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扉から入ってきたモコさんは、赤ちゃんの頃からわたちのお世話をしてくれている。
毎日、おはようからおやすみまで、ほぼ一日中一緒に居てくれる大好きなお婆様だ。
いつも優しくて、怒られた事はない。
色んな事知ってるし、読んでくれる絵本はいつも面白い!
お散歩も一緒にしてくれるし、おやつも一緒に食べてくれる。
結婚もしてて、子供もいて、わたちより大きな孫まで居るんだって。
そんな、モコさん。
部屋の入り口で、元々丸いお目目を更に丸くパチパチして、
着ている法衣と、脱ぎっぱなしのネグリジェと、開いたままのクローゼットを順に見て何をしたか理解してから、
「おはようございますルゥ様。」
慈愛の微笑み付きである。
おっと、そうきたかぁ。
大好きなモコさんの笑顔に後ろめたくなってモジモジしてしまう。
どうせわたちは小心者。ええ、ええ、小物ですが何か?
「ええと、あのね...」
もじもじ、チラチラ。
「はい」
微笑んでいらっしゃる!慈愛に満ち満ちていらっしゃる!
「ええと、一人でおきれたから、おきがえもちてみたの。
でも、おようふくとれないからまほうちゅかいまちた。ごめんなしゃい。」
モコさんを前に全てのワルは自供をするのだ!
慈愛の微笑みの向こうには後光が見える!
思わず手を合わせ、なんまいだぁって唱えたくなる!モコ様を前に全てのワルはひれ伏せぇ!
「まあ、それはそれはよくできましたねぇ。
一人で起きれられて、お着替えまで。
お姉さんになりましたね。」
ほらね、やっぱりモコさんは何時も欲しい事を言ってくれから大好き!
思わずニコッてしちゃった。
「悪い事を自分から謝れるのも立派です。
ですが、ルゥ様がお一人の時に何かあっては心配だからまだ魔法の使用は禁止しているんですよ?
次にされる時は、このモコの前でお願いします。
お約束を守って、ご自分でお着替え。その時は立派なお姉さんになれますね。」
わたちが、お姉さんになりたがっているのを、勿論モコさんは知っている。
「うん!」
お部屋のカーテンと窓を開けてくれるのを待って、顔を拭いてもらって、
「さあ、お待たせ致しました。少し早いですが食堂に参りましょう。」
まだ、聖女様達がお食事されていると思いますよ。と、言ってお手手を繋ぐ。
待ってました!とばかりにグォーっとお腹が愛想よくお返事♪