2ー1
ほえ?
「どうだい?頑張っているのはいいんだけど、ほら、まだ小さいし、魔力量が幾つ位あるかとか見ておいた方が安心だと思うんだ。」
「王宮にはステータスを測れる魔道具があるから、見ておいた方がいいと思ったんだよ。」
「一度連れてこいってうるさいから...」
最後の人はゴニョゴニョ呟いてる。
それでも何も言わないわたちに、
「ほら、何か作るにしても、砦で何が必要か我々では解らないから、前線で活躍してる人と直接話した方がヒントになるかなって...」
「王宮には既に沢山の魔道具があるから、それも見させてもらえるし...」
「この前、魚捕まえる為に作った網も、捕まえた魚閉じ込めておく為に作った杭も、ベビー車も、
あれ報告したら、直接話してみたいって...」
「どうかな?行けるかな?
あ、美味しいお菓子も沢山あるよ?」
はう。つまり、ステータスとやらを確認して、安全に頑張れるようになると?
現場の人と話をして、魔道具も見て、お菓子もあると。
それでも喋らないと、モコさんが屈んで目線を合わせてくれる。手を優しく撫で、
「ゆっくりで大丈夫ですよ。ルゥ様がしたい様に。それをお手伝いするのが、このモコですからね。」
やっぱりモコさん大好き。
モコさんに頑張るって約束したもの。それに、レイ君も何が出来るか自分で考えて、やりたい事やれば、皆んなの為になるって言ってた。
わたち頑張るよ!
「モコしゃん、わたちいってみる。
なにができるか、おはなちちてくる。
いっちょにいってくれましゅか?」
「ええ、勿論ですよ。
大きな決断をされましたね。大丈夫。ここにいる者達も一緒です。
何が出来るか、考えながら、相談しながら作る。
今迄と変わりません。」
慈愛の微笑みで頭を撫でてくれる。
安心するなぁ。うん、モコさんが居れば大丈夫!
無敵!
それから僅か3日後、レイ君の爆弾発言から一月半。モコさんと手を繋いで、カッコいい服装のお茶飲み友達と、神殿騎士と一緒に、転送魔法陣でフォース王国に乗り込んだ。
この3日の間に前線に行ってる聖女達と話が出来た。彼女達は実際に前線行ってるから、これが出来たらいい、とか、こんな物あったら助かる、といった聖女視点の話も聞いておこうと思ったからだ。
魔法陣が一瞬光って目を開けると、部屋が変わってた。
フォース王国にある神殿の一室。の、筈だ。
因みにここまで大きな転送魔法陣は、島の神殿と、5カ国にある神殿と、其々の砦にあるだけみたい。物凄く魔力使うからなんだって。
あれ?これも私の魔力使えば?って思った。
この転送陣は一度に1000人位までの質量を送れるみたい。
いつもはこれで島からポーションや薬を神殿騎士が運んでいる。
そこから更に、中型転送魔法陣を設置してる、いくつもある中型都市にって送られてるそう。
お気付きだろうか?この3日の間に、「し」が言えるよう特訓したのだ!それ以外も発音の練習をしてる!
私はユー君のお姉様としてまた進化した!
魔法陣の部屋には、島の神殿にも来た事あるお爺様やおじ様が5人居た。その周りに多分フォース王国のおじ様達が2人。
ちょっと体から固まる。
「やあ、やあ、ルゥちゃんよく来たね。
大きくなって!儂の事覚えているかな?」
王子様がお姫様を、悪い魔法使いから助ける絵本をくれたお爺様だ。知ってる人に声掛けられて少し緊張が取れた。
「あい。ボルじぃちゃま、おぼえてましゅ。
おはようごじゃいましゅ。」
「ああ、おはよう!挨拶も上手に出来て偉いねぇ。」
と魔法陣の中まで入って来てくれて頭を撫でてくれた。残りの4人も覚えてた。
ぬいぐるみくれた人と、人気のあるクッキーくれた人、凄く美味しいジュースくれた人。動物の図鑑くれた人。
いや、決して物をくれたから覚えている訳ではないですよ⁉︎
偶にお土産持って、おやつを一緒に食べに来る。
覚えてるも何も、レイ君の話聞きに2.3ヶ月前にも遊びに来てましたよ?
