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WAO!  作者: 神楽
23/38

2ー10

あの後、卵の殻の後始末を、砦では徹底して告知したそうだ。外の世界を見る前に命を奪われ、見せしめの様に晒された卵の殻からは、なんで、どうして、という強い思いだけが伝わってきた。

現況を招いてしまった騎士様達と、強化修復をした人達は、なんのお咎めも無いのはマズイと、城塞都市中に殻の後始末方法を伝え回っているそうだ。


そして、連れてこられました、ドルテミア帝国。

王城に来たのはフォース王国以来だ。この国の王城も大き過ぎて、全貌が見えない。

緊張してお腹が痛いよぉ〜。

対策会議には、各国の王様を始め、宰相、大臣、将軍、副将軍に、選抜された騎士様。開発部が集まるそうだ。

なんでこんな目に…。

知識人として、賢者のお爺様達がいる事だけが救いだ。と思っていたのに、偉い人を前に、何を話せばいいの⁉︎

私の魂からの訴えは、大丈夫、大丈夫。というデン爺様の適当な返答で終わった…。

敵だった。小心者の気持ちはわからないんだ。


でも、「モコが付いて居ますからね!」の一言に、やっぱりモコさんだけが私の味方だよぉ〜!

って改めて思った。私にはモコさんが居る!

お爺様達頭いいのに、わかってくれないんだよ!


そして今、目の前には扉の両端を守る騎士様が居る。

「聖霊島ゼロ ルゥティシア様。

モンシュリー様ご入室です。」

あ、デジャブ。


無駄にご立派な扉が開かれた。ゴゴゴって音が聞こえてきそうだなって、キリキリした胃の痛みを無視し、諦めた心境で思いつつ、大会議室に足を踏み入れた。


隣を歩くモコさんだけが頼りだ。部屋に入った途端突き刺さる視線。

うう、ちびりそう…

部屋は大会議室という名の通り、とんでも無く広く、円の形の大きなテーブルを中心に、沢山の椅子が設けられている。その周りにも、一段も二段も高い場所に席がぐるっとあって、何人入れるの全くわからない。

中央のテーブルにでさえ50人位座っていて、周りを囲む席には…

うう、数えたくもない人数がいる…

こっち見ないで、お願いします!

誘導してくれている人がテーブルの方に進む…

ちょっと待って、あのぽつんと空いている席に連れて行く訳じゃないですよね⁉︎

という願いは無情にも届かず、

此方へと案内された席は中央のテーブルの一席だ。

何でだよ⁉︎

一番高い席の端っこでいいのに⁉︎

と思いながら渋々座る。モコさんの椅子がすぐ隣にあって、大きな安心感に包まれた。守護神!


「ルゥちゃん、大丈夫じゃよ。良く見てごらん、知ってる顔もあるじゃろう?」

緊張で気付かなかったけど、モコさんの反対側に座るのはデン爺様だ。

裏切り者のデン爺様の声で、恐る恐る周りを見渡すと、

「やあ、ルゥちゃん、この間ぶりだね?」

んん?ってぐるっと周りを見ると、確かに知った顔が沢山あった。

はて?王様達が居るんじゃないの?

と首を傾げていると、

「意地悪せんと、きちんと自己紹介してくだされ。」

デン爺様に言われていたのは、フォース王国で会った人達だ。あれから偶に、新しいおじさんを連れて、代わり番こお土産持って会いに来てくれていた。

「すまん、すまん。戸惑っているのが可愛くてな。

では、改めて、私はドルテミア帝国の王、マキシマス・ドルテミアだ。今回の事は本当にありがとう。ルゥちゃんのお陰で助かったよ。」


「私はグレイディス・フォース、フォース王国の王をやらされているよ。」


「僕はライリー・エルシア、エルシアの王だけど、ルゥちゃんにはこれからも、ライおじさんと呼んで欲しいな。」


「私はキリアン・サイジェスト、名の通り、サイジェストの王だ。」


「最後は私だな。流れでわかったと思うが、エリック・ロノフだ。ロノフ王をやっている。」


ほえ?


「驚いてる顔も可愛いね、このガーナおじさん達も宰相なんかやってるよ。」


マ、マジデスカ?


「ルゥ様、大丈夫ですか?既に国の重鎮の方々とはお会いしておりますので、ご安心下さい。

王達と一緒に島に来ていた方も、宰相様だったり、大臣様です。

後はいつもの賢者のお爺様達に、開発部の方々も、頼んだ物の完成品を持って、島に来ていましたでしょう?

