと言っておいた。そうしたらやってみますと返事が返ってきた。
私のスマホからLINEの着信が入った、LINEはマリちゃんと今日出会った大介君にしか伝えていない。
LINEを見ると、大介君からだった。
「明日、遊びませんか?」
大介君の言葉に悩まされる。まあ、大介君とは友達になった事だし遊んであげても良いかなって私は思った。
明日友達の男の子と遊ぶのか、それも良いかもしれない。
今日も宿題を終えて、布団の中に眠りについた。
★
次の日の放課後、今日もマリちゃんは明君と一緒に帰ることとなった。
まあ、それはそれで良いとして、私は大介君に会いに行かなければならない。
だって昨日約束してしまったもんな。
大介君が私に告った勇気は認めてあげるけれど、とにかく大介君が私に本物の勇気を見せてくれたら付き合ってあげても良いと思っている。
待ち合わせ場所は午後三時だ。しかも私の家から三分の公園だった。
とにかく友達と言うことで私はおめかしをしていく。私のお気に入りの白いワンピースを着てポシェットの中に携帯と財布を入れて行くことにした。
大介君はあくまで友達なんだよな、昨日の彼の私に告った勇気を認めてあげないと彼がかわいそうだ。
大介君が待ち合わせした時間に辿り着いた。
「大介君」
ベンチで座っている大介君に声をかけると、大介君は振り向いて手を振ってくれた。
大介君はボールを持っていた。それにバスケットボールだ。
この公園にはいくつものバスケットのゴールが設置されている。
「奈々瀬ちゃん。本当に来てくれたんだ」
と嬉しそうにしている。
それに大介君はジメジメした梅雨の季節なので、膝下まで伸びた黒いズボンをはいて、上は真っ黄色なタンクトップを着ている。
彼なりに私に対してお洒落をしてきたのが分かる。
「どう大介君」
私のお気に入りのフリルの付いた白いワンピースを見せる。
「凄く似合っているし凄くかわいいよ」
「嬉しいこと言ってくれるじゃない。ところで何して遊ぶの?」
すると大介君はゴールの前に立って、持っているバスケットボールでシュートをした。
そうしたらボールはゴールにあっさりと入ってしまった。
「カッコ良いよ。大介君」
「奈々瀬ちゃんもやってみる?」
「私はバスケはあまりしたことないから出来るかな」
「とりあえず、シュートだけでもして見なよ」
私は大介君にボールを借りてドリブルをしながらバスケットゴールに近づいてシュートをした。でも入らなかった。
「ああ、ダメだよ。とにかくバスケットはあの四角いところを狙って打つんだよ」
「そうなの?でも大介君はすんなりとバスケットゴールに入ったけれど」
「僕はバスケが大好きなんだ。一応Bリーグ目指してやっているんだけど」
「凄い夢を持っているんだね。もう一度あのゴールに目がけて打ってみてよ」
私は大介君のボールを渡してもう一度うって貰うことにした。
初心者の私でも分かるが、綺麗なフォームをしている。
それで私もバスケがうまくなりたいと思ってしまった。
そんな風に彼に教えて貰っていると、中学生の男子達が現れて、私と大介君の邪魔をしに来た。
「ちょっとあなた達、最初は私達が使っていたコートなんだけれども」
「そんなの知った事かよ。俺達中学生に小学生の分際で生意気言うとしめるぞ」
「そんな事をしたらとんでもないことになるわよ」
私は大介君が臆病だから大介君を守らなければならないと思っている。
すると中学生の男子が私の事を突き飛ばす。
そうすると、大介君は黙っていなかった。
「な、何をするんだよ!」
大介君は最大限の勇気を振り絞って言う。
私はそんな大介君の事がカッコ良いと思ってしまった。
「何だ?お前、こいつの彼氏か?」
「そ、そうじゃないけれど、その子に乱暴を働くと僕が許さないぞ」
大介君は泣きそうになりながら、ガタガタと体を震わせて、怖がっているのが分かった。
「何だよこいつ、女の前だからってカッコつけているよ」
すると他の仲間達は「そんな奴埋めちゃえ埋めちゃえ」と言っている。
「あんた達小学生相手に恥ずかしくはないの?」
「お嬢ちゃん。年上を舐めると痛い目に会うよ」
私の事を手のひらでどついて、私は尻餅をついてしまう。
すると大介君は、
「何するんだよ!」
そう言って大介君は果敢にも中学生相手に殴りかかった。
殴られた中学生は一メートルぐらい吹っ飛んで、尻餅をついている。
「てめえ、この野郎!」
すると他の中学生二人が喧嘩に参戦して、大介君はボロボロにされている。
「てめえ、俺達に逆らったらどうなるか。思い知らさせてやるよ」
大介君はリンチを受けている。
私はどうすれば良いのか分からなかった。
そしてここは警察を呼ぶべき何じゃないかと思って、警察に連絡した。
「あんた達、警察に通報したわよ」
「やべえ、逃げなきゃ」
そう言って中学生達を一掃したのだった。
「大介君、大丈夫?」
大介君は顔面が痣だらけであった。すると大介君は、
「これが僕の勇気だよ。惚れ直してくれたかな?」
「うん。本当の勇気を私に見せてくれたもんね。約束通り私と付き合おうよ」
大介君は顔面ボロボロだが、彼の瞳の奥には、得たいのしれない何か燃えるような何かを私は感じた。
どうやら私にも彼氏が出来てしまったみたいだ。
でも大介君は勇気を見せてくれたが、あれは無謀な勇気なのかもしれない。
けれどもそんな大介君の事をほおっておけないと思う私であった。