「よろしいですかな?」
和気藹々としてたら声が掛かった。
忘れてた訳じゃないですよ。
声がした方を見ると、知らないおじ様2人が近付いて来てわたちの前で屈んでくれた。
あ、いい人だ。
「初めまして、良く来てくれたね。
私はフォース王国のおじさんだよ。
ガーナおじさんと呼んでね。ルゥちゃんと呼んでもいいかな?」
「僕もこのフォース王国のおじさんだ。
フォルおじさんと呼んでね。
ルゥちゃんよく来たね。
これからちょっと、大きな部屋におじさん達のお友達が集まってるから、お話聞かせてもらってもいいかな?」
いよいよである。
モコさんと繋いだ手に力が入る。
「はじめまして。ルゥでしゅ。よろちくおねがいしましゅ。」
い、言えた!挨拶出来たよ!
お姉様頑張ったよ、ユー君!
「ああ、偉いね。上手な挨拶だ。
これから会う人達も、皆んな良いおじさん達だから安心してね。
ステータスを見てくれる魔道具もそこに用意してあるからね。」
では、行こうか。
王宮はすぐそこだからね。疲れたら言ってね。
なんて話してたら、モコさん始め、皆、初めて会った人にも挨拶出来て、大きくなったねぇって喜んでくれた。もう、本当の祖父母みたいである。
モコさんと手を繋いだままトコトコ...はしない。
浮いてるからスイーっと進む。
転送部屋は、沢山の荷物や人を運ぶから凄く広い。部屋を出ると、清潔な白い壁と薄い緑の絨毯が敷き詰められた廊下が続く。
汚したら目立ちそうである。私は大丈夫。
足跡すら付けない。
王宮はこの神殿の隣なんだけど、大きいからね、迷子になったら大変だから、逸れないようにね。
とか、言われたけどね、私がモコさんの手を離す訳がない!
神殿から出ると眩しさに目を窄める。
見えてきた景色は、まあ、普通だ。
ん、待てよ?
木や花は図鑑で見たやつだ!
「モコしゃん、モコしゃん!あのはなも、きも、じゅかんにのってたやつでしゅよ!
あ、あのとりも!」
繋いだ手をぐいぐい引っ張る。
「よくお気付きになりましたね。そうですね。
島とこちらでは大分異なりますから、新しい発見がいくつもありますよ。」
「うわぁ、めじゅらしいの、たくさんあるんでしゅねぇ。」
って言ったら皆んな苦笑してた?何で?
良くわかったね。
本は好きなのかな?私と一緒だね。
なんて話してたら、壁の向こうの大きい建物に気付かなかった!
木と花に目がいって背景見えてなかった!
「この門の向こう側は、もう王宮の敷地内だからね。」
大きな門の両端に2人の騎士さん?がいて、ビクつくが、ニコってしてくれたので、ペコリと挨拶をした。
くぐると別世界!
デカイ!広い!建物まで遠い!全貌が見えない!
島の神殿も中々の大きさだが、統治する国土が広がってから作った城で、働く人が多いとは聞いていた。こんなに、こんなに大きいなんて...
ほけっと見ていると、
「と、まあ、こんな感じで広いからね、転移で行こうか。」
一緒に来た神殿騎士に目で合図して、呪文を唱え、ピカッと光った後には、幅の広い、長い階段の前に出る。
「ここがこのお城の正面階段だよ。」
これからお部屋までもう一度飛ぶよ。って言われてまた景色が変わる。
と、そこは立派な大きな重厚な扉の前で、2人の大きな騎士さん?が扉の両脇に立っていた。
「さあ、準備はいいかな?」
おう、ビビる。
手に力が入ったのに気付いたモコさんが、
「ルゥ様はいつも通りで大丈夫ですよ。」
と、慈愛の微笑みを向けてくれたので安心する。
モコさんが居れば大丈夫。
ガーナおじさん達にコクリと頷き返す。
「聖霊島ゼロ ルゥティシア様。
聖霊島賢者様御一行ご入室です。」
大きな声で2人の騎士さん?が言うので、またうおってビビる。
え?賢者だったの?
あ、ルゥじゃダメじゃない!さっき自己紹介間違えた!
なんて思ってたら、重そうな両扉が開かれる。
いよいよである。




