苦悩~悪役令嬢物語~ side 隠れキャラ 尚紀
基本読み専なうえ、書いてるうちに間が空き、何を書きたいのか分からなくなってしまい、いつも以上に文章がおかしいと思いますので、温かな目でご覧頂ければと思います。
あの頃俺は、最愛の母を亡くしたしたばかりだった。絶望していた。唯一惜しみない愛情を、注いでくれた人がいなくなったのだ。
政略結婚だった父と母。
けして家庭を顧みない父。愛人がいても、隠しもしない。その分、母が愛情を注いでくれた。
学校にもちろん友人はいたが、まわりは俺の家に近づこうとするやつが多かった。
母が亡くなってからは、食事もほとんどのどを通らず、眠れない日々が続いた。
精神、体力ともに限界だった。
生きてる意味もわからず、死んでやろうかなんて考えてもいた。
そんな時ふと、母と幼い頃行っていた公園を思い出し、行ってみることにした。
そこで俺は、運命的な出会いをする。
公園へ行くと、ベンチに座っていた1人の少女と目があった。
少女はにっこりと微笑んだ後、俺のもとへ近づいてくる。すると、俺の手を握った。
「おにーちゃん、こわくないよ。おいで。」
と俺を引っ張っり、もといたベンチに座った。
俺もつられて隣へ座る。
少女は、俺を見て少し困った顔をした後、また微笑み、
「ねむれないの?
わたしがおうたをうたってあげる。」
と言った後歌い始めた。
Amazing grace
That saved a wretch like me
I once was lost but now am found
Was blind, but now I see.
………。
それは、母が好きでよく歌っていた歌だった。
歌い終わると少女は立ち上がり、俺の頭をなで抱きしめた。
俺は、自然と涙が出てきた。
しばらくすると、少女は俺から離れ
「おにーちゃん、もうだいじょうぶだよ。」
と言い、公園から去って行った。
その日俺は久々に食事も普通にとれ、眠ることができた。
しかし、しばらく日がたつとまた、もとへ戻ってしまった。
あぁ、あの日はよく寝れた。と思いながら、再び公園へと行く。
すると、少女はまたベンチに座っていた。
また、目が合う。
少女は俺のことを覚えていたようで、こっちと手招きをした。
俺は、導かれるように少女の隣に座る。
「おにーちゃん、また眠れないの?」
それから、少女と会った日から数日は食事もとれ、眠ることも出来るようになった。
俺はそれに気付き、たびたび少女に会いに公園へ行くようになった。
そのたび、少女とベンチに座り話しをした。
俺は、どんどん少女を手放せなくなっていた。
行くたび笑顔を見せて、心配してくれる少女が凄く愛おしかった。
それは、俺の遅い初恋だった。
しかも、10歳以上も年の離れた少女に。
始めはまさか、冗談だろと思った。
年が離れ過ぎているし。
でも、忘れもしない。
その日少女は公園で、同じ年くらいの少年と遊んでいた。
俺はそれを見た時、その少年に嫉妬したのだ。
俺は、あの子が欲しい。
ずっと離れることなく、一緒にいたいと思うようになった。
将来あの子の隣にいるのは、自分でいたい。
他の男なんかに、渡したくない。
それから俺は、あの子の婚約者になるため調べた。あの子はわりと上流階級の出で父、弟の3人。母は、すでに亡くなっているらしく、妻を愛していた彼は、後妻をとらなかったらしい。で、あの子とその弟を溺愛している。
母が亡くなっているところは同じだが、俺の父はすでに、愛人を後妻にしようとしている。
その前に、手をうたなければ。
俺はとりあえず、父の会社に裏から手をまわした。
前から準備はしていたので、それを出来る限り早めた。表向きは今までと同じ。内部を変えた。
トップは面倒なので、父の名前のままにした。
それと別に、自分の会社も立ち上げた。
父は監視つきで、奥地にひっこめた。
ようやくあの子をどうどうと、迎えに行ける。
あの子出会って1年たっていた。
はやる気持ちを抑えあの子の家にいく。
本当は、今すぐ一緒に暮らしたい。でもあの子はまだ、ようやく学校に行ける年齢。
何とか、あの子の父親にアポをとった。
「百合さんと、婚約させて下さい!」
こんなに緊張したのは、生まれて始めてだった。
当然あの子の父は、何言ってるんだ?という顔をした。それは、そうだ。あの子と俺は、10歳以上も年がはなれている。
それから、あの子との出会いのいきさつを話した。一応納得は得られたが、あの子の同意なしでは、決められない。まだ早い。と言われた。
それからあの子の、百合の家に通いつめ、何とか婚約できた。百合にも同意をえられた。
「あの時のお兄ちゃんなの?
わたしが、いないとダメなの?
いいよ。百合がお兄ちゃんを幸せにしてあげる。」
もう、涙が出た。それだけで、幸せになった。
「お兄ちゃん、泣き虫だねぇ。」
と百合には笑われたが。
あれから、13年ようやく百合と一緒に暮らすことができた。
まぁ、暮らせることになったきっかけはかなりムカつく内容だったが。やつらは、社会的に抹殺したし2度と会うこともないだろう。あの汚れた女も。
「……っん。なおきさん。おはよぅございます。」
「おはよ。百合。」
朝目覚めたら腕の中に百合がいる。
こんな幸せなことは、ない。
百合、お前が俺の側にいるだけで俺は幸せになれる。