また、仕事がないです???
2章スタートです。
展開が早くなりすぎないように頑張ります。
婚約して、本格的にエニスヌスの人間として、仕事やコミュニケーションをはかっていて、思ったこと。
この国は、とても過ごしやすい。
こういうと、自分が変人だと言っているようだが、陛下の周りには、優秀なぶん、すこしずれた人たちが集まっている。その人たちは、私のことを変人とみなさない。私が王妃としてふさわしくない言動をとれば諌めてくれるが、基本は笑い飛ばしてくれる。
気味の悪いものを見る目で見てこない人間がたくさんいてくれるこの国は、私の肌にとてもあっていた。
今日も仕事が終わったので、体を動かすために4番隊の近くに遊びに行く。
「セレス様!!」
私に気づいて駆け寄ってきてくれるのは、ヘレンディーネ・エンプレス様。
「今日も来てくださったのですね!」
フィオナの一件の後、私がセレスティナだったと知り、私のところまで、律儀に謝罪しに来てくれていたのだ。
私の方が悪いのに、私は軽々しく謝り返してはいけない。もちろんすごい勢いで許した。そのとたんに、彼女は満面の笑みを浮かべて、喜んでくれた。
実は私より年下だったヘレンディーネ様は、それ以来私を慕ってくれている。
腕が立つので、こうして4番隊のところまで来て、手合わせしてもらうのが、私の日課となっている。
そしてここにいると、ほかの騎士団員も集まってくる。
「またやってますね、セレスティナ様。」
すこしやつれたような副団長が、声をかけてくる。
「また、仕事を引き受けていたんですか?」
「はい……先ほどやっと終わりました。」
この人は、苦労性だな……。
団長を観察していて気づいたが、あれは、自分が仕事をサボっていると自覚して、王様に呼ばれている。書類仕事が好きなのではないのだろう。そのしわ寄せが副団長に来ているわけだが……。
「今度、陛下に進言しておきましょうか……」
「……正直な話助かります。」
騎士団員のセレスだった時は、とてもお世話になったからな。
「はぁ……それにしても、驚きました。まさか、セレスが本物のセレスティナ様だったなんて……」
「私もまさかあんな非常識なことをするなんて思っていませんでした。前代未聞でしたが、なんとかなってよかったです。」
本当に良かった。今回ここまで早くことを解決できたのは、運が良かったとしか言いようがない。
「でも、なんとなくすぐに納得できました。私の屋敷で女性の服に着替えた時のことを覚えていますか?」
「ええ。」
「あの時、先に来ていた姫様と瓜二つだったことに驚いたのですが、それなら、似ていても合点がいくと思ったのです。」
そんなことを思っていたのか。確かに私も思ったけど。
だから、あの時硬直していたのか。
「でも、あそこまでそっくりだなと思ったのはあの時が初めてです。」
「もともと、影武者という形で王妃の代わりをさせようと思っていましたからね……似せるように指示していたのですよ。」
世間話に花が咲く。
「では、そろそろ行かないと書類が終わりません。」
「あ、はい。では。」
帰っていく副団長を見送り、思う。
…………私の仕事、少なくないか?
読んでくださりありがとうございます!!!




