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仕事がないので自分で取りに行きました。

学校が始まるまでになるべくたくさん更新しておこうと思います。

 4番隊に入って数週間が経った。

 私には不満があった。

 仕 事 を さ せ て も ら え な い ! !

 4番隊は、ただ結婚相手を探す場所で、ちゃんと仕事をしているのは一部だと聞いていたが、本っ当に仕事がない!!

 毎日毎日お茶会ばかりで……さすがにお腹周りが心配な上に、何もしない罪悪感がする。

「……失礼いたしますわ……」

 第一王女の時ですらまだ書類仕事なんかがあった。

 だからなんと言うか……落ち着かない。私はお茶会を切り上げて、隊長室に向かった。

「失礼します。」

「あら?あなたはアヒュレンス家の……」

「セレスです。ヘレンディーネ・エンプレス隊長」

 確か、公爵令嬢。目を見張るような、迫力のある美人だ。

「で?何か用があるんですか?」

「はい。仕事をもらえないかと。」

「……あなた、騎士団の仕事なめてるの?」

「そんなつもりはありませんが……」

「だったらさっさとお茶会に戻りなさいな。お茶会だって、淑女の大切な務めですわよ。」

 そう簡単には無理か。だったら……

「私、元平民でして。妾の子どもだと言うことはご存じでしょう?」

「多少、荒っぽいことも平気だと言っているのですか?」

「そうなります。気配にも敏感なつもりです。えっと……天井裏に二人と私の背後に一人、隊長の背後の暗がりに一人はいますよね。それから、辺りに、特定の人間以外が触れると発動する魔法のトラップもありますよね?」

「……まぁ、実戦でそれなりには使えるでしょうね。でも、まだ、信用はできない。」

「そうですよねー」

 団長たちと情報の共有はしていないのだろうか。それとも共有した上で、平民の少年セレスが信頼できない、とそういう事なのだろうか。

「何をしたら信頼してもらえますかねー?」

「そうですね……。考えておきますわ。仕事がしたいのでしたら、そうね……帝国のとなりにある鉱山に、何かが出て、たくさんの意識不明の鉱夫が発見されてますの。冒険者ギルドも手こずってるそうね…あなた、解決してきなさい。」

 ……冒険者ギルドが手こずってるってかなり面倒な問題では……?

 これは虐められているのだろうか、と不安になりつつも、仕事ができる事には変わりないので、私は明日から鉱山に向かうことを宣言して、その日は帰宅した。


「セレス。」

「団長様。」

 副団長様の屋敷で教育をさせてもらっていたので、設定的にも、そのまま屋敷の離れに住まわせてもらっていたのだが、そこに、団長様がやってきた。

「何をしている。」

「何って……荷造りです。」

「出ていくのか?」

「いえ、ちょっと長期の仕事が入ったので。」

 ちょっとワクワクしている。

 冒険者にやってくるような依頼をこなすのは、小さいとき以来だからだ。

 昔はやんちゃして、暗部の人と共に色々なことをしたものだ。

「……いいか、お前は設定上平民だし、実際そうだが、貴族令嬢なんだぞ?仕事を求めに行くなんて、おかしいからな?」

「というか、団長様、隊長様方と情報の共有はしておられるのですか?」

「なんでだ。」

「今日、隊長室に行って仕事を欲しいと言ったことは知っておられるのですよね。その際に、信用していない、というようなことを言われまして。これは、女として信頼させればいいのか、元の俺として信頼してもらうのか……」

「情報は共有している。だから、男と知っているし、あたりが強いのもそのせいだろう。あれは、女を至高の存在だと考えているのだが、その中にお前が入ってきたため、お前が手を出さないか、イライラしていたんだろう。」

 あー……そうなるよね。でもまぁ、ずっとお茶会してみんなといれば、そういったこともないから、お茶会してろ、と。つい同じ女の気分で仕事に行きたいと言ってみたけど、仕事というと、女性王族の護衛や、隊内の事務仕事の書類などを整理したり、そんなところだろう。

 女性王族に私をつけるとなると、いろいろ問題になってくる。手を出したりなんかしたら、政治的にまずい。

「俺ってそんなに狼に見えますかね。」

「あの女は男のことは全部そう思っているだろうな。」

 面倒だなぁ……。

「だから今回、単独で、鉱山にいかせるんですね。」

「鉱山……!?」

 なんだ、内容は知らなかったのか。

「あそこは今、謎の生物のせいで、こん睡状態になるものが続出している。そんなところに新人を一人だけ行かせるなんて……あいつ何処まで男が嫌いなんだ……!!」

「ま、大丈夫です。生物の正体の目星はついているんで。」

「そ、そうなのか……?」

「はい。相対してみたら、大したことないかもしれません。」

 それに、倒す必要だってないかもしれない。

 人にあまり話すようなことではない気がするが。

「……仕方ない。一人、こっちの隊から誰かをつける事にしよう。」

「え、別にいいですよ」

「命令だ。」

「…はい。」

 一人の方がスムーズに終わると思うのに……。

「丁度言ってたよな……確か……」

 何かぶつぶつ言ってるよ。


 翌日、私は、城門の前に立っていた。

 すると、背後から声がかけられる。

「おはよう。セレス、だよな。俺はハル。よろしく。」

「セレス、あの、こいつ……が、一緒についていく。」

 団長さんどうしたんだすごい疲れてそうなんだが……。

「おはようございます、あの……大丈夫ですか?」

「大丈夫、大丈夫だから、あの、この…こいつ、いいとこの坊ちゃんだから、その、あんま無礼なことするなよ?」

 鉱山ってあんまり衛生面とか、良くないと思うんだけど……。

 すっごいきれいな男の子だし、団長の言うとおり家柄もいいんだろうし、不安だ……。

 そこは自己責任にしてもらうしかない。

「では、出発しましょうか。」

 私とハルは、帝国の帝都の門をくぐった。

よんでくださりありがとうございます!!!

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