結婚が絡むと女は怖い
今日はこれで最後にします
入団が決まって数日。私は4番隊の詰所にいた。
女性だらけで、先日行った本部のような汗臭さはなく、花のような香りでいっぱいだ。
…………騎士団ってなんなんだろう。
「あら、あなたが新人の……」
「セレスティナ・アヒュレンスですわ。」
淑女の笑みを浮かべて一礼する。
ここで舐められてはいけない。
私は、数日前を思い出した。
「設定は、死んだ父が、どこかで作っていた妾の子ということです。」
「……いいんですかそれ。」
「はい。すでに二人ほどいますので。」
ちゃんとしろよ伯爵……!!
呆れながらも続きを聞く。
「だから、いい結婚相手を探していると思われること確実です。」
「はい……」
絶対いじめられるだろうなぁ……
「まぁ、相手しなくても別にいいです。大切なのは馴染めるか、ですから。」
「……聞きたいんですけど、この配属には何か意図が?」
「…………」
無言の笑顔、怖いです…………。聞いちゃダメなんですね。わかりました。
「では、淑女教育です。母さま。」
「かあさまぁ!?」
噂に聞いたところによると、彼女、この国の王族に淑女教育するほどのスペシャリスト。そんな人が協力してんの!?
確かに醜聞になりそうな設定だし許可は必要だったろうけどさぁ……
「よろしくね?」
「はい、よ、よろしくお願いします……」
びしっと敬礼してしまった……
めちゃくちゃスパルタだったあのレッスンを思い出して、顔がひきつる。
「ど、どうかされましたの?」
「いえ。」
顔の筋肉をフルで稼働させて笑みをキープ。
ここが頑張りどころだ……!
「ふ、フン。所詮元平民ね。いくら伯爵家の後見があるといっても……」
「騎士団に、新兵と上司の差はあれど、家のことを引き合いに出してくるのは、どうかと思いますの。」
「っ…………」
「お義兄さまに問うてみましょうか?」
もらった後見の名をフル活用してみる。
それに、この言い方ならば、私と副団長が仲がいいと錯覚させられる。
そうすれば私に降りかかる火の粉も少なくなるはず……!!
「あなた、妾の子だというのに、本家の団長さまと仲がよろしいんですの?」
「え、まあ、そうですわね。」
「…………仲良くいたしましょうね♡」
なんか、逆にめんどくさそうなことに……。
まぁ、いじめられるよりはいいか。
お茶会の約束をして、その日は終わった。
仕事してないけどいいのこれ……
ちなみに、声をかけてきたのは、アリア・ソレイユ男爵令嬢と、そのご友人方でした。
読んでくださりありがとうございます!!!