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手を繋いでテクテク食堂という名の聖地へ!
近づくにつれ焼きたてのパンのいい匂いがする!
凶悪である!腹ペコリンには匂いだけというのは拷問である!
はっやくーはっやくー
ちょっと早足になってしまうのは仕方あるまい。
食堂はいつもより早めのせいか、大変混んでいた。
神官、神官見習い、神官騎士、神官騎士見習い、薬師、薬師見習い、そして、聖女達。
まだ2歳の為子供は沢山寝るのもお仕事ですよと、いつもは殆どの人が食べ終わってから食堂を使う為、久々の人の多さに入り口で足が止まってしまった。
そう、何を隠そう、人見知りである。
小物な上に人見知り。
コミュ力大変低いのでござる。
その上、たまにしか見かけないレアなちびっ子が
食堂に現れ、視線を集めてしまった。
モコさんと繋いだ手にぎゅっと力が入ってしまうのも仕方ない。
モコさんに縋るような目を向けてしまうのも仕方ない。
お約束の慈愛の微笑みを向けられ少し安心するのも仕方ない。
ペコッとお辞儀をして、
「おはようごじゃいましゅ。」
と、頑張って挨拶。モコさんについて聖女様達が集まっている席に近づいていくと、顔見知りもいてホッとした。
「あらルゥちゃん様、おはようございます。いつもより早いですのね。」
「ルゥちゃん様おはよう」
「ルゥちゃん様に朝からお会いできるなんて今日はいい事ありそう!」
はい、わたちがレアキャラです。どうぞよろしく。笑顔もつけてやろう!
「あい、おはようごじゃいましゅ。しぇいじょしゃまがた」
はうって聞こえた
「やだぁ!ホント天使!召されそうよ!」
「ほんと、昨日の疲れが抜けていくわぁ!その笑顔に癒される!」
幼女の特権である!
「で、今日はどうしたの?怖い夢でもみた?」
もじもじ、てれてれ。
モコさんを見上げたら頷いてくれたので聖女達に
「きょうはひとりでおきれましゅた。
しょれと...
ひとりでおきがえもできましゅた!」
胸を張る!わたちはお姉さん!
「まあ、なんて事!2歳なのに凄いわ!」
「これはお祝いね!お酒は無いの!?」
デヘデヘっと顔が緩む。いや、まだ朝ですよーお酒はダメですよー
席に座らせてもらってからもお褒めの言葉頂いた!
「ルゥちゃん様もお姉さんねー!」
なんて待ち望んでいた声をいただいたので、
「あい!ユーくんのしゅてきなおねぇしゃまに
なるんでしゅ!」
神殿では来た時から最年少。自分より下の子が居なかったのだが、先日聖女の一人が産後、現場には出れないが薬草に光魔法をかけるお仕事に子連れで復帰したのである。これでわたちもお姉さん♪
お姉さんらしく、少しづつ自分の事は自分でするのだ!そして、ユーくんにお姉様と呼ばれるのだ!
ぐへぐへっと顔が崩れる。
焼きたてのパンにたっぷりスルベのジャムを塗り
チーズ入りの半熟卵とポカの実、ミルクを頂きながらも、そんな素敵な将来について熱く語った。
スルベ ベリー系の果物
ポカの実 リンゴのような果物