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WAO!  作者: 神楽
15/38

2ー2 (フォース国王視点)

ーーー他者視点ーーー


話し合いの場を設ける国は10年周期で変わる。

ここは5大国の1つ、フォース王国にある大会議室。

その一室には、聖霊島の賢者達によって、重大な発表があるから、と集められた3人いる宰相の内の1人をお供にした各国の王と、各神殿から来た賢者達がいた。

そして聖霊島賢者によって(もたら)されたのは、ミュラージェット様から教えられたと言う、深淵の森の現況、魔物大量発生の原因。

そして、それが今後更に増え続けるとの恐ろしい情報だった為に、会議室は荒れに荒れた話し合いに発展していた。


各国にいる各部門の代表者と、それぞれの前線の砦にも、代表者に緊急招集をかけ、連日連夜会議が行われた。


今ですら大変なのに、これ以上どうしろと.....

という、終わりの見えない、絶望感に似た思いと、ここで踏ん張らなければ人類は終わる。

との思いに挟まれ、何とか知識を振り絞って意見が交わされていた。


そんなある日、聖霊島賢者より、こんな物を作ったと、聖結界陣が組み込まれた魚を捕る為の網と、杭。

そして、赤子を乗せる為に作ったと言う、風と浮遊の魔法陣が組み込まれたベビー車なる物を見せられた。

発想が凄いと皆まず思った。

魔道具を作る者達は、生活魔道具開発部と、武器魔道具開発部がある。

生活魔道具部は、魔力の弱い者の為に補助道具。

武器魔道具部は、魔物討伐を考え、どれだけ威力が出せるかを第一に考え作っている。


賢者達に、使用方法と結界陣、経路の説明をされ、これを使えないか。と相談された。


そこに食いついたのが前線で日々魔物と戦っている騎士達だ。

毎日、聖女達に聖結界を張ってもらっているが、砦中心にであって、流石に森に接する所全部では無い。


この杭を高く作れば、防波堤になる。

この網を使えば、魔物を捕まえて抑えらる。

この浮く魔道具があれば、無駄な魔力を使わず負傷者を聖女の元へ運べる。と。


それから開発部と賢者達により、必要になるものや、技術、量産方法、費用などが話し合われた結果、流石賢者だ。素晴らしい思い付いきだ。という話題に移った。


そう言われた聖霊島賢者達。

ううっ...と、返答に詰まる。

誰もが顔を見合わせ、後ろめたそうにしている。


そして、1人の聖霊島賢者が、意を決し、

「確かに経路を組み立て、魔法陣を作ったのは私達だが、これらを考え付いたのはゼロの子だ。」

「ミュラージェット様がおいでになられ、魔法の使い方を教わったゼロの子が、魚を捕える為と、赤子を楽しませる為に思い付いたものを我らが作り上げた。」


ーーーーゼロの子ーーーー


聖霊華を身に宿し、ミュラージェット様の庇護を受ける聖霊島の幼な子。

ある日、聖霊樹の光と共に、ナノに包まれ現れた、額に聖霊華の印を持つ子供。

以前から一度話をしてみたいと、賢者達にお願いしていたが、未だ幼い事を理由に会わせてもらえていない。魔力も普通では無いと聞いている。


それからは、今後の事を考え、直接話してみたい。

出し惜しみをしている場合では無い。

他にアイデアが無いか聞いてみたい。

どんな力があるか確かめてみたい。

と、詰め寄られた聖霊島の賢者達は、一度本人に確かめてからだと言った。

2歳になる女の子で、今は魔法の使い方と、常識を教えている最中。

賢く、優しい子だが、人見知りで恥ずかしがり屋でもある。

年寄りと女性には普通に接する事が出来るが、大人の男は少し緊張するみたいだ。と言われ、では、騎士は配置しないし、城内は転移を認める。面会は最小限の人数。比較的、子供に好かれる容姿の者だけにする。

という案を出し、本人に意思確認後、本日面会となった。


騎士は門と入口だけに大き過ぎない者。

部屋も、大きなテラスがあり、陽当たりの良い、比較的小さい会議室。普段は無い色鮮やかな花を飾り、小さいサイズの可愛いらしいお菓子を並べている。

カーテンや、絨毯、家具まで女の子が好む様に変えた。もはや会議室では無い。

各国の王は絶対会う!と言うから、威圧感を与えないような髪型と服装を。

宰相と開発部の者も、人当たり良さそうに装う。

一番厳選に困ったのは砦の騎士。

皆、顔付きも勇しく、背も高い上、体もがっしりしている。高い攻撃的な魔力はそこに居るだけで威圧感がある。

会議に参加していたのは厳つい将軍。

絶対泣かれる。

あ、無理、無理。

と賢者達に手と首を振られ、直接話をしてみたいと思っていたのに!

と、肩を落とし、渋々砦に戻った。

そして、面会迄の3日間で、ギリギリ条件に当てはまる者を送ってきた。面会する騎士は、魔力を魔道具を身につけ、出来るだけ抑えているし、防具も脱ぎ、武器を置き、髪も整え、髭も剃ってきた。

最低限の人数との事で、あぶれた者達は、近くの会議室に200名程集まっている。

面会する部屋と、この会議室を風魔法を使って会話を聞く為だ。

初対面の各国の王と宰相、開発部と砦の騎士計20名。既に何度か島を訪れ、会った事のある賢者。

誰が迎えに行くか話し合われた結果、面識のある数名の賢者と、開催国フォースを代表して、宰相と開発部の者に決まった。

お互いの装いを確かめ、準備万端で到着を待つ。




ーーーそして小会議室に妖精が入ってきたーーー




妖精としか言いようがない。

神秘的な見たことも無い装いは、袖の下が長く、ゆらゆら揺れて、まるで妖精の羽の様だ。

淡く輝く白銀の髪は風にふわりと舞い、黄金色の動物の耳が頭の上に着いている。

透き通るような白い肌に、不安そうな瞳は陽に当たる新緑のようだ。

歩いている筈なのに、それを感じさせない。

存在事態が現実離れしている。

あまりに美しい。

幼くてこれだ。

これが大人になったら.....


これがゼロの子。

これが聖霊華の姫。

そして人類の希望。


こんな幼な子の小さな小さな肩に、全てを乗せる訳にはいかない。

それでも、頼らずにはいられない現状に、

誰もが罪悪感を覚えた.....







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