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流石に気づきました

きびきびと歩いて図書室へ向かう。

最近は恋愛小説を読むために何度も足を運んでいる。

アンヴィグ家のご令嬢がいるかどうか考える。彼女にとっては私は嫌な女なんだろうなぁ。

好きな人の婚約者だもの。身分的には私より上に行くことなんてないだろうし私が死ぬなんて天変地異でもないとない自信がある。

「……あ。」

そんなことを考えていたら図書室前まで来た。

彼女はいるのだろうか。いたらなるべく気配を消して貸出手続きをさっさと終わらせてしまって……

そっと扉を開けると、そこには

楽しそうに談笑する陛下とアンヴィグ家のご令嬢がいた。

頭に疑問符が浮かんで、動悸が激しくなった。

耳の奥がふわふわするような感じがして、体温が下がっていくのがわかる気がした。

熱だろうか。いや、深部体温が上がっている気配も、自分の健康状態もきちんと分かっている。

これは、精神的な動揺からくるものだ。

今感じているのは、疎外感というか、恐怖というか……なんと形容すればいいのだろう。

とりあえず、ショックだった。

陛下が会話する女性はエンプレス様とか、夫人くらいだった。エンプレス様はなんというか、恋愛対象の性別疑うくらい男性を毛嫌いしてるし、ビジネスライクだし、夫人は既婚者だし夫人だったし(?)……

陛下と、陛下を想っている女性が会話していることにこんなに動揺するとは思っていなかった。

……気がつくと部屋に戻っていた。

恋心なんてよく分からない。

ドレスに皺が寄るのも気にせずにベッドに突っ伏す。

……返し忘れた恋愛小説が目に入る。

「……私ってもしかして陛下のこと好きなんだろうか……?」

口にしてみると感情が具体的に理解出来てしまって……虚しくなった。

たぶん、これが嫉妬だ。

恋する乙女には寛容になろうと思っていたのに、陛下を想うととても狭量になってしまう。

恋愛小説を履修し始めてしばらく経ったが、ようやく登場人物の感情に共感出来た気がした。

「うーーつらいーー」

どうしていいのか分からなくて口から思ったことがそのまま漏れる。

そのまましばらく悩んで悩んで悩んだ結果……私は眠ることにした。

考えるのに疲れるなんて初めてのことだった。

一年以上更新できなくてごめんなさい。

読んで下さりありがとうございます。

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