それと、テーブルに着く将軍達も、先日少しですが砦でお会いした方々です。」

後、周りにいる方の中にも、知った顔がありますよ。

と、言われ、周りを見渡すと、確かにいる。

治療しに、砦を廻った時に知り合った人もいた。

「ご安心なさいましたか?お小さい頃から付き合いのある方々なので、大丈夫かと思いました。

まだ不安ですか?」

お気に召さない方には、一言申し上げてきますよ。

弱味の一つや二つ握っておりますので。

と、いつもの慈愛の微笑みで、怖い事を言う。

モコさんを見上げ、

「ううん、大丈夫。知らなかったからびっくりしただけだよ。」

周りの人もモコさんの言葉にビクッとしている。

モコさん最強説。


「ほら、儂が大丈夫だと言っておったじゃろう?」

イヤイヤ、教えておいてよ!

緊張して、朝食のパン半分も残しちゃったじゃない!


「ごめんね。初めて会った時、こんなちっちゃかったからね、王だなんて名乗れなかったんだよ。」

「本当に大きくなって、あの頃は、マックシュおじちゃまって、くぅぅ!可愛かったな!」

「今でも、可愛いがな。俺もアンおじちゃまって、また呼んでもらいたいぞ。」

「名前は無理でも、魔術師は今でも聞けるぞ!なあ、ルゥ?」


な、何故それを!?

滑舌の練習のお陰できちんと話せる様になったが、魔術師だけは…

ハッ!?

デン爺様!!??

「い、いや、だって、可愛いかろう?」

人の弱点を!!この爺様どうしてくれよう!!

ほら、ルゥ、言ってみろ。なんて俺様発言?を言うのはロノフのリックおじ様だ。

くそ〜!全部デン爺様のせいだ!

「まあまあ、皆様、寄って集ってからかわないで下さいませ。

名乗りも正式に出来た事ですし、本来のお話をされてはいかがですか?」

モコさぁん!

味方はやっぱりモコさんだけだよぉ〜!


「んん、そ、それもそうだな。」

と、そこからは真面目な話になった。助かった!

こんな人数の前で恥を晒す所だったよ!

二度と魔術師の話は振らないで!

いいじゃないか!魔法使いで!?



先程迄のふざけた雰囲気は無くなり、真面目に会議が始まった。今回の事で、転送魔法陣の有用性が実証された事は大きかったが、改善点が多数ある事が問題だった。

聖結界があっても、一点集中で攻められると崩れる事。

序盤からコカトリスに石化の呪いをかけられ、救出しながらの応戦だった為、始めから押され気味で、それを巻き返せなかった事が、被害を拡大させてしまった原因だった。

乱戦の戦場では聖女を導入出来ない事、

入り乱れた戦場では、捕獲網が使えない事、

砂埃が酷く、目を痛めながらの戦闘だった事。


問題点が、多く、開発部の方が、質問をしながら騎士様達に聞いている。周りの騎士様達も、気付いた事や問題点と発言をしていたが、先程の問題がやはり大きいようだ。

ふむふむ、なるほど。

と、ジュースを飲みながら、出されたクッキーを頂く。デン爺様の所為でお腹空いてるから、クッキー助かります。あ、ジュースも、お代わり下さい。王城で出される物は、なんかお高級なお味がいたしますわ。

お姫様ってこんな感じで、このお城にいるのかな?

そうだよ!ここ、お城だよ!?

本物の王子様やお姫様いるんだよ!?

って気付いて顔を上げたら、視線が集まってた。

え?何?

「ルゥ様、此方のクッキーもどうぞ召し上がって下さい。でも、お昼もありますからね。」

お昼の分のお腹は空けておいて下さいね。

モコさんに貰ったクッキーも食べながら、どうしたの?と傾げると、

「ルゥちゃん、聞いておったか?

なんぞ、対策は無いかと、知恵を絞り出しておるんじゃが?」

おっと、意見を求められているのかな?

「も、勿論聞いていましたよ。え、えっと、聖結界が集中的に攻撃されて破れるのは、どうしようもないですね。対策出来るとしたら水晶かな?

水晶に聖結界の陣付与して、呼び合う力を利用して力を結べれば、今よりももっと広い範囲に聖結界を張れるけど、そんな量無いですよね?

でも、今回みたいに、一箇所だけでいいなら、結界杭みたいに持ち運べて、誰でも設置出来るのなら理想的かな?その代わり、数が用意出来ない分、守れる砦と、そうでないと砦が出来てしまいます。水晶の代わりになる様な、共鳴石でもあればいいのにね。」


ねーとモコさんに同意を求め、ジュースで喉を潤し、


「後は石化の呪い?これは何か、反射する力がある魔石があればいいけど、鏡みたいのがあれば、呪いをかけた相手に呪いを返せますよね?

