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観客席では(別視点)

あははー…

ぜんっぜんタイトルに法則性がない……

「うわ、あの子凄いっすね!!」

「……乗り出すな、ルシフェル。」

 弟に注意を促しながらも、俺も、その子供から、目が離せなかった。

 あの動きは、この国では見た事がない。

 隣国の王が連れていた隠密機動部隊の鍛錬を見せてもらったことがあるが…

 あの動きはそれに酷似していた。

 それに、たびたびあらわれる仕草が、妙に艶めかしい。

 まるで女のような。

 ……ああ、嫌なことを思い出してしまった。

 隣国の第一王女が先日やってきたが、まるで王妃にできるような頭をしていないのだ。

 それなのに、仕事の合間に、やたらとすり寄るわ、邪魔しかしていない。

優秀だと聞いていたが、ただの噂だったか。

「ちっ……婚約を反故にしてしまいたい……」

「に、兄様……」

 不機嫌な様子が伝わったのか、弟は、びくりと、肩を震わせる。

「……イイ子なんですから、もう少し優しくしてあげても……」

「しかしあれは、王妃にはふさわしくない…!! 努力の姿勢くらい見せるべきだ……!!」

「あー……」

 弟ですらフォローが出来ていない。かなりのフェミニストだと言うのに。

 それほどまでにひどいのだ。

「殿下!!」

「どうした。」

 試験官であった騎士団長が飛び込んできた。

「いえ……只今、そこで試合のあった少年……貴族の一般常識から、一般人までの常識、果ては少し、我らがおふざけで入れた、専門知識にいたるまで、全問正解しているのです!!」

「……は?」

 入団試験、筆記問題。以前、その問題を見た事があるが、もう、混沌としか言いようがなかった。

 美術や芸術に関することから、特殊な職業の特別な隠語など、色々だった。

 問題は、元々騎士団員から、それぞれ募集したようだったが……

「あれを、全問?」

「はい。……というか、王妃教育に触れるようなものまで入れてたんですが…まさか男が答えられるなんて思っていませんでした。」

 ……王妃…!!

「はは、」

「……兄様?」

「……面白いな、あの少年……いっそあれが王妃だったら……」

「に、兄様!?」

「心配するな。男色の趣味があるわけではない。ただ、それだけの知識量があるならば、王妃としての仕事をさせてみてもいいかもしれないと思ったのだ。後継ぎが生まれないとなれば、国に帰してもいいだろうしな。あの女はそれなりに贅沢させておけばいいそれで満足するだろう?あれはそういう人間だ。」

 俺は考える。

 この国では、別に、王妃が一番偉いと言うわけではない。

 他の臣下と同じ扱いである。だから、有能と名高いノーム王国のセレスティナ王女を望んだのだが……。とんだ期待外れだった。

 まぁ、いい人材が見つかった。彼を側近見習いにしよう。

 そして、信頼できるか確かめて……まわりにも認めさせなければ。

多少反発があったとしても、『野放しにするより近くに置いた方が監視が容易』とでも言えば黙るだろう。というか黙らせる。

 そのためには、まず、彼を騎士にしなければならない。

「副団長、あいつ、この後負けたとしても、必ず、合格させろ。出世見込、ありだ。」

「…そりゃ、殿下が求める人材ならば、出世するでしょうよ……了解です。」

 無茶を言う私に、すねたように言った。

「うわあ!!すごいね、あの子!!」

「……ああ。そうだな。」

 再び会場を見る。

「ん……?」

会場はなんだかおかしなことになっていた……

読んでくださりありがとうございます!!!

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