冷凍みかんを質屋に売りにいったらこんな事になるなんて…!
「いっけなーい!恥骨死刻!」
わたし、カオレン=サブライム=エラストリア!12歳のオシャレが大好きな男の子!特技は大局を見ているふりをする事よ!
今日は待ちに待った中学校の入学式なんだけど、昨日食べた冷凍みかんが硬すぎてダイヤモンドとして売れないか質屋に寄ってたら空が晴れていたの!
ドカーン!✩.*˚
「あいたたた…」
くわえていた溶けた冷凍みかんがダンディーなご主人踏み潰された。
「すまない、おや、きみは?」
「あなたは…朝寄った質屋の…!」
「いかにも、質屋の店主のジョニーウォーカーです。大丈夫かい?中田さん」
「カオレンです。」
「それは何よりだ!お詫びにこれをあげよう」
ジョニーウォーカーが差し出したのは…私の右腕だった。
「今の一瞬の間に…!?」
「まだまだ若いねぇ…!中田君は!」
「カオレンです。」
「次は左腕をもらおうかな…!」
「くっ…速い…!」
鬼気迫る表情で攻撃を仕掛てくるジョニーウォーカー。僕は咄嗟に地面で踏み潰された冷凍みかんを食べた。
「甘っ」
溶けてからの方が甘い気がする。冷凍みかんってどのタイミングで食べるのが1番甘いんだろう。というか甘い=美味しいという安易な方程式を前提にしていいのかな?
「甘いかな?」
ジョニーウォーカーは甘さが分からないようだ。こんなに甘いのに。やば。
僕は持っていた糖度計でみかんのBrix値を測った。
「…95%だと…!?」
「ほぼ最大か…やはりな…」
「ジョニーウォーカー…お前…味蕾が…!」
「いいんだ。いつからかな、妻の料理に味を感じなくなったのは…」
「糖度計が壊れてる可能性もある。まだ諦めるのは早い…!」
私は幾度も幾度も次の糖度計にみかんの果汁を入れた。だが結果は変わらない。
「そんな、なんで…!」
「なんでなんだろうか…心当たりがないんだ。話は変わるけど私は塩酸を舌に塗りたくるのが趣味でね。」
「絶対にそれじゃねぇか…!」
ガラケーで近くの精神科に予約を取り付けた私はジョニーウォーカーと病院に向かった。