表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/12

拝啓 君へ宛てない手紙

「私、なんの取り柄もないから」と自分を笑ったあの日。


 君は「そんなことはない」と本気で叱ってくれた。

 精いっぱい、この小さく無力な手をほめてくれた。


 空を見上げて想うだけでは、叶わないことがあるのを知っている。

 側にいなければ、できないことがあるのも知っている。


 いつだって、魔法のように奇跡が舞い降りたりはしない。

 それを信じるには、大人になりすぎた。


 だから私は神様には祈らない。

 この言葉は、君に届かなければ意味がないのだから。

 離れた場所で、戦い、傷つく君に。


 今は心から思う。

 この手が、文字を生み出すことが出来て良かった。

 私は君を助けることができる。


 いつも。

 どこからでも。

 言葉の力で君に寄り添うことができる。


 抱きしめてはあげられなくても。

 涙を拭ってはあげられなくても。


 君の側にいられない哀しみを。

 どれだけ大切に想っているかを。

 こうして励ます言葉にかえて、つむぐことができる。


 だから今日もここから、君に言葉を贈ろう。


 君が、心から笑えるように。

 前を向いて進めるように。

 精一杯の言葉を贈ろう。


 それしかできない悔しさを、

 すべて「大丈夫だよ」という言葉にかえて――。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