最悪、強化を付与した鏡を持ち歩くとか?

その次は、んーと、なんでしたっけ?目?

目はゴーグル作ればいいでしょ?

後は、網?魔物の魔力を対象に陣を込めれば?

これらを解決出来れば、聖女の導入も可能なのでは?」


一気に話したのでここでジュースを一口。

「ルゥ様、ゴーグルとは何ですか?」

モコさんに、目を守る物だよ。こんな感じのって、魔法バックから出した紙に絵を描いて説明した。この部分に洗浄を付与しておけば、くっついた砂埃も綺麗になって、目を守ってくれるし、いつでも視界良好だよねー。

「まあ、ルゥ様、良く考えられておりますね。

きっとお爺様達と、開発部の方が今回も作って下さいますわ。ねえ、皆様?」

静かに聞いていてくれた皆さんの承諾も得られた。

早速と、お爺様達と魔導具開発部の方が、一ヶ所に集まり盛り上がっている。先程描いたゴーグルの紙も、デン爺様がしっかり持っていった。

それを横目に、クッキーをぽりぽりしていると、

「いやあ、ルゥちゃん流石だね。頭が柔らかい!良く思いつくと感心するよ!」

「本当だな。子供の頭とはこんなに柔軟なものか?」

「開発の事は得意な者達に任せよう。それより、あの後、筋肉痛で寝込んでたんだって?」

「そうだ!ミュラージェット様にも言われたそうじゃないか。そんなに無いのか?」

うう、何も今ここで言わなくても。

「お恥ずかしながら、私も今回の事があるまで、気付かずにおりました。

日常生活では不自由しなかったもので、あの、差し支えなければ、どの様にしたら筋肉がつくのか、ご教授頂けますでしょうか?」

ああ、モコさん、私の筋肉の為に、筋肉モリモリな方に聞いてくれるなんて…

女子(おなご)でも、普通に歩いていれば足腰の筋肉はつくであろう?もっとつけたいならば、階段の昇り降りや、ランニング。

後は腕か?剣でも振れば簡単につくのでは?」

あ、歩く?剣を振る?

この流れ、不味いのでは?タラリと汗が流れる。

え、えっと、モコさん、どうしたら?

「何だルゥ、顔色が悪いぞ。いくら女子でも、日常生活を送っていれば、普通の筋力は充分についてるはずだ。まして、お前は湖や薬草園と、広い範囲動いておるだろう。」

「そうだぞ、ルゥちゃんが小さい頃から持ち歩いてる図鑑だって、結構な重さだ。もっと筋肉をつけろと言う事か?」

マズイマズイマズイよモコさん!

と、モコさんを見ると、モコさんも思い当たったのか、ゆっくりと私を見る。

更に、

「なんじゃ、ルゥちゃんはミュラージェット様に無さ過ぎると言われたんじゃろう。もっと筋肉をつけなければな!」

いつの間にか賢者のお爺様達も話を聞いていた様だ。さてはレイ君の名前に反応したな?

四面楚歌。どうすれば良いの!?


「ルゥ、何か隠しているな。お前ちょっとそこに立ってみろ。」

万事休す。モコさんに助けを求める目を向けて、青い顔を横に振られた。

立て。と言われ、仕方なく席を立つ。

歩いてみろと言われ、地面に足を着いた時点で気付かれた。

「ちょっと待って、何で今背が縮んだの?」

「お前!もしかして歩いてなかったのか!?」

ヒャァ!怖い!バレた!

「いつからだい?いつから歩いてなかったの?」

怖い!怖い!そんな皆んなで責めないで!

「申し訳ございません。何分、いつも通り過ぎて気付きませんでした。責は私にございます。」

「モンシュリー殿、今は責任どうこうの話では無い。いつから歩いていなかった?」

「そ、それは。」


止めて!モコさん責めないで!

「2歳の時です。レイ君に会って、思う様にやってみろと言われ、自由に飛び回りたいと言った私に、危ないからと浮遊だけ許してくれました。

多数の魔力を同時に操作する練習の為、常に浮遊し、風で物を浮かせ、水を撒いていました。」

私の所為でモコさんが責められている。

「そういえばそうじゃった。儂ら当たり前過ぎて、今の今まで気付かんでおったわ。」

あ、デン爺様、今日一の発言!


「何と…では、今ルゥちゃんの筋力2歳児なのか?」

と、視線が集まる。

「お前、これちょっと持ってみろ。」

リックおじ様に渡されたのは腰に下げてた剣。

渡された瞬間落とした。


シーン



お願い誰か何か言って!
















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