講義
「ピアス、開けなさいよ」
目覚めた僕にユキは開口一番そう言った。
「、、、おはよう」
「おはよ」
朝に弱い僕はユキより起きるのが遅い。
「ピアス、、、ピアスかぁ」
「なによ」
「、、、ピアスって不良っぽくない?」
「いつの時代の話よそれ、、、」
ユキの顔が曇った。
「しかも、、それ、着けてる私に言う?」
「ユキは似合ってるし、可愛いからいいんだよ」
ユキの顔が晴れる。
「カズも似合うと思うし、カッコいい!」
ころころと変わるユキの表情は可愛いくてとっても愛おしい
僕とユキはベッドに出られないままだ。
そのまま少したった。
「さ、、シャワー浴びて、ご飯たべましょ!」
ベッドから起きようとするユキを、僕は抱き締めた。
「もう、、、カズ?」
「もうちょっと、、、あと少しだけ」
「ん」
ユキは、優しく僕を撫でる。
それが嬉しくって。
「ちょっと!、、、あっ」
キスをした。
首筋、肩、背中、胸、おへそ。
唇をユキの体に塗りたくる。
「、、、、バカ」
それから体液でベタベタになったユキと僕はシャワーに入って洗い流して、また汚して、ま流した。
「卵はかためがいい!」
「この前は半熟がいいって言ってた」
作ったベーコンエッグを食べながらユキはワガママを口にした。
「そだっけ?、、、んふふふ~」
何が嬉しいのか足をパタパタさせている。
朝食は基本、僕が作っている、というか家事は全部やっている。
「ねぇみて!めっちゃキレイに塗れた!」
ピンク色に塗られた爪先を見せてくる。
「うん、可愛いよ」
「でしょ!」
そのままお化粧台へと戻っていった。
大学に行く準備をしている。
「そだ、、講義終わったら連絡してね!」
「うん、わかった」
「サークル!、案内してあげる!」
「ああ、私学研だっけ?」
「そ!」
私学研、史学じゃなくて私学、好きなこと学びましょう、というフワフワしたサークルにユキは入っている。
最近できたばかりのサークルというかユキが作ったサークルで人数が少なく、浪人の頃から入るように言われていた。
「でも、初めての講義だし早めに終わると思うけど、ちゃんと待ってるのよ?」
「わかったよ」
「よろしい!」
ユキと一緒に大学へ向かった。
初めての講義はそつなく終わった。
『講義終わったよ』
ユキにメールを送る。
『オッケー』
返信はピンク色の変なクマと一緒にすぐに帰ってきた。
時計を見ながらユキを待つ。
「あれ?、、、すいません、もうここの講義って終わってたりします?」
「ええ、ついさっき」
背の高い女だ。
声は低め、黒髪の短髪で黒をベースにしたパーカーにデニムパンツを履いている。
少しニヤついている口から見える歯がギザギザしてる。すげぇ。
「あちゃ~、、何やってたか教えてもらっていい?」
「はい、、えーと、まぁ、教授の自己紹介がほとんどで、それから講義で何やるかぐらいなんで、気にしなくて大丈夫ですよ」
「んー、、、そっか、たしか明日もあるよね?」
「はい、午後に」
「おっけ、ありがと、じゃまた明日」
「はい、また明日」
女はすぐにいってかしまった。
なんなんだろ。
時計を見てユキを待った。